『エンジェルズ・フライト』 マイクル・コナリー | 固ゆで卵で行こう!

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時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

著者:マイクル・コナリー
『エンジェルズ・フライト〈上〉』 (扶桑社ミステリー)
『エンジェルズ・フライト〈下〉』 (扶桑社ミステリー)

ハリウッド署の三級刑事ハリー・ボッシュは緊急の呼び出しを副本部長であるアーヴィングから直々に受ける。

自身の捜査チームと共に現場であるダウンタウンのケーブルカー“エンジェルズ・フライト”の頂上駅に駆けつけたボッシュは、そこで黒人の人権派弁護士ハワード・エライアスと一人の黒人の女性が殺された事を知る。

エライアスは市警察に対して20年近く、なんらかの形でロス市警とぶつかった市民の為に連邦政府を相手取って、訴訟につぐ訴訟を起こしてきた市警に取っては宿敵とも言える相手。

奇しくも全米のメディアが注目しようとしているロス市警を相手取った“ブラック・ウォリアー裁判”が始まる直前だったと言う事もあり、ボッシュはその取り扱いを間違うと非常に大きな問題を起こす事件となる事を知る・・・。




“ハリー・ボッシュ”シリーズの第六弾で、『堕天使は地獄へ飛ぶ』として単行本で出ていたものが改題されてようやく文庫化。

待ちに待っていただけに期待も大きく、むさぼるように読みました。


事件は市警vs人権弁護士や人権問題、それに犯人は警察官ではという疑いもあり、過去に起きたロス暴動が繰り返されるかも知れないという予兆を含み、世間やマスメディアから注目を集めるなど大きな問題を最初から抱えており、それが緊張感を始めから持たせて読者を一気に物語の中に引き込みます。


一方、ボッシュ自身も問題を抱えており苦悩している。

「トランク・ミュージック事件」で最愛の女性を得て、ボッシュにもようやく心の平穏を得たかに見えたが、その平穏も長続きはしておらず、たった一作でこのような結果をボッシュに著者がもたらしていたとは意外でした。


そうした問題を抱えながらもボッシュは警察内部に存在する暗部に立ち向かっていく。

事態を収拾し、警察という組織を守ろうと上層部がマスコミに発表する事柄へのボッシュが感じる違和感。

自分自身が信じていたものさえも信じられなくなるボッシュ。

だが、何かを見落としている・・・真実に気付いた時にボッシュを駆り立てる憤怒の想い。

人が抱える闇にまたも向き合うボッシュ。


どこまでも自身の思う正義と公平さを貫こうとするボッシュが、自身が抱えている闇を受け入れようとするかのラストは、どこか美しささえ感じた。

だがそれはボッシュにとって非常に危うい思いになるのではないだろうか。


この先ボッシュが向かうのは一体・・・。


とにかく先が気になるシリーズだ。

今回の文庫化で既に購入済みの『夜より暗き闇』、『シティ・オブ・ボーンズ』、『暗く聖なる夜』も読めるようになったので、続けて手に取ろう。