陳情令感想②座学編
どうも遊木です。
『陳情令』感想の続きです。
①プロローグ編 1話“目覚め”~ 2話“再びの大梵山”(+前置き)
以下の点にご注意下さい。
※『陳情令』全話、および原作、アニメ(完結編まで)、ラジオドラマ等の盛大なネタバレ。
※書き手による批評、深読み、独自解釈、萌え語り、乱文。
※原作がBLであることを前提とした解釈。
※長い。
以上が大丈夫な方はどうぞ~。
単なる萌え語りではなく、やんわり作り手としての視点も入れるようにしています。
一応……ねぇ?
座学編 3話“運命の邂逅”~ 7話“天灯に託す願い”
ここからは座学編という名の学園青春編です。
このときの世界は平和であった。
『陳情令』の座学では、え?そのキャラもこの場にいるの?という展開が多いです。
筆頭は当然師姉でしょうが、これは個人的に良い味出したなと思いました。彼女の安心感すごい。めっちゃ美人~~!!
この辺りは、原作の“見た目も平凡”という設定は完全無視ですね。良いと思います。
雲夢三義姉弟が本当に……尊い。
法力はなくても包容力一億パーセントの姉、自由奔放だけど誰よりも頼りになる兄、ツンツンだけど家族への愛が溢れる弟。この3人の空気感というかバランスが!が!
正直、魏嬰が末っ子じゃないのがすごく良いと思います。弟であり兄でもあることが、魏嬰の魅力を引き上げている。二週目だとこの3人が揃っているだけで泣きます。
個人的に一週目と二週目で感想が変化する作品は好きです。初見でなくても内容を楽しめることの証。自作もそういうものにしていきたい。
話を戻して。
『陳情令』だと3話で綿綿が出てくるんですね。
彼女はメインキャラじゃなくても、ここぞというときに重要な役割を負うキャラです。後々になって、魏嬰の本質を理解する数少ない人物。こういう配役のキャラ好き。
余談ですが、私が好きになるBLやブロマンスは大体女性キャラが良い気がします。
女性の、普段は隠された芯や強かさをしっかり描いているからこそ、強くあれと描かれる男性の、内に秘めた脆さや悲哀が美しく際立つというか。
そして金子軒登場ですね。初見絶対かねこけんって読む。
後々の金子軒を知っていると、序盤の彼は「もー!!バカぁー!!」って気分になる。見ているこっちが恥ずかしいわ!ツンデレの血筋め!
他媒体から入ると一番イメージが変わったのは彼かもしれない。個人的にキャラデザはアニメが好きだけど、立ち振る舞いは『陳情令』が一番好き。
そして一行は雲深不知処へ向かうわけですが、あれか、藍湛の登場シーンは毎回じゃらーんがないとダメなのか。
この時点で魏嬰はぬるっと非凡さを披露しているし、藍湛の思わず振り返る感じも良いです。私はこういうちょっとした演出が好き。
ところでこの頃の江澄は“頑張って嫡男(次期宗主)として振舞うぞ”って青さが見えて、何か目頭が熱くなる。何故だ。役者さんの演技すごいな。
そして月夜の決闘。ここで主題歌が流れるのアガります。
藍湛からしたら、目の前で酒を呷るコイツは一体なんなんだ!!という感じでしょうか。
しかも「遊びはここまでだ」って煽られる。言われた後の「遊びだと!?」みたいな表情が良いです。多分魏嬰の座右の銘は「酒は呷って美人は煽る」。
藍湛の中には、「優秀=真面目」って方程式があったんだろうな。だから、洞察力も剣も優れている魏嬰の不真面目さが、自分の中で処理できなかった。故に怒ったんだと思う。(藍湛、混乱すると怒るイメージ)
例えば、懐桑みたいな実力のない(ひどい)不真面目な奴にはここまで怒らなそう。
こういうところに、藍湛の世間慣れしていない感じがありますね。
だって世の中こんなパターンいくらでもあるもの。まだそれを知らない若き藍湛は「実力のある奴なのに、なんでそんな振る舞いを!」ってなったと。お前後々そいつのこと自分で知己って認めるからな?と思うとニヤつく。
そして天子笑を飲むときのクソガキムーブはどの媒体でも「コイツwww」ってなる。けど、個人的には藍湛の禁言術の方がニヤッとしました。
