イーグルスの黄昏色 | ランディ・マイズナー 心の歌

ランディ・マイズナー 心の歌

イーグルスのベーシストだった
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イーグルスほか、70年代ヒットも満載です

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イーグルスの曲には陰影がある。

音楽に空気感のようなものを醸し出せる、稀有なバンドだと思う。
だから曲を聴くと、私は情景が浮かんでくる。

グレン・フライを追悼して、イーグルス礼賛続けます。


イーグルスには、淡い金色の光が残る、日没の空が似合う曲が多い。
荘厳な茜色の夕焼け空ではなく、もっと儚い黄昏色の空だ。

アルバム「ホテルカリフォルニア」のジャケットのような。
薄暮のイメージ。


「Hotel California」の冒頭の歌詞、On a dark desert highway の『dark』は、夜や暗闇のほか、夕方を意味することもあるそうだ。
私は、この曲の持つ陰影とジャケットの印象と重なって、夜ではなく、トワイライトタイムの砂漠のハイウェイの情景が浮かぶ。

「Hotel California」は、巨大ビジネスとなった音楽業界を、退廃的にシニカルに歌っているといわれているが、暗喩に満ちた歌詞は、解読不能な幻のようだ。
青い夜の気配に包まれて、あたりがおぼろげになって行く時間帯が似合っている。

かすかな光。
礼拝の鐘。

歌詞は後で知ったのだけど。


「Desperado」も、イントロから黄昏の空を連想させる。
ならず者がフェンスの上に腰掛けて眺めているのは、刻一刻と移り変わる、夕暮れの空じゃないかと。


グレン・フライのソフトなヴォーカルが魅力の「Tequila Sunrise」も、夜明けのような夕刻のような、淡く透明な空気感のある曲。
「Hotel California」が怪しい群青色の空だとすると、こちらは透けるような菫色の空かな。

以前にも書いたがこの曲は、『 another 』という言葉が繰り返し出てくる、詩的な歌詞も美しい。

It's another tequila sunrise ・・・

Just another lonely boy in town ・・・

She wasn't just another woman ・・・

Take another shot of courage ・・・

Another frame

特定の一つを示す other に対して、不特定の中の一つを表す another。

陽は昇り、陽は沈む。
繰り返し飲まれるお酒。

でも『彼女』だけは、another が否定されてる。
特別な女性だった。

勇気づけにもう一杯。
人生の一コマ・・・。

グレン・フライが思いを込めて歌っている、素敵なライブ映像を。


Eagles - Tequila Sunrise