自作ソーラー冷却ファン(10w版も新登場) | Do It Yourself!

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自作品の写真や日々感じたことを日記のつもりで書いてます

 ジメジメとした梅雨は洗濯物はスッキリ乾かないし、農作業も雨具が蒸れてとても不快な時期となる。早く梅雨明けして欲しい・・・。梅雨が明けると今度はギラギラとした痛いくらいの日差しが体を突き刺してきて日々「暑い、暑い」が口癖になってくる。寒いだの暑いだの天候に不満を言っていても仕方が無いが、昔と比べて年々その暑さの度合が増しているような気がする。ここ数年梅雨の雨が極端に少なかったり、夕立や台風による恵の雨も少なく作物にも大きな影響を与えている。

そんな中で農作業をする労働者にとっては炎天下の日陰の無い田畑はまさに灼熱地獄だ。水分、塩分補給はもちろん適度な休憩等、熱中症対策が叫ばれている。

対策品で手軽に日射を遮る事ができる帽子は今も昔も一番無くてはならない必需品だ。

私は麦わら帽子や雪のシーズンにも活躍する富士笠をオールシーズン使っている。

富士笠がお勧めな理由は頭上と笠の隙間に空間(空気層)があり、構造上笠の熱が直接頭に伝わりにくい事が他の帽子とは異なる点だと思う。

(図)富士笠内部

風が吹けばその頭上に淀んだ熱気を吹き飛ばして排出してくれるが、無風の場合には熱が徐々にこもりせっかくの空気層の効果も半減してしまう。常時頭上に涼しい空気を取り込む流れを作る為に強制的に送風する仕組みが必要だ。

 携帯できる小型扇風機で風を起こす商品は様々あるが、服の中へと風を送り込み直接体を冷やしてくれる空調服は年々商品の数も増え、屋内、屋外のあらゆる現場で活躍し、近年は夏場の必需品となってきているように思える。

一昔前と違ってバッテリーの質も容量も不便を感じないようになり、夏は空調服で体を冷やし、冬はヒーターベストでスイッチ一つで簡単に体を温めることができる、なんとも便利な時代になったものだ。

唯一の欠点はバッテリーの重さ(自前の物は25000mAh500g程)や残りの可動時間が気になってしまう事かもしれない。


小型のソーラーパネルでファンを動かして笠の内部へと送風できれば電池残量も気にせずに使う事ができる。日が照っている時に限定されるが、曇った日には蒸れるほど暑くもないのでファンを回す必要性はそれほど感じないはずだ。

 

ソーラーパネルは充電するバッテリーと発電した電気をバッテリーへ充電する際に過充電とならないように電圧・電流を制御する機器 チャージコントローラーを装備して使うのが一般的な方法だが、発生した電気を蓄電せずに直接ファンを回す使い方をすればバッテリーもチャージコントローラーも不要にでき、その分予算も下げて軽量化もできる。

 

手持の5wの小型ソーラーパネル(165mm×350mm×28mm)と12V駆動するPCファンを(ケースファン)を直結利用する方法で風を起こす。(合計約1kg)

もちろん日陰や屋内では使えないが、畑や田んぼのように十分な日差しを受けらえる環境なら機能できる。ただし作業中は体を動かすので効率の良い日射を受ける角度に常に留まっているわけにはいかない。パネルの発電量に合わせてファンの回転はアップダウンする。(果樹栽培で樹木の下での作業や、ビニールハウスの中では骨組みの陰が影響しファンの性能も落ちるかもしれない。)


<使用材料>

・富士傘  ¥1000

・5Wソーラーパネル(12V駆動  0.3A程度の出力があるもの)¥2000

PCファン(12V駆動 0.30.7A程度の物) ¥300

・ギボシ端子(脱着する場合に使用)8セット入り ¥400

             合計¥3700程度

(あると便利な物)

・圧着ペンチ(ギボシ端子の圧着・接続を行うための工具)

・鉄鋼用ドリル

・ドリルドライバー

・細紐、水道ホース(60㎝程度×2本)


 〜ソーラーパネルの詳細〜

[ソーラーパネル Wタイプ]

・セル種類:単結晶
Rated Maximum Power公称最大出力(Pm):5w
Open Circuit Voltage(Voc)公称開放電圧:22.0V
Short Circuit Current(Isc)公称短絡電流:0.31A
Voltage At Pmax(Vmp)公称最大出力動作電圧:17.5V
Current At Pmax(Imp)公称最大出力動作電流:0.29A
Output Tolerance ±3%

Maimum System Voltage最大システム電圧:600V
Module Size外形寸法:約165mm×350mm×28mm
・重量:約860g

 

(図)ソーラーパネル写真


ソーラーパネルは日光量や向きにより常に変動する電圧、電流が流れている。

パネルを背負えるようにする為に枠にドリルドライバーで(インパクトドライバーは打撃が加わりビットが折れやすい)左右に上下2カ所づつ(4カ所に)紐を取り付ける穴を開けた。

加工しなくても最初から四隅に穴が開いている商品もあるのでそれを利用すれば大分手間は省ける。肩紐は細いと肩への食い込みが気になるので、水道ホースを同様にカット(片側で60㎝程必要)し、ホースの中に通して結んだ。

