にほんのかぞく | 三龍建築士

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BOX・ドラマ・映画・・・ときどき読書(笑)の日々に変更~

映画館に行くのをあきらめ、ホームシアター(笑)


「かぞくのくに」 ヤン・ヨンヒ監督・原作・脚本 



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GWのわりに、結構重いテーマ選んじゃったね。

でも、この映画、いいです。 家族の大事さとかきちんと思い出させる

ハナシ。ファミリィで観て、それぞれあれこれと考えるのもいいと思う。



在日朝鮮人の家族。中学生ぐらいの時に、ひとり「帰国事業」

北朝鮮に行かされた兄。

脳腫瘍をわずらい、日本での治療を願い出て5年。やっと、25年ぶりに

「日本訪問」の許可がでて戻ってきた。



聞きたい事も聞けず、腫れ物に触るような父母。思うことは何も言えず

当たり障りのない会話に終始する兄。対して、日本でずっと

育った妹は、あっけらかんと兄を迎える。とても救われる思い。


もどかしいようなつかの間の時間の後、3ヶ月の予定が繰り上がり

すぐの帰国を命じられる。


あの時に、抗って日本にとどまらせていれば、いやこのまま

父が総連幹部の地位を捨てて引き止めたら、彼は残るんじゃないのか

と思ったが、25年の間に、兄にもまた向こうに家族がいるのだった。



どちらも人質にとられている悔しさ。


ヤン監督の自伝に基づく物語。ヤン監督は安藤サクラ演じる妹の

立場にあり、もうコソコソと自分たちだけでこうした境遇を

語り合うのはいやになったのだといっている。



この映画や原作本を通じて、こんな卑劣で悲惨なことを、たくさんの

人とシェアしたいそうだ。

折りしもミサイル打つ打つ詐欺でかまびすしいこの北の国。

その硬いトビラを人々の力でなんとかこじ開け、不幸な家族たちを

助ける事はできないのか。


それにはまず、この事実をたくさんのヒトが知らなくては。

その意味では映画は成功していると思う。



井浦新ココロを殺して生きる兄を好演している。安藤サクラの怪演も

全開である。

音楽は、キーになる「白いブランコ」以外はほとんど入らず、

その分セリフの一つ一つが立ち上がってきて、作品がくっきりと

する。

手持ちで撮ってるカメラが揺らいで不安感を増幅させる。



気軽に借りた映画でやられた、と言う感じ。

拉致被害者の問題も含めて、日本人が知っておいていいと思う。




ロケ地が下町で昭和っぽくていい。日本だなあ~って。それだけに登場人物の

悲哀も際立つさみしい
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