BOOKデータベースより

「「営業ノルマ」は、2週間で2億円。
稼げなければ、全員まとめて地獄行き。

営業成績第1位、契約成立のためには手段を選ばない、凄腕営業マン・鳥井。
アポイント先で刺殺体を発見し、自身も背後から襲われ意識を失ってしまう。
鳥井を襲ったのは、「ビジネス」として家主の殺害を請け負っていた「殺し屋」だった。
目撃者となってしまった鳥井は、口封じとして消されそうになる。
絶体絶命の状況の中で、鳥井は殺し屋相手に「ここで私を殺したら、あなたは必ず後悔します」と語り出す。

「今月のノルマはいくらでしょう? 売上目標は?」
「契約率は25%……、残念ながら、かなり低いと言わざるを得ません」
「どうしてこんな状況になるまでプロの営業を雇わなかったんですか?」

そう……これは商談なのだ。
研ぎ澄まされた営業トークを矢継ぎ早に展開し、場の空気を掌握する鳥井。

「あなたは幸運です。私を雇いませんか? この命に代えて、あなたを救って差し上げます」

契約成立。
鳥井は、殺人請負会社に入社することに。
前代未聞の、「命がけの営業」が始まる――。

常識を覆す発想から走り出す、ジェットコースター・ミステリー!」

 

第71回江戸川乱歩賞受賞作
異例の超ハイレベル最終候補作の中で、ぶっちりぎり第1位!
有栖川有栖
「乱歩賞作品の中でも異彩を放つ一作だろう」
貫井徳郎
「この物語に惚れ込みました」
東野圭吾
「読み手の心を掴む力に満ちていた」
湊かなえ
「主人公の内面の変化にワクワクしました」
横関大
「新人賞のレベルを超えた優れたエンターテインメント作品」

 

なかなかグロい描写もありますが、読み始めたら止まらない、面白さでした。

流石、江戸川乱歩賞受賞作です。

 

キャラクターも尖っていて、スピード感もあり、どんでん返しもあり、

だましだまされ、コンゲームミステリー。

営業のお仕事小説的な話もあって。

主人公が「鳥井」ですし、鳥にまつわる蘊蓄も聞けたりして。

花言葉と同様、「鳥言葉」「誕生鳥」などがあるとは知りませんでした。

 

 

 

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「デビュー作『貸本屋おせん』で歴史時代作家協会賞新人賞を受賞、
業界最注目の著者による、看板シリーズ第2作!

文化年間の江戸浅草。
主人公は女手ひとつで貸本屋を営む〈おせん〉。
謎があるとつい首を突っ込んでしまう、事件を呼ぶ「本の虫」です。

表題作「往来絵巻」は、神田明神祭りが舞台。
宝くじが当たるより稀有でありがた~い、特別な「行列」を出すことになった与左衛門は、我らの偉業を絵として残そうと提案した。
金に糸目を付けず、1年待ってようやく仕上がった祭礼絵巻がついに完成。
しかし…… 絵には一人足りない人物が。消えた「あいつ」は何者だ?
〈おせん〉の推理がさえわたります。

蔦谷重三郎を巻き込んだ江戸出版界を揺るがす謎や、
〈おせん〉の父の死の真相、本仲間で絵師の「燕ノ舎」の最期……。
ちょっとビターで、心温まる、本好き必読の一冊です!

時代を超えて本好きを魅了する出版文化の豊饒さをお楽しみください。

【目次】
第一話 らくがき落首
第二話 往来絵巻
第三話 まさかの身投げ
第四話 みつぞろえ
第五話 道楽本屋」

 

「べらぼう」の少し後のお話です。

この一年、べらぼうやその界隈の本なども読んでいたおかげで、

当時の出版事情や幕府との関係性の雰囲気も感じられていたこと

ミステリー的にも、どんでん返しなどもあり

楽しめました。

第3作が待ち遠しいです。

 

 

 

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「東京大空襲×洋装女性連続不審死
実在した警視庁の写真室所属巡査と

〝吉川線〟を考案した鑑識第一人者による傑作ミステリー!

戦争で、空襲でどうせ死ぬ。
それなのに、どうして殺人事件を追うのか?

