- 著者:ロビン・ホワイト 訳:鎌田 三平
- 『永久凍土の400万カラット』 (文春文庫)
ダイヤ鉱山に関する不正を正そうとした旧友が目の前で殺される。
シベリアの地方官僚であるノーヴィクはロシアの経済危機を救うべく消えたダイヤの行方と友の仇を討つべくシベリアのミールヌイ鉱山に大統領全権代理の肩書きを持ち乗り込む。
『凍土の牙』の続編。
極寒のシベリアでも冷めない熱い正義感、そして厚い友情を持ち合わせる男ノーヴィクが主人公。
舞台となるロシアは大統領がまだエリィツィンではあるがその政権も終わりを迎えようとする頃。
ロシアの経済は自由主義経済の荒波によって危機にさらされんとしている。
その中で世界最大級ののダイヤ鉱山で鉱夫たちに給与がきちんと支払われていないという不正を正そうとしてシベリア連邦管区全権代理の友人が殺されます。
その友人の補佐を行っていたノーヴィクは友が殺された真相を探り、友に代わって不正を正そうとします。
そして、それは行方が分からなくなっている400万カラットというダイヤを巡ってロシアという国家が直面している危機と密接な関係が。
ノーヴィクは鉱山の町に乗り込んで真相を探ろうとする中で過酷な戦いを強いられます。
文庫本で600ページ以上あるボリューム。
その中で描かれるのは、何ものも信じられないというロシアという世界の中で自分の信じる事の為に突き進む不器用だが熱いハートを持つノーヴィクという男の生き様。
そして特にページが割かれているのはロシア、シベリア、そしてダイヤモンドの産出や流通の世界など。
あまり馴染みの無いそれぞれの世界をあまりくどく感じさせずに分かりやすく描いているのが特徴で、それらがあるせいでイメージしやすく、これだけのボリュームがある割には読みやすかったですね。
もっとももう少しスマートに描かれていれば、より冒険小説としての楽しみを純粋に楽しめたんじゃないかと思えるところが残念なところかも。