『ブルー・ヘブン』 C・J・ボックス | 固ゆで卵で行こう!

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ブルー・ヘヴン (ハヤカワ・ミステリ文庫 ホ 12-1) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ホ 12-1) ブルー・ヘヴン (ハヤカワ・ミステリ文庫 ホ 12-1) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ホ 12-1)
著:C.J.ボックス  訳:真崎 義博

早川書房 2008-08-22
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12歳の少女アニーは弟を連れて釣りに出掛けた先で殺人の現場を見てしまう。

犯人たちから逃れるも、助けてくれた男も犯人たちの仲間だった。

誰も信じられなくなった姉弟が逃げ込んだ先は、老カウボーイのジェス・ロウリンズが所有する破産寸前の牧場だった。






nanikaさん の記事をみて読みたくなって購入したんですが、巻末の解説にも書かれているように文庫で500ページ以上あるものの、まさに読み出したら止まらない作品でした。



ロサンジェルス市警の元刑事たちが行った殺人。

それを目撃した姉弟たちを匿う老カウボーイ、ジェス・ロウリンズ。

二人を匿う事によって、保安官たちを騙して行方知らずになった姉弟を探し出そうとする男たちと、姉弟と自らの矜持の為に戦うことに。


一方、過去に起きた事件を解決させる為に一人の元刑事のエヂュアルド・ヴィアトロが街を訪れる。

警官としての誇り、自分自身の生き方を貫くために手掛かりを求めるヴィアトロもまた、戦いに臨む事に。


そして街の発展の為に尽くしてきた銀行家の男、ジム・ハーンも過去に犯した過ちへの贖罪と自らの誇りを取り戻すために戦う事に。


それぞれ胸に抱いた矜持からクライマックスのジェスの牧場での戦いに至る様は、まさに息つぐ間もない。

それぞれの男たちは既にいい歳だ。

しかしだからこそ、男たちの胸に燃える想いは読むものにも熱さを伝えてくれる。



また、犯人一味の四人もそれぞれいい味を出している。

なぜ彼らがそのような犯罪に手を染める事になったのかなど、一味の中で罪の意識から逃れられずにいるニューカークという男を通じて描かれていたり、彼らが追う姉弟の母親や、ジェスの失った家族など、脇役たちそれぞれのエピソードが物語にうまくアクセントと刺激を与えてくれており、読んでて飽きさせない。

むしろ、もっとそれぞれ登場人物を掘り下げてくれてもいいぐらいだと感じた。



事件が終わり、エピローグとして語られる部分も印象深く、サスペンスとして十二分に楽しめた作品でした。


ところで著者の“ジョー・ピケット”シリーズの『沈黙の森』と『凍れる森』は自分も読んではいるんですが、いまひとつ内容を思い出せない。

この作品は面白かったので、それらも面白いと思われる評判もいいようなのだけれど、読んだときの自分の状態が悪くて自分と合わなかったのかな。

ちょっと引っ張り出してきて再読して確かめないと(汗)。