洋楽で哀愁を感じるロックは?と訊かれたら、イーグルスの「Hotel California」は上位に登場すると思います。
1位になるかもしれません。
この曲の主役はやはりギターの旋律と思いますが、ドン・Hの歌や歌詞、そしてレゲエのような独特のリズムなど、その魅力はひと言では伝えられないですよね。
シングルがリリースされた当時、私は中学生でした。
ラジオで「全米トップ40」を聴いていて、1位を10週まで獲得したのは覚えていますが、15週連続1位だったんですね。
3時間の番組を毎週かかさず聴き、たくさんの曲を耳にしていましたが、「Hotel California 」は、これまで聴いたどんな曲とも違っていました。
アメリカ人も、こんな哀しみをたたえたメロディーの曲を作るんだ・・・そう感じました。
それは、カリフォルニアの風や土のように、乾いた哀愁。
「Take It To The Limit」と同じく、この曲をリアルタイムで聴けたことは、感慨深いです。
イントロは、天上から降りてきたような、美しいギターのアルペジオ。
ドン・Hの歌が始まると、レゲエのようなリズムになります。
ランディも、複雑なベースラインを弾いています。
作曲したドン・フェルダーは、様々な音楽の要素をフュージョンできる人でした。
レゲエのリズムからは、陶酔感が生れるんですよね。
実は、マイナー調のメロディーにとても合うんです。
歌が終わり、伝説的なツインギターの演奏が始まって、ランディのベースが直線的に変化して、今度はリズムが16ビートのようになります。
そんなさりげないリズムの演出も、イーグルスの曲をドラマチックにしている理由の1つと思います。
ロックって基本は単調なものが多いですし、プログレだと複雑過ぎますしね。
「Take It To The Limit」でも、ランディが I was thinking 'bout a woman who might have loved me と歌う時に、効果的にギターの音が入ります。
そのギターの溜め具合と、ランディの節回しがピッタリ合って、心地よい気分になりますよね。
one more time のあとにほんの少し間が合って、ドラムが続いて。
希望が繋がって行くような、壮大なイメージです。
映像ですが、2つあります。
1つ目は「History of The Eagels」のボーナストラック収録の、1977年3月のワシントン公演です。
演奏も活気にあふれています。
2つ目は7月のヒューストン公演のもの。(76年と間違えてらっしゃいますが)
ブートレッグ版の映像なので画質も音も悪いのですが、私はこちらの「Hotel California 」の演奏に、胸を締めつけられるような哀しみを感じました。
音響を加工されていない、生の演奏という気がします。
ランディは脱退を控えていました。
メンバー全員沈んでいる、疲弊しているように見えます・・・。
でも皮肉なことにこの曲は、ヒューストン公演の演奏のほうに心を揺さぶられてしまうのです。
本当の哀しみをたたえているからでしょうか・・・。
ワシントン公演
ヒューストン公演