『トランク・ミュージック(上・下)』 M・コナリー | 固ゆで卵で行こう!

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著者: マイクル・コナリー
『トランク・ミュージック〈上〉』
著者: マイクル・コナリー
『トランク・ミュージック〈下〉』

再び現場に復帰したボッシュを待っていたのは、新たな上司と部下。

それにロールスロイスのトランクに詰められて発見された死体。

「トランク・ミュージック」と呼ばれるマフィアの手口で殺された男は、ハリウッドで映画のプロデュースをしていた。

男の死の真相を探るべく、ボッシュは単身ラスヴェガスへ。

そこでボッシュが見付けたのは『ナイト・ホークス』で別れたエレノアだった。




“ハリー・ボッシュ”シリーズの第5作目となる今回、ボッシュには理解ある上司、デキる部下が付き、これまでの一匹狼的な部分が少し薄れた印象。

だが、いつもの如くボッシュは一人で事件に直面しようとする姿勢は変らない。


今回、なんと言っても驚きだったのはシリーズ1作目で登場し、ボッシュと別れたエレノアの登場。

エレノアこそはボッシュにとって唯一人の女性なのだろうか。

最後にボッシュが取る行動は、胸のすく思いと驚き抱かせたが、果たしてこの二人、これからどうなっていくのかも、今後のシリーズを読む上で興味深い。


また、ボッシュが警察内部でまたも(笑)、窮地に陥ったりするも、エドガーやライダーと共にチームを組んで打開しようとする所などは緊迫感もあり、相変わらずコナリーの作家としての力量には感心させられた。


でも・・・これまでのシリーズの中では、いま一歩って感じもしないでもない。

これは“犯人の動機”について、割合早々にピンときてしまったせいかも知れないが、ボッシュの一匹狼的な部分が薄らぎ、割と普通な警察小説もの・・・といった印象を若干受けたせいかも。



さて、このシリーズ、次作の『堕天使は地獄に飛ぶ』がまだ文庫化されていない。

その後に続く作品は文庫で出てるので、早く出して欲しいところである。