おそらく自分の悪口を、ここまでストレートに聞かされたことがないであろう若様。思わず術を使っちゃうのが、何か可愛い。
2週目だと、自分と互角の実力者に言われて若干傷ついてるっぽい表情にも見える。
沢蕪君は登場から安定感のある保護者だし、この時点で忘羨(語弊)の気配を察してるのしゅごい。
流石、無表情弟からあらゆる感情を読み取る人。多分誰よりも早く忘羨の良さに気付いているので彼は私たちの兄貴。
沢蕪君は、視聴者が忘羨の周囲で囃し立てたいシーン(所感)で意味ありげな笑みを浮かべるので、なんだかお礼を言いたくなります。
破天荒な魏嬰に対しても好意的なので、基本は安心して見られますが……未来のことを考えると胃がキュッとなる。
傀儡のくだりはオリジナルですね。
原作だと特に重要でないシーンに要素を差し込んで、物語を飽きさせない演出にしているのが上手いです。
「忘羨の関係構築」と「諸々の事件関連」が交互にくるので、ブロマンスを楽しみたい人も、サスペンスを楽しみたい人も、両方飽きさせないというか。
過去編における“不穏の始まり”が『陳情令』と他媒体で違うのも注目ポイントです。
座学編後から始まる他媒体と比べ、『陳情令』は3話の時点で事件の香りが漂っています。これも、視聴者(特に原作を知らない新規の)を飽きさせない構成を考えてのことでしょう。
メディアミックスした作品は「原作から改変している箇所はどこか」「改変したことによって面白くなった箇所orわかりやすくなった箇所orマイナスになった箇所はどこか」などを考えると、自身の制作でも、ターゲットに合わせた演出の手数が増える気がします。
そして温氏のターンですね。
温若寒、明らか過ぎる悪役中二感が逆に潔い。
なんだかいろいろ気になるけど、温情がめっちゃ美女だからもう良いです。師姉とは違った勝気系美女ですね。
ここから陰鉄に纏わる事件が幕を開け、激動の時代に突入すると……うう、短い座学編は癒し。
4話ではキャラが一気に増えますが、私は魏嬰と聶懐桑の悪ガキタッグが好きです。(そして巻き込まれる江澄) 座学では魏嬰の破天荒さが目立ちがちだけど、初日の拝礼から鳥を持ち込む懐桑も大概やぞ。
で、その拝礼では温氏が乗り込んでくるわけですが、私はここで魏嬰の抜刀後、江澄だけでなく江氏の門弟全員が男女ともに大師兄に倣って剣を抜く流れが好きです。侠客を祖に持つ江氏の家柄がわかる。
くだんの藍先生の座学お怒り事件はどこの媒体でも同じ表現なので割愛。まぁ、問題児のくせして頭脳明晰なのは先生からすると一番厄介ですよね。
そして『陳情令』だと温姉弟との出会いもここで果たします。
温晁の態度を見ても全員を十把一絡げにせず、温寧に親しく接する魏嬰。ただ、今後の事を考えるとここで繋がった縁が……すごく…すごく…うわぁあ!となる。
温姉弟が座学にいることで、原作より魏嬰×温情となりそうな香りがありますよね。前知識なしで見始めたらこの二人のロマンスを期待しそう。
でも温情は、藍湛とは違う意味で生涯魏嬰と肩を並べ続けた人。
見つめ合うのではなく、同じ方向を向いたまま、どちらも一切のよそ見をしなかった。
噂だと、温情を魏嬰の相手役にしたシナリオがあったとかなかったとか。個人的に、そのシナリオは採用されなくて本当に良かったと思います。
“墨香銅臭作品のカップリングのタブー”だけじゃなく、“温情”という一人の女性を描くうえで、魏嬰とのカップリングは絶対やってはいけないことだと思う。
二人はあくまでも同士というか。
私は、作中で一番魏嬰と心の在りようが近かったのは彼女だと思ってます。
裏山で藍湛と剣を交えるシーンも、短いけど好きですね。
座学時代は魏嬰も白いひらひら衣なので、剣を振るう二人が非常に美しい。
戦いより剣舞って感じ。アニメも座学は白いひらひら着て欲しかった…。
あとな、「引っ張るなんて破廉恥だ!」ってお前どの口が…って感じだけど、かわいいんだ。そういう所やぞ魏無羨。
で!みんな大好き蔵書閣で二人きり事件(?)ですね。禁言術に対する反応はこのときが作中で一番かわいいと思う。さっきからかわいいしか言ってないな?