空襲が激化する1945年1月、警視庁でただ一人、ライカのカメラを扱える石川光陽。

写真室勤務である彼の任務は、戦禍の街並みや管内の事件現場をフィルムに収めること。
折しも世間では、女性四名の連続首吊り自殺が報じられていた。

四人は全員、珍しい洋装姿で亡くなっており、

花のように広がったスカートが印象的なため“釣鐘草の衝動”と呼ばれ話題となっていた。
ある日突然、警視庁上層部から連続する首吊り事件の再捜査命令が光陽にくだる。

彼と組むのは内務省防犯課の吉川澄一。

光陽が撮った現場写真を見た吉川は、頸部索溝や捜査記録の重要性を説く。

自殺説に傾く光陽に対し、吉川は他殺を疑っていた。
捜査が進む中で、四人の女性にはある共通点が判明。

激しさを増す空襲の中でも、光陽と吉川による必死の捜査が続き、

吉川は決然と捜査の意義を語る――。
「犯罪を見逃すのは、罪を許容することと同義です。

空から爆弾を落として罪なき人々を殺している行為を容認することと同じなんです。

我々は、許されざる行為を糾弾する役目を担わなければならないんです」
 さらに光陽と吉川の前に、戦時中でも洋装を貫く女性の協力者が現れる――。
本作は、統制下という世界によって自分が変えられないようにするため、

美しくありたいと願う、気高い女性たちの物語。

戦後80年、次世代へつなげたい著者渾身の記念碑的小説!」

 

あの日に東京大空襲が来ること、その被害の大きさは知ってはいましたが

それまでの庶民の生活がどんなだったかを緻密に分かりやすく書かれています。

ミステリーの筋とともに、その日に向かう流れは、胸が締め付けられます。

そして当日の描写のページ。

改行なく、黒々と文字が並んでいて、恐怖が這い上がってきます。

巻末の参考資料の多さに、著者の思いを感じました。

ミステリーとしても素晴らしいと思います。

 

実在する人物としては、主人公の石川光陽さん、(ミステリー好きにはおなじみの)吉川線の吉川澄一さんの他に、作家の永井荷風さんも出てきます。永井荷風の戦争への抵抗の姿勢は、先日、「映像の世紀」文学者編でも見ていたので、胸に迫るものがありました。

実在する物としてのカメラのライカの貴重さも存分に描かれていました。

 

 

 

 

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「戦乱、陰謀、そして悲恋。鎌倉殿の時代を鮮やかに描きあげる競作集!

源氏の栄枯盛衰と、北条政子の恋が交錯する(朝井まかて「恋ぞ荒ぶる」)。

憂いを帯びた姫に、帝の仕掛けた戯れとは(諸田玲子「人も愛し」)。

さる女性から壁絵の依頼を受け、画師の人生が動き出す(澤田瞳子「さくり姫」)。

闘うことを運命づけられた坂東武者和田一門の最期を描く(武川佑「誰が悪」)。

頼朝亡き後、政子は苛烈なる政戦に挑んだ(葉室麟「女人入眼」)。

鎌倉を舞台に、野望、陰謀、そして恋を描いた歴史小説アンソロジー。」

 

明日は、いよいよ大河ドラマ「べらぼう」の最終回、楽しみではありますが、寂しい。

べらぼうロスになりそうです(´;ω;`)

 

こちらは、2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が大好きだった私には、めちゃくちゃ嬉しいアンソロジーでした。

あのドラマの世界やスピンオフドラマを

朝井まかて、諸田玲子、澤田瞳子、武川佑、葉室麟といった一流の作家さんが再現してくれています。

 

 

 

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「【第19回本格ミステリ大賞受賞】
維新に揺れる明治の京。
不可解な謎に挑むのは、
尾張出身の若き武士と初代司法卿・江藤新平。
死刑執行当日、なぜ囚人は毒殺されたのか?
論理の糸が手繰り寄せる、
幕末から明治の世を生きた名もなき人々の哀しき犯罪。
動乱の時代の行く末に二人の“名探偵”を待つ運命は――
破格の評価をもって迎えられた連作時代本格推理

