これぞ、本のジャケ買い(笑)
「シューメーカーの足音」
本城雅人著
なんだか、題名とこの表紙に魅かれたんだよね。
大正解。面白かった。
紳士靴の名店が並ぶ、ロンドンの繁華街で
店を経営する斉藤良一は、たたき上げの靴職人だ。
努力の末、一流の靴屋としてイギリスでも認め
られている。
しかし、彼には後ろ暗い過去があった。
イギリスの紳士靴の奥深さや、緻密で美しく
作られている理由、業界の裏側・・・
知らなかった世界が展開され退屈しない。
TVドラマ相棒のテイラーやバーテンダーの話を
思い出させるとても重厚な出来だ。
プロの仕事ぶりって、どんな分野でも美しい。
・・・でもね、彼は新進気鋭の若い靴職人、榎本智哉の
復讐の対象となるわけだけど、どうしてもそれほどの
事をしたと思えないんだよね。
その程度の事は、ここまでのし上がるにはありそうな
話としか思えないし、少なくとも斉藤は仕事に真摯に
向き合い、手を抜いた仕事は絶対しない。
こんなにまで叩きのめされるのが正当とはとても
考えられない。
普通なら気持ちは復讐者の方に傾くと思うけど
今回ばかりは・・と思ったら!
ちゃんと、作者は用意してあったのだった
絶対、斉藤の事、愛してると思うのよね。
そんな描きぶりだもの。
斉藤がこのまま終わるとも思えないし。
この後がどうなるか。
あれこれ考えると、楽しい。