この作品は、キャラが無言で感情を語るシーンが多いですが、顕著なのはやはり藍湛です。
藍湛が魏嬰を特別視し出したのはいつなのか、という点は多くの視聴者が気になるところですが、アニメは尺がない分わかりやすく屠戮玄武の共闘シーンっぽい演出でした。
それに比べ、陳情令はもっと早い段階かな?とは思いましたが、明確にどこなのかはピンとこなかったので二週目はその点を気にしつつ視聴。
で、思ったんですけど、蔵書閣の最終日の時点で藍湛の視線、結構それ以前と違くない?
それまでは「何なんだコイツ」という感じだったのが「…何か気になる」に変化しているというか。マジこの期間に何があったのか教えて欲しい。
そして止めの春画事件で、良くも悪くも魏嬰を自分の感情を揺さぶる存在と自覚したのでしょう。
こう書くとめっちゃ青春だな。
青春といえば、江澄の淡い恋の表現は一見ほっこり要素に見えるけど、その後の展開を考えると絶望をマシマシにしているだけなのでは?
スタッフ鬼畜!
碧霊湖の事件もドラマオリジナルの要素と絡められていましたね。
すごく思ったけど、部屋割りなんで魏嬰と藍湛を一緒にした??
普通江澄と相部屋でしょ。兄上の采配??いい仕事し過ぎでは。忘羨のちょっとしたやり取りにも微笑むし、お兄様には二人がどう見えているのだろうか。
実はすでにこの辺りから忘羨の息の合ったコンビプレーが見られます。藍湛の無自覚デレか。(幻覚)
個人的に同じ気質同士のコンビプレーより、絶対気が合わないだろ!というもの同士のコンビプレーの方がムネアツです。
魏嬰は誰とでも器用に連携を取りそうですが、藍湛は絶対その辺不器用なので、本当に同じレベルで物事を考えられる人としかコンビプレーが出来なさそう。
あと、碧霊湖事件での蘇渉の扱いは良いアクセントになっている気がします。
あのシーンで「え?蘇渉助けないの?」となる視聴者はそれなりにいると思うんですよ。
確かに自分の思い上がりでミスはしたけど、命に係わるような事態で無視されるほどの罪か?とは思うわけで。
そんな中、いち早く駆けつけたのは姑蘇藍氏の子弟ではなく魏嬰。その場には藍湛だけでなく沢蕪君もいたのに。(『陳情令』だと温寧に手を伸ばしてるけど、原作だと蘇渉を助けに行っている)これは後の仙門、温氏の残党、夷陵老祖の構図の縮小版といって良いでしょう。
この辺から、作中に散らばっている“姑蘇藍氏の無意識な驕り”を感じさせます。
気付かなければ全然きにならないレベルですが、私は結構重要な要素だと感じてて、実は『魔道祖師/陳情令』は、姑蘇藍氏が“無意識な驕り”のしっぺ返しを盛大に食らう物語でもあると思っています。
まぁ、結局蘇渉の件も後々火種になったわけですし。(蘇渉の場合は、自分も同じように驕っていたことに気付いていない愚かさがあった)
ただ、姑蘇藍氏はその驕り=歪を、若者世代にまでは持ち越さなかった。というのも、藍湛が大きすぎるしっぺ返しを食らい、仙師の在り方に疑問を覚えるようになったから。
なので、藍湛より上の世代はそれぞれの形でツケを払い、思追たちには引き継がれなかったと。
思えば『魔道祖師/陳情令』は全体的にこの構成ですよね。
魏嬰たちは親世代が残したツケを払わされ、散々苦汁を飲まされた。しかし、思追や金凌たちの世代にはそれらを残さなかった。(もちろん彼らも余波は食らってるけど)
怨みも、憎しみも、苦しさも、誰かが痛い思いをして断ち切らなければ、延々と後世まで残ってしまう、というメッセージを感じました。
私が制作するときも、結構この価値観を忍ばせる気がします。
東のエデンに「この国には頭のいい連中がいっぱいいるのに、損な役回りする奴がいないんだ」というセリフがあって、私の好きな名言でもあります。
さて、温姉弟の謎を匂わせつつ、6話へ。
夜の飲み会は年相応感が良いですね~。
江澄は普段魏嬰の行動に口出しする癖に、こういうときにはちゃっかり参加してるんだよな。
そして女性の好みが夢見る少年過ぎる。つまりお姉ちゃんみたいな女性が好きと。
それにしても男子3人が室内で追いかけっこって可愛すぎないか?
