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凍氷 (集英社文庫)
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ヘルシンキ警察殺人捜査課警部カリ・ヴァーラは、フィンランドがユダヤ人虐殺に加担したのかという事実の確認という極秘調査の指令を受ける。
そして同時にヘルシンキで起きたロシア人富豪妻の拷問死事件の調査を進めるのだが、上層部より圧力を受けて・・・。
『極夜 カーモス』(過去記事はこちら )に続くシリーズ二作目。
前作よりも格段に面白くなっているのは、主人公やフィンランドという国に対して読者である自分も多少は理解しているせいでしょうか。
猟奇的な殺人事件に家庭の問題、更に新しくできた相棒に、自分自身が抱える問題。
更にフィンランドという国の隠された真実など、それぞれ飽きさせずに興味深く読み進めると、終盤には思いがけない展開も待っていて、決して派手な展開を見せる訳でもないのに夢中にさせてくれました。
カリの妻ケイトは臨月を迎えナーヴァスになっているところに、カリ自身はずっと続いている原因不明の頭痛に悩まされ、そんな中に妻の家族がアメリカからやってきてカリを悩ます言動を繰り返されます。
この辺はアメリカ人である著者が描くフィンランド・ミステリって事で実に興味深く読む事ができます。
富豪妻の猟奇的な殺人事件では新しく出来た相棒の言動に悩まされるなど、とにかく周りに振り回されながらも、更にフィンランドの隠された歴史的事実にまで向き合うという、なんともしんどい展開が主人公のカリには待っていますが、どちらの事件・案件も意外な展開で収束させる離れ業を見せるのも面白く、その結果はカリに新たな生き方を直面させる事になります。
そんなカリには深刻な問題も判明して・・・。
ミステリとしてもノワールものとしても要注目。
続巻を待ち遠しく感じさせる、そんなシリーズとなりましたね。
