- 著者:逢坂 剛
- 『銀弾の森―禿鷹〈3〉』 (文春文庫)
渋六興業と敷島組、そして南米マフィア・マスダの渋谷を巡る争いの中、神宮署生活安全特捜班の禿富鷹秋-通称ハゲタカーは、敷島組の幹部の諸橋を呼び出しマスダのアジトに連れて行く。
ハゲタカの狙う獲物とは一体?!
“禿鷹”シリーズの第三作目。
渋六興業の後ろ盾となりながらも誰の飼い犬でも無いと言い放ち、己の欲望のままに行動するハゲタカ。
前作に比べるとアクション部分が減っている中、ハゲタカが作中で取る行動は何故なのかといった事が一番の注目ポイントでしょうか。
ハゲタカの心理描写は一切なく、他人の目から見たハゲタカしか読者は目にする事は出来ない。
なので、ハゲタカの取る行動の理由が分からず互いの腹のうちを探り合おうとするヤクザやマフィアの様子が、より浮かび上がって見えるのもこのシリーズの特色の一つかも。
だが、やはり一番の特色・魅力はハゲタカその人にある。
今回も最後までハゲタカの行動に読者は振り回される事になるが、その理由をハゲタカ自身が告げた時のなんとも言えない衝撃・・・。
そこにハゲタカという男の本質が見えてくるかも。
もっとも、ハゲタカが告げた理由もそれが全てではないのかも知れず、やはり得体の知れない恐るべき男である事は間違いない。
さて、次作でこのシリーズも完結となるらしい。
文庫になるまで楽しみに待っていよう。