そして藍湛の乱入です。最初は、えぇ~なんで藍湛この部屋に来たのぉ?とか勘ぐりましたが、まぁ普通に五月蠅かったからでしょうね。
藍湛の乱入からの、牀で戯れる3人からの、一瞬で体勢を整える3人の流れが面白過ぎる。
藍湛の「何をしている」の言い方が、冷淡ではなく切羽詰まった感じなのが良い。
え?やっぱり魏嬰が押し倒されてたから??あと藍湛の袖をくいくいするのはあざと過ぎるやろ。そういう所やぞ魏無羨。(2回目)
しかも、術で飲酒させた癖に酔い潰れた藍湛に「ここで寝るな」って、そういう所やぞ魏無羨。(3回目)
それにしても、藍湛が酔い潰れたときだけ自分の過去を話すのずるいよ魏嬰……。素面の時は肝心なこと話さない癖に!こういう子…好き!
ところでここの場面、実は江澄の誤魔化し方が一番面白くないですか。
え?座禅してる……?ってなりました。酔い潰れた演技をしたり、酒が入ると江澄もノリが良くなるのかしら。
翌日の飲酒発覚時は、牀から転げ落ちる藍湛には笑ってた癖に、一緒に罰を受ける段になって急に焦るの魏嬰だなぁと思います。
楽しいことはみんなと一緒にしたいけど、自分のせいで誰かが傷つくのは嫌だという。
ここでは軽い演出で済まされていますが、この性格を念頭に今後の物語を追っていくとめっちゃ胸が痛くなります。
魏嬰は自分の信念は絶対に曲げない一方、それ以外は素直で基本は大らかな性格ですよね。楽しいことはみんなと共有したいし、辛いことはすぐに忘れたい。
序盤はそんな彼の楽天家な面が目立ちますが、だんだんと物騒な事件に巻き込まれていくと、自分自身にまったく執着しない歪さが表れ始めます。
どんな状況においても、まずベットするのは自分であり、その場に嫌いな相手がいても関係なく前線に立つ。
勇敢といえば聞こえは良いけど、ほんの僅かな投げやり感すら覚える彼の言動。
師姉が必要以上に魏嬰に優しかったのは、彼の中で自身の命が非常に軽い扱いであると、彼女だけは理解していたからだと思うんですよ。
それが悲しくて、危うくて、ずっと義弟の心配をし続けていた。そして彼女の想いは、後々藍湛に引き継がれたわけです。
閑話休題。
そして冷泉のシーンですが、ここ、藍湛の対応が一見そっけないように見えて、実は立ち去らないでちゃんと魏嬰と会話してるんですよね。
この時点ではもう、ツンツンが完全にツンデレになってると思う。もはや「友達になろう」と言われて、『まだ友達じゃなかったのか…』って拗ねているようにすら感じるもの。
その後、寒潭洞に引き込まれた二人は藍翼と出会い、陰鉄に纏わる歴史を聞きます。
と!いうか!抹額!抹額ですよ奥さん!(あ、抹額はハチマキのことです)
他媒体だと抹額事件と言えば、魏嬰が意味も知らずに藍湛の抹額を解いちゃって激怒されるくだりが有名(?)ですが、陳情令ではその物語はカットされています。
その変わりに魏嬰は、酔った藍湛から早々に抹額に纏わる掟“両親と伴侶以外触らせてはいけない”を教えてもらいます。
そして直後に!洞窟のあれですよ!洞窟に仕込まれていた弦殺術から身を守るために「抹額貸して」と魏嬰は言うわけですが、普通、単純に貸すだけだと思うじゃん。
なんで二人を!繋げた!?
いや、設定的なものだと思うけど!ありがとうスタッフさん!
