- 著者:栗本 薫
- 『女郎蜘蛛-伊集院大介と幻の友禅』 (講談社)
伊集院大介が目にしたのは存在感が常人とは違う和服美人。
その妖艶なともいえる魅力にふらふらと新作呉服展に入り込んだ伊集院大介は、そこで殺人事件に巻き込まれる。
その後、例の和服美人から「幻の友禅」を探し出して欲しいと依頼される大介は、自分でもよく分からないまま「幻の友禅」について調べ始めるが、新たにその「幻の友禅」に絡んだ事件に巻き込まれていく。
名探偵・伊集院大介シリーズの最新刊。
もはやミステリとは言えなくなってきたシリーズだが、書店で本書を手に取った時、その厚さに「もしや久しぶりに伊集院さんの名探偵ぶりが見れるのか?!」と期待を抱いて読み始めました。
内容に関しては・・・やっぱり栗本さんらしいなぁ、といった世界観が広がります。
-京都・友禅・伝統ある家柄・兄弟の確執・妖艶な美女-
著者の好きな世界、好きそうな人物達が作品の中で“生きて”描かれ、思わず「栗本さんはきっと、すごく楽しみながら書いたんだろうなぁ」なんても思っちゃいました(笑)。
しかし、今までとは少し雰囲気が違って感じた部分もある。
それは、実際に事件は起きているものの、伊集院大介が事件そのものの焦点が合わないと感じたまま調査していく辺りにあるのかも。
その辺は新鮮にも感じられたし、伊集院大介と共にこの先どのような事が起こるのか、そしてその裏で糸を操っているのは誰なのかといった事を考えさせられながら読めたのも面白かった。
最も、なんといっても“栗本さんらしい世界”が広がるだけに、その辺を頭に入れて読むと、自ずと事件の核心部分については予想がついてしまったりもするのだが・・・(笑)。
しかし、久しぶりにミステリっぽい伊集院大介が読めた。
大満足・・・とまではいかなかったが、楽しめた一冊でした。