
“映え”だけでなく
須々木です。
去年も同じような記事を書いた気がしますが、今年も横浜のイルミネーション関連を書いておきます。
いつでもイベントだらけの横浜ベイサイドエリア。
当然、冬は特に力が入っています。
毎年の定番から、突発的なものまで規模もジャンルも多種多様。
定番のものにいきなり変化が加わったりもします。
「また来年の冬……などと考えたら二度と見ることはない!」と思うくらいがちょうど良いです。
というわけで、今年も可能な範囲で見て回ってきました。
今年の気付きや面白かった点を簡単にまとめておきます。
クリスマスツリーは無数にあるけれど、たまに出会う個性派が結構面白い。
— 須々木正(Random Walk) (@rw_suzusho) December 15, 2023
(MARINE&WALKの海洋廃棄物のブイと残布・残糸のツリー、資生堂S/PARKのフラスコツリー) pic.twitter.com/mUUNGl7aU4
M&Wのツリーは毎年結構楽しみにしています。
規模は大きくないけれど、コンセプトとビジュアルの両立が良いし、施設の雰囲気ともあっています。
この界隈でも個性が光るツリーの一つ。
そして、ツリーというよりは作品(廃材アート)。
初開催の「イルミーヌ・ヨコハマ」の会場である山下公園付近は、例年になく面白い空間になっていました。
単なる“映え”ではない、空間演出の面白さ。
マリンタワー、ホテルニューグランド、氷川丸などとあわせてポテンシャルの高さを見せつけた感があります。
山下公園通りのイルミネーションはカラフル過ぎではないかと思いましたが、イチョウの黄色とあわせて意外と周囲にマッチしていました。
氷川丸はちょっとサイバーパンクな雰囲気が感じられて、これも面白かったです(そして対岸の山下埠頭にはガンダム)。
大さん橋のプロジェクションマッピングも良かったです。
もともとヨルノヨのビュースポットとして定番でしたが、さらに付加価値がついていました。
屋上デッキ〈くじらのせなか〉にプロジェクションマッピングでクジラが泳いでいくのは想像以上に面白い光景でした。
屋上デッキの緩やかな起伏が大海原を感じさせて(そして実際、大さん橋の周囲は海である)、そこをクジラがゆったり泳ぐのは良い。
あと、子供たちが凄く楽しそうにはしゃいでいるのも良いですね。
みなとみらい新港地区から山下公園にかけて大規模に展開するヨルノヨ。
そのメイン会場である新港中央広場は、数年間続いたドーム型のイルミネーションからキューブ型に切り替わりました。
個人的には、昨年の方が広場の全体をうまく使っていて空間全体として視覚的に面白かった印象です。
でも、同じスタイルで数年続いていたので、少々マンネリ気味ではありました。
その意味で、変化したのは良いことだった気がします。
あと、人が立っているところに合わせて地面にプロジェクションマッピングするテクノロジーが導入されていました。
SNSで誰もが発信者になれる現代、「“映え”は力なり」と言っても過言ではありません。
ただ、できることなら、そこからもう一歩踏み込んだ面白さと出会いたい。
ビジュアルだけでなく、そこにうまくマッチングしたコンセプトだったり、意外性、ストーリー性など、付加価値が欲しい。
“映え”に関して、すでに世の中的に飽食の雰囲気すら感じます。
よって「ちょい足し」が求められる。
ここ数年で社会に急激に定着しつつあるSDGs、サスティナブルという言葉はその一例とも感じます。
地球環境の危機という純粋に科学的な文脈以上に、「“映え”の次に何が人々の意識を集められるか?」「生き残るために新たに何を取り込めばよいのか?」という観点から広がりを見せている感は否めません。
結局、「ちょい足し」されるものが何であるかを問わず、“映え”だけにとどまらない何かが欲しいし、実際、この界隈のイベントにはその意識を感じることができます。
だからこそ、結局毎年ふらふら歩き回るのでしょう。
そして、来年はどうなっているか分からないという不確実性もまた、人々の注目を集め足を向かわせるきっかけになっているのかもしれません。
連載漫画のライブ感に似た、「この先がどうなるか分からない」というエンタメ。
港町特有の変化の激しい土地柄にマッチしていて良いと思います。
というわけで、来年はどうなっているのでしょうねー。
sho