あ、ありえん・・・ヨロヨロ
1冊、1800円もする本を3冊も正味2週間で読んじゃうなんて・・
しかも定価で(爆)
味わい度も、コストの面でも(せこいけど)ここ数年全くなかった
贅沢読み・・
「ソロモンの偽証Ⅰ~Ⅲ」 宮部みゆき著
宮部みゆきのばかー ゆっくり読む事もデキやしない。
ページをめくる手が止まらん。
事件は危ない十四歳が起こしたかもしれない殺人事件。
でも、ココには犯罪もミステリィもない。あるのはそれぞれの
サスペンスのみ。
オトナが対処を間違った少年の死を、同級生達が課外活動の形で
裁判を行い、疑いのかかった少年が犯人であるか否かを明らかにする。
画期的なストーリィだ。
もちろん、本当の裁判ではないので、有罪判決が出ても罰せられる
事はない。大事なのは、うやむやで終わらせることなく、それぞれの
腑に落ちることなのである。
半分まで読めば輪郭はつかめてくる。後は一本道。
登場人物たちの心の動きや感じた事を、丹念にトレースしてゆく作業が
心地良い。端的に行っちゃえば、中学生の青春物だね。
頭でっかちで、物事を複雑にしないではいられない14歳。
俯瞰してみればなんてことなく解決できそうだが、彼らには見えない。
自縄自縛に陥って、破滅してしまう・・。
そこをどう乗り越えるかが永遠の命題だ。乗り越えた時に夏は終わる。
登場人物たちは、体育会系も文科系もぶりっ子もシラケ系も揃って
個性豊か。
判事・検事・弁護人は優秀すぎて、こんな中学生なんていないって、
切って捨てたらそれまでだけど、彼らがいないと筆者の言いたいことは
書けなかったと思う。
ただし、ワルを含めて毒気がちょっとなさすぎる嫌いはある。
時代は、バブル崩壊前夜の1990年。携帯電話どころかポケベルも
まだ中学生には普及していない為、なつかしい公衆電話が大事なキー
になっている。こんな所にも仕掛けがある。
大人も子供もソワソワしていたあの時代。でも、今もムカシもこんな子達は
実在している。
だから、読むべし。ちっともムカシ話じゃないこのハナシを。
空手家、ヤマシンの存在は秀逸。素晴しい。