【緑色の耽美】派遣秘書【亀井亨】 | そうでもなくない?

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亀井亨。平山教の信者ならば、『劇場版 無垢の祈り』や『「超」怖い話」TV完全版』の監督としてお馴染みである。

Twitterで、平山監督作品『眼球遊園シリーズ』がツタヤディスカスで視聴できることを知り、この一週間で一気観したのだが、その流れで亀井監督の作品があることを知る。

ホラー作品はオムニバス『闇刻の宴』(第4話『幽閉confinement』で奥様と共演!)を見つけたが、ほかは見当たらず。

ところが、なにやら怪しげな作品群が紹介されている。むむ?R18?タイトルからして「愛」だとか「恥」「派遣秘書」「陵」「辱」などの言葉が踊り、妖しげな香りがムンムン漂う。えぇ?あの亀井監督が?ポルノ?あの『幼獣マメシバ』の監督が!?

クレジットを見ると、たしかに「監督:亀井亨」の文字がある。だが、Wikipediaには記載されていない。同姓同名?黒歴史?謎と興味は深まるばかりである。

まだ日は高いし、部屋にひとりとはいえ家族は全員在宅だ。ロマンシーンを観ている姿を観られたらと思うと、気が気ではない。夜にでも、とは思ったが明日は早朝出勤なので、みんなが寝静まってからというわけにもいかない。そもそも、一番早く寝るのは自分だ……。

 

 

だから、神に祈りながら、いちばん差し支えなさそうな作品の視聴開始ボタンを押した。

 

 

内容は、ある女性の純愛と男性遍歴を描いた物語。R-18指定のロマンシングシーンが散見されるが、いわゆるAVというものではない。脚本がしっかり描かれており、筋がしっかり通っている。

そして映像美。緑色である。画面が終始、うっすら緑色に染まっている。これは間違いない、あの亀井亨監督の作品である。美しい光使いや静と動のコントラストなど、耽美が散りばめられている。

特にラストシーン、主人公が最初の男との再会の場面。一枚いちまい服を脱ぎ捨てるのだが、壁に映されたやわらかい影が彼女の心情を映し出す。やっと再会できた喜びと永遠に抱き合えない悲しみ、ないまぜになった気持ちが美しく描かれている。

そして、彼のからだに全裸で寄り添う姿は、西洋絵画のような美しさである。いうなれば、聖骸に寄り添う信者の絵か。

 

なぜこれが、亀井監督の作品歴に記載されていないのか。やはり黒歴史なのか。記載されるたび、ご本人が削除しているのか。だとすれば、1日1PV程度のブログではあるが、このように世界に紹介してはいけなかったのか?

だが前述の通り、私はこの作品に映像と物語の美しさを見出した。有り体に言えば、好みである。食わず嫌いせず良かった。もちろん、残りの3作品も鑑賞するつもりである。家族が寝静まった頃に。

 

 

亀井監督、次回作品『或るからっぽの死』を心よりお待ちしております。