『危険な夏-挑戦Ⅰ-』 北方謙三 | 固ゆで卵で行こう!

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時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

著者:北方 謙三
『危険な夏-挑戦Ⅰ-』 (集英社文庫)

水野竜一はアパートの壁に貼った白紙の部分のある南米ペルーの地図を見ては、そのまだ調査されていないような白紙の部分に行ってみたいという漠然とした夢を見ていた。

その竜一がバイト先で出会った危険な男達。

-血を落とすには、自分の血で洗い流せばいい-

そんなヤバイ仕事をこなすうちに、竜一は男として成長していく。





この物語は、大学はやめてしまおうと、ただ漫然と生きていた竜一が、いつしか一人の大人の「男」として成長していく様を描く青春小説でもあり、友の為、そして男として生きる為に復讐を誓う深江達が、金に媚を売らずに自らの意思の力で大企業に立ち向かっていく復讐譚でもある。



敵からの「コップ1杯の水」を拒んだ深江が「コップ一杯の水」が無くても男としてのプライドや共に戦う友がいれば枯れない木として大企業を追い詰めていく様子は胸がすく思いを味わえるだろう。



そして登場人物それぞれも味がある。


主人公の竜一は向こう見ずで、荒っぽいが一途な面を持つ青年。

その竜一と一人の女を巡って殴りあった野口。

倉庫番をする片腕が義手のギイさん。

若い頃に女の為に刺青をした小坂。

友の為に戦う深江。

そして忘れてはならないのが北方謙三の他の作品にも度々登場する刑事で、老いぼれ犬と呼ばれる高樹警部。


高樹が口ずさむ“老犬トレー”のメロディにのって、竜一に取って暑くて危険な夏が過ぎた時、読者である我々も何かしらの「矜持」を持ったかのような擬似体験が出来るかも。




ところでこの“挑戦”シリーズを再読するのは10年以上ぶりだ。

今読むと少々物足りない部分もないではないが、竜一が白紙の地図を夢見ていたように、まだ若かりし頃に自分が持っていた夢を思い出しそうになれた。


折角なので続けて“挑戦”シリーズ(全5巻)を読み返したいと思う。