慶応三年、新政府と旧幕府の対立に揺れる幕末の京都で、若き尾張藩士・鹿野師光は一人の男と邂逅する。

名は江藤新平――後に初代司法卿となり、近代日本の司法制度の礎を築く人物である。

二人の前には、時代の転換点ゆえに起きる事件が次々に待ち受ける。

維新志士の怪死、密室状況で発見される刺殺体、処刑直前に毒殺された囚人

――動乱の陰で生まれた不可解な謎から、論理の糸は名もなき人々の悲哀を手繰り寄せる。

破格の評価をもって迎えられた第12回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む、連作時代本格推理。

第19回本格ミステリ大賞受賞。

【目次】
佐賀から来た男
弾正台切腹事件
監獄舎の殺人

そして、佐賀の乱」

 

以前、「監獄者の殺人」をベストミステリーか何かのアンソロジーで読んで、印象に残っていたので、

読んでみました。

連作短編の形になっていて、各短編がどれもハイレベルです。

幕末から明治初期の時代の匂いまで感じられるような描写

それぞれの登場人物にとっての正義とは?に絡めつつ

スリリングな展開もあり、

言葉遣いや漢字の使い方も、明治の香りを漂わせつつ

堪能いたしました。

えっ新人賞だったのですか( ゚Д゚)伊吹亜門さんの他の作品も読んでみたいです。

 

 

 

 

 

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「ぬいぐるみを偏愛するイケメン警部の活躍を描く、ユーモア本格推理。

殺人現場にぽつんと遺されたぬいぐるみ。

そのぬいぐるみは、いったい何を語る?

イケメン警部・音無美紀の密かな楽しみは、ぬいぐるみを愛でること。

遺されたぬいぐるみから優れた洞察力で、事件解決の手がかりを発見する――。

そして、男勝りの言動の一方で音無にぞっこんの則竹女史。

さらに実はミステリおたくの江角刑事や、若手の桂島刑事など、

個性派キャラクターが脇を固める連作短編集。

「お弁当ぐるぐる」(『赤い糸の呻き』所収)で初登場した、音無&則竹コンビが遭遇した不可能犯罪の数々。

〈ぬいぐるみ警部〉シリーズ、記念すべき第1弾。」

 

1. ウサギの寝床
2. サイクル・キッズ・リターン
3. 類似の伝言
4. レイディ・イン・ブラック
5. 誘拐の裏手
 

二十歳になる甥っ子は、元高校球児で、がっしり体型なのに、ぬいぐるみを偏愛していて、

それぞれにちゃんと名前を付けています。

私は、子どものころでさえ、あまりぬいぐるみに興味はなく、三歳下の妹が持っていたその頃流行っていた

モンチッチを覚えているくらいですが。

そういうギャップ萌えも楽しく、

「ユーモア本格推理」という表現がぴったりで、

箸休め的に楽しく読めました。

 

 

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「交番相談員が見抜く、警察官たちの闇と罪。
2025年度最注目の連作ミステリ短編集!

警察を定年退職し、非常勤の「交番相談員」として働いている百目鬼巴(どうめき・ともえ)。
見た目は普通のおばさんで、性格も穏やかだが、彼女には妙な噂があった。

「彼女には県警本部の刑事部長でも頭があがらない」
「現役時代には、未解決事件の捜査にあたってほしい、と熱烈なお呼びが掛かっていた」
「なぜか科学捜査の知識も豊富に有している」

半信半疑で一緒に働いていた若手警察官は、
しかしすぐにその噂が真実であることを知る。
彼女は卓越した洞察力で、目の前で起こっていることの
真相・裏側を立ちどころに見抜いてしまうのだ――。

『教場』シリーズの著者であり、
当代きっての短編ミステリの名手による、
新「警察小説」シリーズ、開幕です!」

 

・裏庭のある交番
・瞬刻の魔
・曲がった残効
・冬の刻印
・噛みついた沼
・土中の座標

たしか雑誌「オール読物」に掲載されていて、不定期に購入している私は、半分以上既読でしたが、

それでも、長岡弘樹さんらしいアッと驚く推理が展開され、楽しめます。

警察小説ではありますが、警察組織のあれこれを描くというより

百目鬼巴さんは、非常勤として色々な交番に助っ人という形で行き

その交番に関連して起きた事件を、安楽椅子探偵みたいに、解決していく感じです。

とはいえ、犯人(や不用意な言動が原因)が警察官であることもあり、

綺麗に伏線が回収され、真相が解明されたとしても

リアルに考えるとスカッとはならず、

そのラストで本当に良かったのかと逡巡してしまいます。

 

 

 

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「あなたが動けば世界が変わる。 ザ・ゾンビーズ・シリーズ最新作!

