やはり、映画というのは奥が深い。
いや、あらゆる芸術作品は、その背景を知った方が断然楽しめる。
この作品は、そこまで楽しめなかった(笑)
作品に触れる前は、なるべく情報を仕入れたくない。すべてを初見にしたい。その方が、楽しめると思っている。
そして最近は、観たあとでネタバレ解説サイトを見に行く。インタビューで作品の背景や伝えたいこと、また監督の出生など知識を得る。
すると、物語が違う姿で浮かび上がり、理解の深みがぐっと増す。隠されたものの多くは、社会への批判や警鐘。ホラーであっても、ただ怖い、不気味、びっくり!というわけではないのだ。
勉強になる。
本作品もまさにそれで、どうやらアメリカの貧困を取り上げているようだ。
どこからともなく現れた、赤い服を着た人々。彼らは突如、誰彼ともなく、無差別に襲いかかる。ただ、襲いかかる側と襲われる側、妙な共通点がある。それは、同じ家族構成でやってくるということだ。
主人公のアデレードも、その友人のテイラー家も、一家の前に現れたのは性別や年齢が同じような集団だ。これが、物語の鍵を握るのだが、彼らは明らかに不遇な様子だ。ビジュアルにも貧富の差を表現し、テーマをにおわせている。
その他にもタイトルの『Us』、象徴的に現れる兎、ハンズクロスイベント、敵を容赦なく殺すアデレードたち、などほかにもたくさんの伏線やメタファーが散りばめられているようだ。
だが、こういうものはやはり私のような外国人には、100%理解することは難しい。文化や社会、宗教、歴史、生活環境を理解してこそ伝わる恐ろしさ、面白さがある。要は、肌感覚で理解することができないということ。実際、日本で生じている社会問題ですら、きちんと理解できていないのが現実なのだ。アメリカ人の富裕層がどんな生活をしていて、貧困層がどれだけ虐げられているかは、映像を通じてしか知らない。
ただ、それでも本作品の面白さは伝わってくるし、不気味なスラッシュ映画としては楽しめた。
次は『ゲット・アウト』を観たいと思う。