『草祭』 恒川光太郎 | 固ゆで卵で行こう!

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草祭 草祭
恒川 光太郎

新潮社 2008-11
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美奥という架空の地域が舞台。


現実の世界と幻のような世界とが繋がった場所で、愛と憎しみ、生と死が描かれる、どこかノスタルジックで不思議で、そしてどこか背筋が寒くなるような雰囲気を持つ、五つの物語を収めた短編集。


夜市 』よりはインパクトに欠けるかも知れないですが、こういった短い物語って恒川ワールドをより堪能させてくれるようです。



前短編集である『秋の牢獄 』では閉ざされた世界を描いていましたが、今回も美奥という地域を舞台という事で、やはり閉ざされた世界を描いていると言っていいのかも知れないですが、今回はそれぞれの物語にちょっとした趣向がされている感じもします。


なので、閉ざされた世界でありながらどこか外に向かっている印象も与えてくれる部分もあります。

それが顕著なのは四話目「天化の宿」。

主人公が未来に向かって飛翔するラストはどこか爽快感さえあって、これまでの恒川作品の中ではちょっと印象が違って好きですね~。



恒川さん、二作続けて短編集だったので、次はまた長編も読んでみたいところです。