HCP「黒羊は夢に哭く」を制作して② -グラフィック素材の制作舞台裏- | 乱歩酔歩--Random Walk official blog--

HCP「黒羊は夢に哭く」を制作して② -グラフィック素材の制作舞台裏-

どうも遊木です。

 

HCP共同制作作品「黒羊は夢に哭く」制作感想その②ということで、昨日の記事の続きです。

 

 

堅っ苦しかった話は終わりにして、ここからは私たちがどのような連係プレイでゲームを制作していたかを書きたいと思います。

前の記事にも書いた通り、全体の流れは米原がまとめているので、私はより細かい部分、特にグラフィック関係の制作過程をご紹介します。

 

今回の作品のグラフィックは、差分を抜かすと約20枚。立ち絵がないビジュアルノベルなので、部品は大きく分けて「人物」「背景」「モブ」の三種類です。(当作品のグラフィックは全てオリジナルです)

ちなみに作業分担は、以下のようになっています↓↓

 

 

<グラフィック関係作業分担>

 

人物-ドグマ…米原

 

人物-青年(シェリ)…遊木

 

背景…遊木

 

モブ…米原

 

人物-鏑矢ミツルギ…米原

人物-謎の男…遊木

 

3D補助…須々木

合成加工…遊木

動画…遊木

 

 

ということで、全ての素材を同じ方法で作っているわけではないので、いくつかのスチールをピックアップして紹介していきましょう。

 

 

■「ドグマ+背景」のスチール

今回の制作指揮は私が取っていたので、すべての作業は、まず私から指示を飛ばしていました。というわけで、米原に注文通りのドグマを描いてもらうため、このような指示書を作ります。↓↓

 

<指示書>

 

人物がどのような環境にいるのか、光源は、表情は、カメラの位置は、などなどのことを、シナリオに沿って指示を出します。

(実は、作業を始める前は背景を全て私が作る予定ではなかったので、この時点では一緒に背景についての指示も書いてあります)

米原はこれの指示に従ってラフを描き、OKだったら本描きに移って貰います。そして暫くすると↓↓のようなpng素材が上がってきます。

 

 

これに私が作った背景↓↓と合成…

 

 

最後に、環境に合うように陰影の調整などをすると完成します。

 

 

 

■「背景のみ;写真加工ver」のスチール

この作品の背景は、オール手描き、3D補助ありの手描き、写真加工&合成の3パターンに分かれています。割合は6:5:4って感じでしょうか。

オール手描きはそのまんま、普通にパース取って描いているだけなので、制作過程も何もありません(ぇ

なので、ここでは残りの二つの紹介をします。

始めは、「写真加工&合成ver」から。加工途中の状態は残っていないので文字で失礼。

 

まず、良さげな写真を用意します。

(写真は三溪園で撮ったものです)

 

この写真を4:3に切り抜き、PhotoShopの[フィルターギャラリー]の[カットアウト]で、エッジを単純にします。その後に、[ぼかし(表面)]をかけると、この時点でちょっとだけ写真っぽさが抜けてきます。

そして、最後にカラーバランスをブルー寄りにします。ノベルゲームで写真加工の背景を作りたい人は、全体的にカラーバランスをブルーに寄せると、それらしくなるそうです。

 

しかしこれだけだと、まだまだ絵とは思えないので、私の場合はこの後にSAIに移動して、上から色を描き足したり、不必要なものを消したりしました。すると、上の写真がこんな風になります。↓↓

 

 

影と光をやや強めに表現すると、イラストっぽくなる気がします。

この素材だと、写真加工と手描きの比率は6:4ってところですかね。

 

 

■「背景のみ;3D補助ありver」のスチール

次に、須々木氏による3D補助ありverの背景です。

3D補助があると、わざわざパースを取らなくて良いので大変作業が楽になります。

 

余談ですが、HCPの世界観は元々みんなで考えたものなので、大体の雰囲気がメンバーの頭の中では共有されています。この作品では、すでに個別作品で使われている龍木堂(本屋)以外は、その共有されている情報に沿って、デザインの大部分を私が考えていました。

しかし例外なのが、今後、他の作品で必ず出てくるであろう場所のデザインです。私の作品であるのなら私が勝手に考えるのですが、今回は、そもそも語り手であるドグマが米原のキャラクターだったので、彼女の個別作品である「夢バク」に関係する場所が多く、今後そちらの作品で出てくる場所は我々のルール上、彼女にデザインして貰う必要がありました。

 

というわけで、せっかくなので(?)、デザイン担当と作画担当が別、ついでに3D補助を使った背景素材の制作過程をお見せします。

 

今回の場合は部屋の背景だったので、まず米原には、家全体の間取りを描いて貰いました。

(今後のネタバレになるかもしれないので、ゲームに使われた場所以外はオフレコ)

 

 

その後、私がカメラ位置の指定といくらかの補足をして、須々木氏に3D制作を依頼します。

するとこんなのが上がってきます。

 

(須々木)

 

この3Dを元にして、再び米原には「こんな感じに描き込みしておくれ」というざっくりとした指示を出します。

 

(遊木)

 

すると、米原からはこんなデザイン案が上がってきます。

 

(米原)

 

その結果、完成したスチールがこちらです。

 

(遊木)

 

3D素材には他の場面でもかなり助けられました。

特に本屋の背景では3Dが無かったら、制作に倍以上の時間がかかっていたと思います。

 

 

 

 

この3D素材たちがどのようなスチールに化けたのかは、是非作品内で確認してみて下さい!

ちなみにモブが必要な場面も、この3D素材にざっくり指示を書いて渡すと、パースに合った良い感じのモブが返ってくるので、いそいそ合成して完成です。

 

 

 

だいたいこんな感じでしょうか。

メンバーの得意不得意を見極めて、最速で完成させるための方法を考えながらの進行でしたが、今回は作品規模も小さめだったので、それなりに上手く回せたと思います。

次の制作に活かせる良い作業経験でした。

 

……まぁ私が作業を終えて一番に叫んだ言葉は、「当分本は描きたくねぇな」でしたよね。

いや、本屋の棚に本を描き入れていく作業はマジ無の境地でしたわ…。

 

ちなみにED以外のBGMとSEは素材サイトさんからお借りしましたが、↑のドグマの部屋が出てくるセクションで流れた「PTP包装の落下音」だけは、私が自分で録音加工してSEにしました。一瞬しか流れなかったので、意外とどうにかなりましたね。

 

 

ではでは~、最後にもう一度~

 

 

HCP共同制作作品

「夢見るバクと悪夢のディナーを」×「ジレンマ喰いの笑い猫」

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aki