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アイスマン。ゆれる
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知乃は祖母の形見の文箱の中に入っていた相思相愛になる呪文を試してみる。
その結果嫌いな高校の先生二人が突然くっついてしまう。
その１５年後、３０代になり未だ独身の知乃と親友の鮎美と和衣の３人の前に現れる男性。
果たして「彼」は運命の人？
著者曰くＳ(少し)Ｆ(不思議)系の物語。
自分以外の恋愛を成就させる事ができる特殊能力を持つ知乃。
自分自身は人工透析を受けている母親の介護の為に彼氏を作ったり、まして結婚など考えられない知乃の前に高校時代憧れていた人が現れる。
けれどもこれまで男性に振り回される人生ではなく自分自身の生き方を楽しもうとしてきた親友の鮎美もその彼にはこれまでと違った態度を。
そして和衣も本当に好きになった人と結婚したいが為に、好きでもない人との仲が相思相愛になるように呪いを知乃に依頼を。
本当の幸せとはなんなのか。
自身の能力を使うことは、じつは自身に痛みが伴うこと。
その痛みを我慢してでも能力を使う決断をする知乃。
誰かを愛すること。
そして愛されることの幸せの意味を考えさせられる、切なくも暖かい恋愛ＳＦ小説でした。
ところで知乃が男性不信に陥った過去のトラウマについては作中では結局最後まで明かされませんでしたが、その辺も含めてもっとじっくり語って欲しかった部分はあるかも。
そうすればより深い味わいを得れたかなと感じました。