『機動戦士ガンダムUC (5) ラプラスの亡霊』 福井晴敏 | 固ゆで卵で行こう!

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機動戦士ガンダムUC (5)    ラプラスの亡霊 (角川コミックス・エース (KCA189-6)) 機動戦士ガンダムUC (5) ラプラスの亡霊 (角川コミックス・エース (KCA189-6))
福井晴敏 矢立肇  富野由悠季

角川グループパブリッシング 2008-07-26
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<ユニコーン>が示した座標は宇宙世紀元年に爆破された首相官邸<ラプラス>の史跡。

調査の為に再び<ユニコーン>に乗り込み、ダグザと共に<ラプラス>に向かったバナージだが、「ラプラスの箱」の秘密を求めてフル・フロンタルたちが迫っていた。




マリーダとの感応を得て、より戦う事の愚かしさを感じるバナージですが<ラプラス>を調査する為にユニコーンに再び乗らざるえなくなります。

大人たちの都合やエゴに嫌悪感を抱きつつも、仲間を守るために戦わざるえないバナージ。


一方リディと共に地球に降り立ったミネバはそこでスペースノイドとアースノイドの考え方の違いをまざまざと直視する事になります。

宇宙にいるだけでは見えなかったものが(それがいいものか悪いものかは別として)見える事によってミネバは何を感じるのか。


そしてあれほど否定してきた<家>の力に頼る事になったリディですが、父親からある重大な秘密を聞かされます。

それは「ラプラスの箱」に関わる恐ろしいまでの秘密。

この巻ではそれは明かされませんが、「ラプラスの箱」の秘密と共に、それぞれの陣営の思惑が絡んでより一層物語は混迷を深めていくようです。



ところで今回印象的なのは、バナージやミネバたちに関わる大人たちの言動でしょう。

それぞれの立場によって異なる対応をとるのは当然だけれど、それを見るバナージなど子供たちからすれば大人の勝手な理屈でしかない。

けれども、そんな大人たちがこの世界を動かし、守り、そして変えようとしている。

それを肌で感じた少年たちが思うものはなんだろうか。

ただ、守る為に戦うのではない。

ただ、変える為に戦うのではない。

よりよい未来を描く為に少年たちに想いを託す、ダグザのような大人たちこそが主人公なのかも知れないですね。