『闇の守り人』 上橋菜穂子 | 固ゆで卵で行こう!

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著者:上橋 菜穂子
『闇の守り人』 (新潮文庫)

女用心棒のバルサは、養父ジグロと自分自身の過去と向き合う為に故郷カンナバルへと向かう途中、闇に包まれた洞窟の中で、ヒョウルと呼ばれる<闇の守り人>に襲われそうになっている兄妹を助ける。

兄妹には自分の事は口外しないで欲しいと頼むバルサだが・・・。





『精霊の守り人』に続くシリーズ2作目。

親友の頼みからその娘の命を守るために故郷を捨て、刺客として送り込まれてきたかつての友たちを返り討ちにし、一生その重みを抱えながら自分を育ててくれた養父ジグロの汚名をそそぐため、そしてその過去に自身も向き合う為に故郷カンナバルに25年ぶりに足を踏み入れたバルサが、過去とその傷にしっかり向き合う事で、己の心の奥に抱えていた闇と、ジグロも抱えていた闇に気付かされる。


その闇はカンバル王国でバルサとジグロを巻き込んだ25年前の陰謀から今も繋がっており、カンバル王国に住む人々の生死にも関わる大きな流れとなってバルサの前に現れます。


ジグロの汚名を晴らしたいだけだったバルサが、カンバルに住む人々の為にと命を投げ出そうとする少年を守る事によって、人の持つ闇と向き合い、そしてその向こうに突き抜ける事によって死んだ者たちへの鎮魂を捧げ、バルサ自身が再び成長する様子はやはり感動的。


また、バルサやジグロそれぞれが心の奥に闇を抱えて生きてい事が描かれているところは、等身大の人間として感じられて共感する部分も大きかった。



シリーズ3作目の文庫化も待ち遠しいところです。