ブロマンスとしているのに、この辺は踏み込んでるなぁと思いました。
抹額の設定を“姑蘇藍氏にとって非常に大切なもの”としても物語は成立するのに、しっかり原作の設定を踏襲し、なおかつこんな演出をするとは。
ここって冷静に考えると、すごく悶えたくなります。
まず藍湛は、自分が魏嬰に抹額の話をしたことは覚えてないと思うんですよ。酔ってたし。で、魏嬰のことだから、多分姑蘇藍氏の抹額に纏わる話なんて知らないだろうと藍湛は判断すると思うんです。知らないからこんな簡単に貸してくれなんて言うんだと。(実際は知ってて言ったわけですが、陳情令の魏嬰はおまじない程度にしか考えてなさそう)
だから藍湛からしてみれば、抹額に纏わる掟も、他人が触る重大さも、自分だけが理解している状態なわけで……お前、それで魏嬰の腕に自ら巻いたんか。おいーー!!(ダンダンッ!)
話を陰鉄に戻しましょう。
ここは完全にドラマオリジナルですが、藍翼の話の中に屠戮玄武や薛氏姓のオリキャラが出てきたときは、えー!そこで繋げるのか~となりましたね。
陰鉄という大きなオリジナル設定で、原作で散っているいろんな要素をまとめあげてる感じがして、上手いなと思いました。
しかし、藍翼の話を聞けば聞くほど、後々魏嬰がやったことは驚異的なことなんだとわかります。そして原作だと名前しか出てこない抱山散人が、回想で普通に姿出てきたのには驚いた。
寒潭洞から脱出した際の押し倒し劇はニヤけますね。
魏嬰は元々パーソナルスペースが狭いので、そこまで深く考えてはいないでしょうが(実際すぐに江澄に気を取られてるし)、藍湛に原作設定が残ってたら絶対耳赤くなっていたと思う。(願望)「どけ」の切羽詰まった感が大変良かったです。
でもこのとき、温情に問い詰められてペラペラと誤魔化す魏嬰を、藍湛は初めて頼もしく感じたと思うんですよ。口下手な藍湛だけじゃ「何もなかった」とか言って余計怪しがられそうだし。
一人でなんでも出来そうな藍湛が、初めて一人じゃないことに安堵したような、そんな雰囲気があります。視線もずっと魏嬰に向いてるし。
そして、江澄の心配が怒りで表現されちゃう不器用さはマジでお母さま譲りですね。お姉ちゃんと君が淡いロマンスを繰り広げてるとき、師兄はそこそこ大変な目に合ってたんだぞ。
しかし、前日は一緒に酒盛りして罰せられ、翌日に二人揃って一晩行方不明って……これ絶対何か噂が出来ただろうな。懐桑にでも教えてもらいたい。
兄上と叔父上と話した後のやり取りが、なんかもー!それぞれがすごい可愛かったぞ!
戯れる魏嬰と懐桑もだけど、当然のように藍湛もその場にいて、魏嬰を気にかけてる。昨日までとはエライ態度が違うぞ!
江澄はその様子を訝しんでるし、魏嬰と藍湛の意味深な様子に拗ねてる感じがもう……!
藍忘機と仲良くなったのなら藍氏の門弟になれば?とか言うくせに、魏嬰の蓮花塢の方が良いに決まってるって言葉に嬉しがってるの……珍しく素直な反応だな江澄。
今後ちょいちょい出てくる、「お前は藍忘機に嫌われている」発言は絶対“そういうことにしておきたい”っていう江澄の願望の現れだと思う。
そして、肩を組んで去る雲夢の二人を見ながらしゅんとなってしまう藍湛……一瞬秘密を共有した仲間と思ったけど、魏嬰は結局雲夢江氏なのだと思い知らされた感じが視線に出ている。
天灯を揚げるときも「一人の方が性に合う」とか言っちゃうし。
でも魏嬰の「二人にも慣れるさ」って、普通「大勢にも慣れるさ」とか言わない?何で二人って言った??そういう所やぞ魏無羨。(n回目)
だから後々気を持たせるなとか言われるんだぞ。
そして天灯を空に揚げるシーンですね。
ここでの誓いが、その後の二人を翻弄し、でも最後まで切れない絆の礎となるわけです。
当然のように、一生悪を挫き弱きを助けられるよう祈る魏嬰が、藍湛にはとても眩しく思えたことでしょう。
このとき、ひとりだけ今後の波乱を予見していた温情の立ち去る姿が非常に凛々しい。
『陳情令』は、師姉や温情といった女の子たちも剣を佩いているのがすごく好きです。
アニメだと虞夫人以外の女性は戦うイメージがないので、強い女子好きとしては大変嬉しい演出。
その後の金子軒とのケンカは、ケンカのことよりも、罰を受けてしょぼくれてる(と勘違いした)魏嬰を慰めようとしてすかしを食らった藍湛が記憶に残っております……。取り合えず金子軒、師姉は魏嬰の逆鱗なの。学んでよー!結婚するまで学ばなかったけどな!
