- 著者:坂本 康宏
- 『逆境戦隊バツ「×」②』 (ハヤカワ文庫)
もの凄い美人で社長令嬢でもある三音からデートを申し込まれ、自分のコンプレックスが薄まった事によりクルミレンジャーへの変身能力を失いかけている騎馬武秀は、変身出来なくなるだけでなくこのままだと怪人(ノエシス)になってしまう事に気付く。
騎馬はコンプレックスを取り戻すべく三音に・・・。
二ヶ月連続刊行で出されたシリーズ二作目にして完結編。
途方もないコンプレックスを持つがゆえにヒーローに変身する事が出来る騎馬が、憧れの三音とデートする事によって変身能力を失うどころかノエシスに自分がなってしまう事に気付き、三音との別れを決断するも、それが更なる悲劇の幕開けに。
一巻では謎のままだった事が次々と明らかになり、新たにクリミレンジャーとなる騎馬の先輩である花井の話も絡めて一気にラストになだれこむ。
それぞれが持つコンプレックス。
それぞれが持つ希望。
ヒーローと悪役、それぞれが心に秘めるものはどれも美しいものではないかも知れない。
けれど、誰もが幸せになりたいと願う気持ちは一緒。
だが、その幸せが他人の痛みの上に成り立っていいものなのか。
虐げられてきたものだからこそ分かる痛み。
その痛みを優しさという強さに変える事が出来れば・・・たとえ格好よくなくても、そう、誰もがヒーローになれるのだ!
なんとなく面白そうだと思い手に取った本書だけど、自分に取っては期待以上の収穫。
うん、面白かった。
そう素直に言える作品だ。
ところで戦隊パロディのようだけど、実はどちらかというと最近の仮面ライダーの方が内容的には近い。
なので、いわゆる平成仮面ライダーが好きな人ならきっと気に入るだろう。
・・・イケメンは出てこないけど(笑)。
あと、個人的にはもう少し話を続けて欲しかったなぁ。
この最終巻の前に、それぞれのコンプレックスを元にした色んなエピソードを散りばめた短編集のような巻があれば、より一層楽しめた気がするかも。