『木蓮荘綺譚 -伊集院大介の不思議な旅-』 栗本薫 | 固ゆで卵で行こう!

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木蓮荘綺譚 伊集院大介の不思議な旅 木蓮荘綺譚 伊集院大介の不思議な旅
栗本 薫

講談社 2008-06-26
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伊集院大介が散歩道で見つけた古い洋館。

木蓮の花がほころび始めたその館の主でありピアノの先生である老婆とその館でお茶をするようになった伊集院大介だが、その館「木蓮荘」に何か違和感を感じる。




名探偵“伊集院大介”シリーズの最新作。


今回は最初から最後まで伊集院大介が出ずっぱり。

こういうのは久しぶりですね。

やはり大介さんが出ていると物語の中に集中しやすいもんです。


今回大介さんが出会う事件は“神隠し”。

実際は勿論大介さんが解決する訳ですからそのような迷信めいたものではなく、その木蓮荘で昔習っていた生徒の失踪事件が描かれます。

犯人については早々に分かってしまうのは最近のこのシリーズですが、ミステリを主体にではなくて、事件そのものの裏に見える人間の狂気、弱さ、そして哀しさといった、人間の性を描いているのが特徴ですね。


誰しもが歳を重ね老いていきます。

若かった時には感じなかったようなものが心の奥に意識するかしないかは別にしても浮かんできた時に、その闇に捕らわれないような生き方をしていけたらなと感じました。