- 著者:ケン・ブルーウン 訳:鈴木 恵
- 『アメリカン・スキン』 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
銀行強盗を犯し大金を手に入れたスティーブは、後に落ち合う約束をしてアイルランドを独りアメリカへ発ち、アメリカ人になりきろうとするも大切なものを次々と失っていく。
酔いどれ探偵“ジャック・テイラー”シリーズのケン・ブルーウンのノン・シリーズもの。
親友の誘いに乗ってIRAのはみ出し者の殺し屋と共に銀行強盗を犯し大金を手に入れてアメリカで恋人と落ち合い二人で幸せに暮らすはずが、ちょっとした事から人生の歯車が狂っていくアイルランドの男の悲哀を描いているノワール小説。
アイルランド人としての自分を捨てアメリカ人になりきろうとする主人公の姿に絡めて、現在と過去、それにIRAの殺し屋や異常殺人鬼の視点などから描かれて、ちょっと複雑な構成ではありますが、この転がる人生の様子がどこか滑稽でノワールといいながらもコメディのようにも感じさせ、それが逆に人生の物悲しさを覚えます。
強烈なインパクトを残すものではないですが、ラストも相変わらずいいですね。
ところで“ジャック・テイラー”シリーズは既に6作目まで出てるようですが邦訳は2作目で止まったままなので、早く3作目以降も出して欲しいですね~。