ってうか二週目で思ったけど、陰鉄について江宗主に教えるとき、一緒に金宗主にも話すことが出来たよね?でもあえてしなかったってことは、この時点で金光善は信用にたる人物じゃなかったってことよね?
何でみんなそのことを最後まで覚えておかなかったんだよぉおお!もうぉぉお!!
ところで、初見のときはここで薛洋が出てきて、しかも常氏という名も出てきて、何回目かの「えー!そこを繋げるのか!」となりました。本当に原作の要素を上手く巻き込んでいく。
でも、これだけ色々な要素が繋がっていると、前情報なし&初見の人はどこまで物語を正しく追えるのだろうか??
座学編は、魏嬰の性格をわかりやすく表現したシーンが多かった印象です。
楽しいことを誰かと分かち合うのが好きで、誰であろうと困っている人には手を貸さずにはいられない。でも、嫌なことや不穏なことには巻き込みたくない。
ついでに、好きな人はみんな仲良くあって欲しい、という意識も感じました。
だから、あっちへこっちへニコニコして「一緒にやろう」と誘う。この振る舞いは軽薄と思われる一方、それなりに好感を持つ人もいると思うんですよ。
立場に腐らず、努力する姿勢を評価する沢蕪君なんかは、魏嬰の笑顔を、軽薄さとしてではなく「平和への努力」と受け取ったのではないかと。
だから、魏嬰に対してかなり序盤から好感を持っていたように思う。(原作情報を加味すると“母親と似ているから”という理由もあるかもしれないが。それはそれで萌える)
ところで私、沢蕪君は『陳情令』verが一番好きなんですよね。(デザインはラジオドラマが好き)
他媒体は「藍湛ありきの優しさ」という感じがして、ちょっと聖人として彼を扱うには違和感が残る。弟にとってその人が良い相手か悪い相手か、という視点が強すぎて、良く言えば弟想い、悪く言えば身内に盲目というか。
一方『陳情令』は、“藍湛のため”という比重がやや軽い気がします。
「人の良い面を見たい」という点では原作同様、一種の盲目さはありますが、もう少し視野が広い印象です。ドラマで追加された沢蕪君のシーンも、その視野の広さに則った演出だったように思う。
話を戻して、とにかく沢蕪君や師姉、江おじさん、あとは懐桑とか、穏やかな人ほど魏嬰の振る舞いをプラスに捉えている印象です。
特に師姉は、自分の両親と魏嬰の関係がわかっているからこそ、いつでもニコニコしていられる彼の強さと危うさを愛おしんだのでしょう。
でも、江澄や藍湛といった「魏嬰の特別」というポジションに執着する人からしてみれば、魏嬰の振る舞いは、小さな裏切りの連続なのかもしれない。
江澄はそんな小さな裏切りが積み重なって、後々爆発してしまったと。
魏嬰はナンバーワンは作れても、オンリーワンは作れない人なんだと思う。
江澄と藍湛の違い、つまり結末、魏嬰の隣に“いたもの”と“いなかったもの”の違いは、彼の本質を理解した上で、それを受け入れられたか、受け入れられなかったかの差なんだろうなぁ。
江澄は、部分的には藍湛より魏嬰を理解していた気がする。
でも、師兄との間に絶対重ならない想い(=それぞれの立場の認識)があったことを認めなかった。……これが双傑の誓いを、夢幻にしてしまったのかな。
最後にすごい余談です。
「枇杷を投げる」という行為は、中国では女性から男性への求婚の意味があるとかないとか。(曖昧)
あと、「桃栗3年柿8年」という言葉がありますが、枇杷は早くて13年らしいです。(wikiより)
…そう!藍湛が!魏嬰復活までに!待っていた期間が!13年!!(『陳情令』だと16年になってるけど)
この辺の描写って偶然ですかね?作者に真相を問いたい。
(ちなみに、鶏を送るのも求婚の意味があると聞いたような……)
というわけで座学編はここまで。
次回は陰鉄探索&教化司編です。
(分量によっては分けるかも)
aki