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ナイン・ドラゴンズ(上) (講談社文庫)
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ナイン・ドラゴンズ(下) (講談社文庫)
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久しぶり、14作目となる〈ハリー・ボッシュ〉シリーズ。
序盤は一見地味に見える強盗殺人事件から物語が始まり、ボッシュが若い相棒の問題や上司の管理職としての仕事に理解している様子などはボッシュも齢を重ねて丸くなったのかなと思えます。
そしてボッシュの警察官としての使命感をも凌駕する事態が起こってからは、それまでの静かな物語の推移から一転してノンストップな展開に。
果たして香港でボッシュはどのような運命に出会うのかと緊張感に溢れながら物語は後半へと進みます。
そして、これまで自らの使命感に突き動かされてきたボッシュが、今回は自分自身の為に動く。
だからこそミスは起き、そして「もし、~だったら」と思わずにはいられない己の弱さに向き合う事になります。
それにしても著者はボッシュになんという重みを課すのでしょうか。
ボッシュとマディがこれからの人生を歩む上で背負っていかなければならない重み。
それは「もし、~だったら」と振り返ってばかりでは先へは進めないはず。
果たしてシリーズの新たなターニングポイントとなった本作。
ボッシュの人生の行く末を追い続けたいとシリーズを追いかけてきたファンなら思うはず。
それにしても本作はとてもスピーディな展開でもって読者を惹き付けます。
本来なら事件の隠れた謎や、組織や巨大な力にあがらう様子などをじっくりと描いて読者を惹きつけてきたシリーズのこれまでの作品とは違うところが、若干物足りなく思う方も多いのでは。
しかしながら今回はボッシュが個人的な感情をむき出しにする物語という事で、ある意味シリーズの中でも異色作。
だからこそ次作以降のこのシリーズの真価が問われるのかも知れませんね(と、ちょっと偉そうに言ってみたりして(笑))。