【金城一紀、13年ぶりの書き下ろし最新作!】

絶対に変えてやる。このクソみたいな現実を。
読めば勇気が湧いてくる、最高&最強の青春小説!

オチコボレ男子高校生だった南方は、仲間たちとのある約束のために大学に進学した。

「君たち、世界を変えてみたくはないか?」高校の生物教師のこの言葉をきっかけに、

仲間たちと周囲の不条理に立ち向かった彼らは、

「殺しても死にそうにないから」という理由で「ザ・ゾンビーズ」と呼ばれていた。

だが高校卒業を機にメンバーはそれぞれの道に進み、チームは解散。

南方は大学でどこか物足りない日々を送っていた。
そんな折、同級生の結城から「友人の北澤と、その家族が行方不明になったので捜してほしい」との依頼が。

胸に秘めていた本能を揺さぶられた南方の前に、

学内最大のサークルを仕切るカリスマ志田、志田を狙う謎の女子、

そして北澤を追う男たちが現れる。

渦巻く思惑と予想外の真相に、南方は果敢に迫っていく。」

 

先が気になって、ページをめくる手が止められず、疾走感もあり、

ほぼ一気読みでした。

ゾンビシリーズを読んだのが、かなり以前で、ストーリーや登場人物の背景などをほとんど覚えていなくて、

覚えていれば、もっと楽しめたかな。

 

 

 

 

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「「吉原細見」や歌麿の大首絵の版元として大成功した重三郎だったが、

歌麿の裏切りで苦境に立つ。

代わって起用した老人・写楽の絵は大評判になったが、老人は病で死んでしまう……。

蔦重と写楽の真実に迫る長編歴史小説。《解説・砂原浩太朗》」

 

大河ドラマ「べらぼう」と同じように、蔦重が主人公の小説です。

キャラクター設定は、かなり違うところもありますし、

蔦重の運命の女性は、おていさんではなく、全然違うタイプだったりしますが、

文章がすばらしく

また、その世界観に説得力があります。

蔦重が両親から捨てられた理由などは、こちらの方が真実っぽい。

写楽が10か月でいなくなった理由も。

エンタメとしても、そしてどうなる~と先が気になる作りになっていて

楽しめました。

解説が、砂原浩太朗さんというのも嬉しい。

さて、「べらぼう」では、写楽の正体は、どう描かれるのでしょう。

私は、複数説もありかな~と思っているのですが。

 

 

 

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「とある地方都市の商店街にあるスナック『えいぷりる』にて、
土曜の夜のみ開かれる推理談義。
鈴懸に笈を背負った山伏・地蔵坊が出合った、
七つの殺人事件を描く、連作ミステリ。

洒落者の猫井は紳士服店の若旦那、

禿頭が眩しい藪歯医者の三島に写真館の床川夫妻、

そしてレンタルビデオ屋の僕、青野良児。

年齢も職業もまちまちな僕らは、土曜の夜になるとダンディなマスターの店『えいぷりる』に集い、

地蔵坊先生の話を聴く。

この先生、鈴懸に笈を背負い金剛杖や法螺貝を携え……

と十二道具に身を固めた正真正銘の山伏なのだ。

放浪中の体験談といって披露してくれるのは、およそ実話とは思えない怪しい事件揃い。

額面通りに受け取れば、彼はさながら遍歴する名探偵だが。

さて、眉に唾をつけつつ今宵も幕を開けるとしよう――「面白そうですね。ぜひ聞かせてください」

【目次】
第一話 ローカル線とシンデレラ
第二話 仮装パーティーの館
第三話 崖の教祖
第四話 毒の晩餐会
第五話 死ぬ時はひとり
第六話 割れたガラス窓
第七話 天馬博士の昇天
あとがき
文庫版あとがき」

 

軽く読める本格ミステリーといった感じです。

一日に一話ずつ、楽しみながら読みました。

山伏ならではって部分はあまり感じなかったですが、胡散臭い感じが面白い。