『真鍮の評決 リンカーン弁護士』 マイクル・コナリー | 固ゆで卵で行こう!

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銃弾を受けた事件の後遺症により丸一年仕事から遠ざかっていた刑事弁護士のマイクル・ハラー。

そのハラーの元に殺された弁護士仲間が引き受けていた弁護業務を丸ごと引き継ぐ事になり、その中にはハリウッド映画業界の大物が妻とその愛人を射殺したとされ全米の注目を集めている事件も含まれていた。




『リンカーン弁護士』(過去記事はこちら )に続く〈ミッキー・ハラー〉シリーズ二作目です。


銃弾を受け、その治療過程で薬物中毒となったミッキー・ハラー。

リハビリを終えて体力的にも精神的に回復し、さて刑事弁護士としての活動を再開しようとした矢先にロサンジェルス上級裁判所から呼び出しを受けます。

そこで聞かされたのは知りあいの弁護士ジェリー・ヴィンセントが殺されたこと。

そして、その弁護士が引き受けていた弁護業務を丸ごと引き継ぐことになるというもので、中には全米が注目する事件も含まれており、ハラーは知りあいの死を悼むと共に、自身の幸運を喜びます。


その全米の注目を浴びる事件とは、ハリウッド映画業界の大物が妻とその愛人を射殺したというもので、状況的に見て有罪は免れない。

けれども依頼人は無罪を確信した横柄とも見える言動を取り、その様子にハラーは戸惑います。

時間の制約のある中でハラーは裁判に向けて調査していると、殺されたヴィンセントが裁判に関して「魔法の銃弾」を持っているという言葉を発していた事が分かります。

果たして一発逆転となる「魔法の銃弾」とは。

そしてヴィンセントは何故殺されたのか。

「誰もが嘘をついている」、そんな状況で事件の裏側には何かが隠されていると感づいていながら弁護士としての責務を全うしつつも、内なる正義の声に耳を傾けタイトロープを渡りきろうとする様子は緊張感を張らんでおり、ハラー自身にも危機が迫る中、裁判はいよいよ近づいてきます。


その裁判における法廷シーンはやはり大きな見どころです。

後半に入って、その大部分が法廷シーンに割かれているのですが、米における陪審員制度の在り方が非常に興味深く描かれています。

そして何より、ハラーが見付けた「魔法の銃弾」を放つ場面はそのもっとも盛り上がる場面でしょう。


ただ、本作は法廷シーンに向かうまでがじっくりと描かれている事も注目したいところです。

刑事弁護士として復帰を果たした主人公ミッキー・ハラー自身と、ハラーに関わる人たちも丁寧に描いている事によって、ハラーが等身大の人間として見えてくるのではないでしょうか。

特にハラーが、自身の運転手として雇う事になるパトリックという青年に見せる優しさ。

かつての妻で業務上のパートナー(秘書)でもあるローナ。

そしてもう一人の元妻マギーと、マギーの間に出来た娘ヘイリーとの関係などを通して、一人の人間として、そして刑事弁護士としての表と裏のようなハラーの内面がよく伺えます。


中でも、マイクル・コナリーの最大のヒーローでもあるもう一つのシリーズ〈ハリー・ボッシュ〉シリーズの主人公、ハリー・ボッシュ刑事が本作では脇役でありながらも存在感を放っており、ハラーとボッシュが対峙するラストでは、まさにコインの裏と表のように、それぞれの正義感や男としての矜持が溢れて胸が熱くなるものを感じました。


ところで前作は映画化されてなかなか評判も良かったようで、映画の方も続編やTVドラマ化などの話もあるようですが、いったいいつになったら日本でもその映画が紹介されるのでしょうか。

コナリーの新作共々待ち遠しいです。




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