(図)肩紐ホースの取付


〜pcファンの詳細〜

このpcファンはパソコン内の温度上昇するCPU(プロセッサー)に風を送り冷やすための部品で形は円や正方形、 大きさや厚みファンの枚数も様々な物が存在している。

(図)PCファン色々

ファンのサイズが大きく、厚みもある程取り込む空気量も増え、風量も向上する。

消費する電力も様々で手持ちの物を見てみると、大きさは12㎝羽の数が7枚の0.4A、小さい物は4㎝で羽が5枚の0.29A、それぞれアンペア表示がされているが、何も表示されていない物も多い。(ジャンク品は安いが説明書も保証もないのでそれなりの覚悟は必要になる) 

 (図)見た目は似ていても性能は異なる

上0.7A 下0.32A 見た目は同じようでも性能が異る

一般的にアンペア表示が高いほど風力も高くなるが、5Wの12Vソーラーパネルは条件が良くても0.29Aなのでそれを超える0.7Aのファンは100%の性能は引き出せず回転力は半分程度だった。10Wソーラーパネルなら倍の0.6A程の出力があるのでそちらを使えばしっかりと動かせるだろう。 ただし、ファンは帽子の後ろのつばに取り付け近距離で使用するのでそこまで気にすることも無いだろう。 このPCファンは12Vなのでそれ以上の電圧負荷は壊れる原因につながる。念のため晴天時に流れている電圧をpcファン(0.4A)を繋げて測定してみるとおおむね11V程度の電圧が流れていた。
(図)概ね11vで移行
12V以上出力させない定電圧レギュレーターを繋げソーラーパネルの出力を12Vに固定すれば上回る電圧負荷による故障を防ぐことが可能だが、発熱して壊れたりするような事はこれまで特に無かったのでここでは使用していない。

〜パネルとファンの接続方法〜

パネルとファンを取り外す事が無い場合には被覆を剥がして直接配線同士を捩じって繋ぎビニールテープで絶縁する簡単な方法や、はんだ付けで接続したり圧着端子で接続する方法等様々だが、取り外して他の用途としても使えるようにする為にギボシ端子で接続して脱着可能にしている。

ギボシ端子は電源側(ソーラーパネル側)のプラス線(赤)にはメスの端子を装着する決まりごとがあるので注意しながら取付した。

 

(図)ギボシ端子接続

(図)回転方向と送風方向
ファンの側面をよく見るとファンの回転方向と、風向きに→が刻まれている。

〜富士笠への取付〜

風向きに注意しながら富士傘のつばに被覆番線で捻じって止める。

(図)富士傘へ取付け

ファンは晴れている時はかなりの回転力があるので巻込みによる怪我防止の為に金網を貼ると安全だ。
(図)7年前の後姿

7年前の後姿、自分で見ても何処となくオーラが若々しい…)

あれから随分と時を経ても現在も相変わらずやっちゃってます・・・。

(図)今もやってます

10Wソーラーパネルバージョンも新たに加わり使い分けている。

Wソーラーパネルは約0.9kg、10Wソーラーパネルは約1.2kg程度なのでその差は約300g。それを考慮しても強風を可能にする10Wソーラーパネルも魅力的だ。 大きい分背中の日射も防げるのも良い。

私の10Wソーラパネルは大きく目立ち過ぎてしまうが、探してみると5Wソーラーパネルと大きさ重さ共に同程度で既に四隅に穴も開いている小さくて質の良さそうな物が¥3000程で売られていたので1000円位高くてもそちらがいいかもしれない。

10wソーラーパネルは音からしても鋭く明らかに回転力が高いのが判る。

また、10Wソーラーパネルを使用した場合にはお風呂のバスポンプ(12V)も動かす事ができる。

[ソーラーパネル 10Wタイプ]

・セル種類:単結晶
Rated Maximum Power公称最大出力(Pm)10w
Open Circuit Voltage(Voc)公称開放電圧:21.0V
Short Circuit Current(Isc)公称短絡電流:0.65A
Voltage At Pmax(Vmp)公称最大出力動作電圧:18V
Current At Pmax(Imp)公称最大出力動作電流:0.58A
Output Tolerance ±3%

Maimum System Voltage最大システム電圧:600V
Module Size外形寸法:約290mm×390mm×17mm
・重量:約1150g


 ギボシ端子で接続しておけば冷却ファンとして使用したり、またバスポンプに差し替えれば川や田んぼの水をポンプアップし、使い終えた農機具や汚れた長靴等を洗うことだってできる。畑で使用すれば給水タンクからホースで散水することも可能になる。

私は毎年冬季湛水している田んぼに善玉菌を入れる為に使用している。

(図)田んぼにえひめAI

この時は5Wソーラーパネル1台では弱いので、2台を直列にしながら10Wにして使用した。

ここまでホースが長いとさすがに水量が弱まるがなんとか使えている。

また、小型の4㎝ファンは少し違う使い方もできる。

ペットボトルの底面をカットして筒状にした中へ丁度良く収まるファンを入れて

(図)筒に入れた

ズボン内へ(蒸れたパンツにも…)突っ込んで外気を送風すれば下半身の蒸れを減らし、ちょっとした空調服のような使い方もできる。

(図)ズボンへ突込


嵩張る大きさのものでもないので一式車の中に入れておくと便利かもしれない。ボンネットに置けば車内の扇風機になるし、また、キャンプに行けば火起こしや蒸れるテント内の換気扇としても使えるだろう。


電気料金が高騰している中で、節電兼ねて太陽の恵みである自然エネルギーを直に感じつつ、涼を楽しみながら、今年の暑い夏を乗り切ってみてはいかがだろうか?