深夜の小児救急病院 | 雪上の足跡

雪上の足跡

降っても融けても消える、はかないメモリー

3,4時間睡眠の後、子と同じ部屋で9時間勤務し、

3歳児と40分徒歩で小児病院へ行く。

園に提出する風邪が治った証明書をもらう。

帰りにスーパーに寄り、ピックアップ所に寄って帰宅。

20時、ひき肉をそぼろに炒め、缶詰の緑豆と

米に盛り付け、丼を食す。子が食べ終わるのを待って、

ベッドに横になり、子には本を渡しうつらうつらする。

子が自主的に歯ブラシと歯磨き粉を持ってきて、

イチゴ味を大量に出すところを見せつけられる。

歯磨き粉を飲んだとて病にゃならぬ。

さらにまどろんでいると、

私の歯ブラシと歯磨き粉を持ってきてくれたので、

寝たまま磨き、仕方なく起きてゆすぐ。

 

22時過ぎに仕事を終えた夫も風邪気味なので

23時には就寝しようとするが、子は元気。

大人二人がうつらうつらしてる状態で、子は家具に登り、

猫棚にかけてある洗濯物に触って、落ちた深夜0時。

 

一週間前に風邪をひき、3日前にタイルに額を打って

たんこぶを作り、また落ちるなんて愚か者めと思っていたら、

大泣きしながら鼻血を出しており。よくよく見ると、

出っ張った板に鼻を打ち付けたようで腫れてきており、

左膝で子の背中を支え、左肘で下を向かせ、右手で鼻血を抑え、

左手でクールピローを鼻に当てる。

夫が横で、寝かせた方がいいんじゃないかというが、

血が口に回るのは良くないだろう。

出血が収まったところで、夫が浴室で子の体に付いた血を

洗い流し、私は床の血を清掃し、

着替えさせた後、頭を高くして寝かせ、

鼻にクールピローを当てる。

 

子は泣き疲れたのか目を閉じ、夫も横になり。

目も歯も打ってなさそう、意識ははっきりしてるし

嘔吐なし、朝まで様子見てもいいだろうと思うが、

一方の鼻の穴の内部が腫れて、完全に塞がれている。

綿菓子の割り箸事件が頭をよぎり、つい夫にも話し。

夫に救急病院に電話してもらうと、小児耳鼻科医は

24時間対応。いずれにせよ診察は必要だが、

いますぐか朝まで待つかは親次第ということであった。

夫「深夜で道が空いている今なら片道15分だよ。

  行って帰って1時間ぐらいだったら、今行こうよ。」

私(1時間で済むわけないじゃん…)

 

子に防寒着を着せ、タクシーを呼び、小児救急病院へ。

受付で名前を告げると、一旦外へ出て19番ドアへ行けと。

プライベート診察室のように他の患者と

鉢合わせない仕組みになっている。

髭面のいかつい医者が出て来て、軽く診察する。

医「お子さんの保険証や年金番号はありますか」

夫「いやあ、ありません」

私「全部持ってきたよ」

医「事が起きたのはいつですか」

夫「タクシーで15分だから・・・30分ぐら・・・・」

私「1時間半前です」

 

隣の診察室に通されて、医者が

「ママはここ、坊やこっち、パパそっち」と指示を出す。

医者の机の横、書類にサインする位置。

日本では暗黙に日本人が、男性が対話相手に選ばれるから、

日本人旦那がいる場で日本語を話すアメリカ人奥さんが、

医師の対話席に指定されることはそうそうないだろう。

(日本人奥さんは外国人旦那を前に出すだろうか。どうなんだろう)

モスクワでは母親が尊重されるのが自然な流れで

その辺は感心する。実際、医者は早口だし医療用語とか

半分近く理解できてないけど、夫に「あなたが聞いて」と

頼まないあたり、私も気が強いのだろうか。

もちろんベンチ席で夫が細大漏らさず聞いている(と思う)。

医者は鼻の骨折を診るのかなんなのか

両親指で鼻周りをぐいぐいこねくり回し。

打って痛い筈なのに、子はノーアクション。

結局、十中八九、5日ぐらいで治るだろうとのこと。

通園しても良いが、体育授業は休んだ方がいいと。

 

医「ホニャララという塗り薬はご存じですか」

私「・・・」夫「いいえ」

医「ほかにも、ナニ某、ソレ某でも同じ成分です。

  いまカルテに入力して印刷したものを渡しますから」

夫「(小声で)ほら、ソレ某は肩に塗ってたやつだよ」

私「え?子が?(そんなことあったっけ?)」

夫「いや、母が肩を脱臼骨折した時」

私「あー、母ね」

夫「取りには行けないよね」

私「??(…姑宅へ?…正気?)」

医「買った方が早いですね」

私「…(あ、姑宅知らないくせに、会話に入ってきた。

  普通はそう考えるよね…)」

診察費無料。診断書をもらってそのまま帰る。

雨も降っているので、ドアの前までタクシーが来るよう

指定したのに、運転手から病院敷地へ入れないと連絡あり。

文句たらたらの私に、夫が門まで行こうと歩き出し。

50rub渡さないと門番は通さないと

出稼ぎタクシー運転手が話した。

深夜乗客がいる時は緊急だから問答無用でゲートを開けるが、

空のタクシーを呼ぶ時は、処置が終わって

緊急性が低いと知っているのだ。

 

家に着いて、着替え、牛乳一杯飲んで子が就寝。

倒れるように横になるが、目が冴える。

普段は留守番すると不安そうに出迎える猫が

猫棚でぐっすり寝込んで顔すら見せない深夜2時半。

結局3時過ぎに意識がなくなり、7時起床。

園に、体操が終わるころに登園すると伝えると、

今日は体操の時間はない、と。(なんで?)

夫は風邪で頭痛がするらしい(雨の中歩くからだ)。

子に昼まで寝るか登園するか聞くと、行くというので、

一緒に登園。先生に事情を伝え。

帰りに8時オープンの薬局に寄り、塗り薬など購入。

カフェオレ、サンドイッチ、ミカン6個食べて、9時から仕事。

9時間後、迎えに行って、夕飯作って‥‥

 

世の中のワーキングマザーは本当にこんな風に

生活してるんだろうか。夫がいる状態でも魂が抜けそう。