- 著者: 伊坂 幸太郎
- 『ラッシュライフ』 (新潮文庫)
自分の美学を貫くプロの泥棒の黒澤。
憧れていた「全てを見通す神」を、何故か「解体された神」としてスケッチする事になる河原崎。
夫と不倫相手の妻を殺そうとする京子。
リストラされ、職も見付からず途方に暮れているところにピストルと老犬を拾った豊田。
「金で全てを手に入れる事が出来る」と信じている画商に付き合わされている伊奈子。
それぞれの人生が、それぞれが知らないところで交差する。
伊坂幸太郎を読むのはこれで2作目。
前に読んだのは『陽気なギャングが地球を回す』。
「映画みたい」と読了後、共通して思う。
特にこの『ラッシュライフ』は、タランティーノの映画「パルプ・フィクション」を観たかのようだ。
読み始めてすぐに、バラバラのパズルのような物語も、それぞれがどこかで繋がっているんだろうなと読者はすぐに気付くだろう。
しかし、それがどこで繋がってくるのか、先が読めない展開はうまいですね。
そして何より、各登場人物が生身の人間として目に映るので、それぞれに感情移入できる。
また、こだわりを持ったプロの泥棒“黒澤”が語る皮肉めいた言葉も楽しいし、老犬の存在が、途中陰惨なシーンもある中で、なんだか温かみを与えてくれるのも嬉しい。
それだけに、全てが繋がった後、それぞれの登場人物が手にした答えの先が知りたくなる。
彼らは希望や未来を手に入れたかのようだが、実は問題が山積みなんじゃないかと、心配になるほどだ(笑)。
著者の他の作品も読みたくなった。
うん、色々読んでみよう!
・・・文庫化されたら(笑)。