「あ、おかえり。」
ちらりとこちらに視線を向け、読んでた本を閉じる。
今日は遅くなるって言っておいたのに、彼女は起きていた。
「すぐ用意するから、着替えておいでよ。」
尻尾を揺らし、キッチンへ。
お言葉に甘えて、部屋に行き着替えを済ます。
リビングに戻ると、既に晩ご飯が並べられていた。
いつもの場所に座ると、彼女も向かい側に座る。
特に会話もなく、彼女は私が食べている所を眺めていた。
今日も美味しい、と言うと、照れ笑いを浮かべていた。
耳が忙しなく動いて、嬉しい時の仕草だなって微笑ましい。
『ご馳走さま。』
美味しいから、あっという間に食べ終える。
一緒に片付けてから、だらだらと会話をして。
つい、たまに動く尻尾を目で追ってしまう。
「…尻尾、触りたいの?」
じとーっと見つめてくる。
即答すると、顔を紅くして目が泳いでる。
そして、苦笑い。
「少しだけだからね。…恥ずかしいし。」
彼女の隣に座り、尻尾に手を伸ばす。
しっかりとした尻尾は、手触りも良く心地良い。
「うひゃっ!?ちょ、ちょっと…顔を埋めちゃ…」
心地よさに、尻尾に顔を埋める。
温もりと、彼女の匂いを堪能していると、彼女はぽかぽかと頭を叩いてくる。
「匂うのは止めて。…臭う?」
顔をあげると、彼女は不安そうな顔をしていた。
頭と耳をわしゃわしゃと撫でてやる。
『真理の匂いも好きだよ。臭くなんてないし、真理の匂いだから嗅ぎたい。』
…今思うと、変な事言ってるなって思う。
そう言うと、彼女は少しポカンとした後、くすくす笑い始める。
「変態みたいな事言ってるね…けど、ありがとう。」
でも恥ずかしいから、と尻尾を遠ざける。
どうやら今日はここまでみたいだ。
彼女も、欠伸を噛み殺している。
「ん…ごめん。流石に眠たいから…おやすみなさい。」
気付けば、日付も変わっていた。
ふらふらと自分の部屋に向かっていく彼女の姿を見て、
自分も寝ようとベッドに向かった。
真理ちゃんもふもふ。
あの健康的な身体はとてもよいよね。
尻尾もモフり甲斐ありそうだし。
女の子っぽく、匂いを気にするとこもかわよ。