こんなワタシでも、ムカシは良く軽井沢に遊びに行った。
・・ウソじゃないって(笑)、あ、似合わない?余計なお世話。
「本格小説」水村美苗著は中心となる舞台が
軽井沢になっている。
実在の物語として書かれているが本当なのだろうか。
本当だとしたら、モデルになったヒトってどんなヒトなんだろう?
そんな素朴な疑問と、良く訪れた街や森を思い浮かべたら
調べたくなり、様々な軽井沢本(笑)を読んでみた事がある。
日本にフランソワーズ・サガンが出始めたとき、翻訳者は
朝吹登美子さんで、祖父が財閥系企業人、父が銀行家と
恵まれた家に育った。
当然軽井沢に別荘があり、滞在していた華やかな頃の
話を「私の軽井沢物語」という当時の写真がふんだんに入った
本にまとめている。
ちなみに「きことわ」で芥川賞を受賞した朝吹真理子さんの
大叔母にあたる。
「私の~」は大正時代の軽井沢のやんごとなき方々がイキイキと
書かれていた。
外国人の家族や宣教師、華族の方たちとのティーパーティ。
お約束のテニス大会。
ファミリーでサロンコンサート。
戦前の軽井沢ニューグランドホテルでは白洲次郎夫妻が
おそろいの白いタキシード(?)で現れたり。
本格小説は、戦後の軽井沢が舞台だが、軽井沢物語には
写真がたくさん載っているので、雰囲気が良く伝わってくる。
興味のある方はオススメ。
思えば、今の旧軽は銀座と呼ばれるほどにぎやか。
ワタシがぶらぶらしてた頃はもう少し静かでお店もなく、
ずーっと歩いた所には旧軽井沢YH(ユースホステルねっ!)
があり、外人の同年代ぐらいの人たちも宿泊していて
外国に来たみたい。2泊ぐらいした覚えがある。
驚いた事に、もう経営悪化のため、閉鎖になっているそうだ。
森の中を宿に向かう道すがら、小説に出てくる追分の別荘みたいに
簡素な別荘から、ちょうど土屋フミコさんみたいな奥様が出てきて
犬の散歩に行くところだった。
ユースがあまりに見えてこないので、道を聞いたら、もうちょっと先よ~
なんて。犬を撫でたりしてちょっと立ち話。
峠の看板を見やり、誰もいない小さな橋を渡って、ひんやりした空気を
霧と一緒に深く吸い込んだら、やっと森の中に宿を見つけたのだった。
今はもうないなんて、残念でならない。