《タイトル》ハッピー・デス・デイ/ハッピー・デス・デイ 2U《もったいない》 | そうでもなくない?

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あのね、タイトルが実にもったいないと思うのだよ。

このタイトルだとね、『スクリーム』(古い)のようなスラッシャー系と感じるではないか。あるいは『チャイルド・プレイ』のようなホラー。

 

確かに、この映画はサスペンスやスリラーが重要な要素となっている。主人公のツリーが、赤ん坊キャラクターの仮面を被った殺人鬼に襲われ逃げ回る。美女の悲鳴。揺れる巨乳。ギラリと光るナイフ。画面を染める血飛沫。もちろん私も、そういう映画と期待して観たのだが……違った。

これは若者が、己の過ちに気づき悲しみを乗り越えて、大切なものに気づく。そんな物語。

そこに、サスペンス・スリラーに加え青春、恋愛、コメディ、SFをたっぷりふりかけて、大学のキャンパスを舞台にしっちゃかめっちゃかかき混ぜた物語。

まさか、タイムリープものとは思わなかった。ホラーじゃないじゃんw

 

見どころを紹介。

 

ツリーやクラス(サークル)メイトのビッチぶりがリアルで、あぁアメリカの若者に生まれたかったぁとため息を吐かざるを得ないが、悪いやつは最後にお仕置きを食らうので、やっぱりこんなことに無縁で真面目な学生時代を送ってきてよかったと、悔し紛れに吐き捨てるのである。それに、もし私がアメリカの若者であっても、ちんちくりんの陰キャはいい思いができるわけないのであった。

 

そして、主人公がだんだんと憑き物が取れるように魅力的になってゆく。このあたりは、監督の手腕なのだろうか。悪者と対決するシーンは、それこそ『バイオハザード』のアリスや『ターミネーター』のサラを彷彿とさせるとは言い過ぎか。

別の次元で再開した母と対話するシーンは、涙を抑えることができない。ジェシカ・ローゼンバーグの演技力もあり、描かれた家族愛は胸を熱くする。

 

さらに、ここそこに挿入されるコメディ要素が、絶妙なスパイシとなっている。特に『2U』で主人公があえてタイムリープを繰り返すシーン、ポップな曲に乗せて自殺するのだが「それ周りに大迷惑w」とツッコミどころ満載で楽しい。

そういや、ツリーがカーターのベッドで蘇り、自分の寮まで何度も繰り返し同じ情景を歩くシーンも良く出来てた。ツリーのやけっぱちな様子が笑えた。

 

SFテイストのタイムリープ装置、主人公の彼氏カーターの部屋に貼ってある『ゼイ・リブ』のポスターは最高だ。ちょいちょい出てくる敵役は、どこかまぬけでチャーミングだ。周囲の学生たちが、多国籍なのもリアル。天才科学者学生がインド系だなんて、細かいところに気を使ってる。好感持てる。おとぼけに設定されてるのは、ちょっとした皮肉か? LBGTをさらっと登場させてるのは、ハリウッドがそういう風潮になっているのだろうな。

 

首をかしげる展開もあるのだが、とにかくパーティのように楽しくて2作をイッキ見。『2U』は興行的には芳しくなかったとのことだが、ぜひとも続けて観てほしい。三ツ星レストランの料理ではないが、うまいものを食わせるダイナーを見つけた気分になれる。タイトルとジャケットで食わず嫌いしないで。ちょっと観てみて。