私は、少年のような素朴さでひたむきに歌う、張りのある高音の、天性のヴィブラートを持つシンガーが好きなんですよね。
そのすべてを兼ね備えたランディ・マイズナーの歌声は、私の故郷のよう・・・。
私はランディから、たくさんのパワーをもらいました。
これまで好んで聴いてきたアーティストも、好きな声質のいくつかの要素を持っていましたね。
ジョン・デンバー、グレッグ・レイク(ELP)、リック・ダンコ(ザ・バンド)、ブリティッシュレゲエのブリンズレー・フォード(ASWAD)などなど、音楽のジャンルを問わず。
カート・ベッチャーとグラム・パーソンズも。
ランディはソロになってから、声が大きく変化しました。
みずみずしい青年から、たくましい大人の声になった感じです。
私も昔ロックバンドのヴォーカルを担当していたので(コピーバンドですが)なんとなくわかるのですが、ロックって歌い続けていると、声が強く太くなってきます。
中年期になるとランディは声量も衰えてきてしまいますが、それでも私の好きな声には変わりない・・・
人生の悲哀を経験しての、優しさと深みが増したように思います。
今日ご紹介するのは2曲。
哀愁の男性ヴォーカル、まずはランディ・マイズナー。
ランディがブラック・タイのあと、元フライング・ブリトー・ブラザーズのリック・ロバーツと結成した「ロバーツ・マイズナー・バンド」での歌と演奏です。
1987年の結成当初は下の写真のように、デューイ・マーティン(元バッファロー・スプリング・フィールド)ほか複数メンバーがいたのですが、少なくなったようです。
クラブなど、小さな会場でライブをしていました。
レコードリリースも企画されましたが、ランディがPOCOの再結成に参加したため、実現しなかったとのこと。
でもありがたいことに、TV出演時の映像があります。
ランディは42歳くらいかな。
絶頂期とはまた違う、味わい深い「Take It To The Limit」です。(夏海さんもこの曲への思いをUPしてます)
華やかだったPOCOの再結成の前、ランディが地道に音楽活動をしていた時期・・・。
人生の浮き沈みを静かに受け入れて包み込むような、ランディはそんな穏やかな表情で歌っています。
もう1曲は、前回の記事にも登場したザ・バンドのラストワルツコンサートから、バラード曲の「It makes no difference」を。
リック・ダンコの哀愁ある歌声が胸を打つ名曲です。
リック・ダンコはランディと同じベーシスト。
高く張りのある声質も好きです。
吠えるように歌うのですが、そのひたむきさがいいんですよね。
この曲の作者、ギターのロビー・ロバートソン以外のメンバーは、本当は解散したくはなかった・・・
ザ・バンドにも、切ない逸話がたくさんあります。
「Take It To The Limit」
「It makes no difference」
右端がランディでしょうか・・・