「彼女は存在しない」で興味を持った・・
「記憶の果て」 浦賀和宏著
ちょっと変わったミステリィ?超ミステリィ・・・かな。
’98年に出されたものだから、もう16年前?
文章がとても若々しい。ハラハラするところも
あるけど、大胆にザクザクと書いているところが
逞しくも思える。
これまでにない手法の小説だ。
人間が日頃ふと考えるようなことを的確に説明して
もらった感覚。
父の自殺をきっかけに、ジブンの出生の秘密を知った
直樹。書斎に残されたナゾのパソコンから、呼びかける
「裕子」という女性は「何者」なのか?
パソコンの知性にははたして「意識」あるのか?
そもそも「意識」とは何か?
いいですね~、ワクワクするようなテーマ。
友人金田との、意見の応酬。
私とあなたが見ている現実は本当に同じものなの
だろうか。
そう、ジブンが見ているリンゴとそばで見ている人の
それとは認識は同じリンゴでも、もしかしたら
まったく違う形で、違う色なのかもしれない。
「それ」にリンゴという名前が付いているという
共通認識だけで。
現実とコンピュータと妄想(?)の間で、次第に
直樹の意識は輪郭を失ってゆく。
「意識」というものに対する一つの考えを形に
した、画期的な小説だと思う。
19歳でこれを書いたんだ~。
天才って年齢関係ないね。
ただ、人間関係に関しての描写が「彼女は~」
の時も感じたけどとっても希薄な気がした。
これも個性、という事で将来認識されるものなの
かもしれないけど。
それとは別に、音楽とかSF映画とか好きなモノ
ばかり出てくるのがうれしい。
ブレードランナーなら、原作も映画も音楽も好きだし
リドリー・スコットもキューブリックも本当にすごいと思う。
YMOはオンタイムで聞いてたから、もういいやって
気はするけど、サティは最高だね、同感だ。
久しぶりにジムノペティ聞きたくなった。