「ジャンプ+連載グランプリ」制作感想 by遊木
どうも遊木です。
前回の記事の予告通り、「ジャンプ+連載グランプリ」に提出した作品について触れていこうと思います。
今回私が制作した作品は【RED DESERTER】というものです。
1話完成原稿、2、3話のネームはpixivで公開中です。出来れば作品を読んでいただいてから記事をご覧になった方が良いと思います。
※↓↓冒頭3pのカラー
まずは、プロットに入る前の本当にざっくりした情報ですが、最初は↓↓のようになっていました。
【タイトル】
RED DESERTER(仮)
【ジャンル】
近未来ものバトルアクション(多分)
【企画コンセプト】
サイバー系の特殊能力を持った脱走兵達が、追手と戦いながらも、仲間を取り戻して敵の野望を阻止する話。(超ざっくり)
【世界観】
・2046年頃の日本を想定。(今から30年後) ただし作中で「日本」とは明言しない。
・リアルの世界との整合性は最低限考慮するが、あまり拘らない方向。
・サイバーパンク風味のディストピア系近未来もの。ただしサイバーパンクの部分(特に独特の哲学の部分) は強くプッシュしない。
・すごく発展している部分と、今と変わらない部分が混在している世界。
・物語は、長く続いた世界大戦が終結して1年半が経過したぐらいから始まる。
・大戦の影響で世界の大国が相次いで崩壊、日本はそのあおりを受けている状態。
・しかし、日本は移民政策を取らなかったため人口は大幅に減少、人間は主要な都市に集まり、各地にはゴーストタウンが増える。
・当然、今よりは治安が悪化している地域が増える。
※「攻殻機動隊」ほど不安定ではないが、「サイコパス」のように絶対的な秩序が守られている雰囲気ではない。
※サイバーパンクは現段階でかなり完成された世界観なので、現実の延長から論理的に考えると結局は既存の作品と同じ様なものになる。今回は世界設定で楽しませる物語ではないので、その部分にオリジナリティーはいらないと判断。よって、世界前提の部分は既存のサイバーパンク作品と非常に近い。
こんな感じでした。
タイトル含め、当初予定していた内容を大きくはずれないで作品は完成したと思いますが、中身は「バトルアクション」ではなく「サスペンスアクション」になりましたね…やはり私が作品を創るとバトルがメインにこないという…。
いや、まぁそれでも過去作と比べると大分バトルはしているんですが…。
これは個人的な意見ですが、サイバーパンクと少年漫画…というかジャンプ漫画は相性が悪いと思っています。サイバーパンクは非常に現実をベースにした世界観(突拍子もない世界ではない)なのと、あの独特の哲学を重んじる雰囲気は、若い少年たちの心にはしっくりこないというか、やっぱりワクワクさせるものとはちょっと違う気がして。
というわけで、上記の内容で話を描いていこうと決めたときには、最低限少年漫画への意識は忘れないようにしても、ジャンプ漫画にするのは潔く諦めたわけですね(早い)
次にキャラクターですが、これが結構問題でした。
私は基本シリアスキャラの方が扱いやすいのですが、物語も設定もシリアス寄りのタイプなので、これでキャラまでシリアスに寄せたら、もうどん底まで重いシリアス作品になってしまうなと。
結果的に、まじめ・無愛想・暗い系の主人公は選択肢から除外され、「アケ」という、まぁ王道っちゃ王道の主人公が出来上がりました。
脇役たちはアケとは被らないタイプを集めて、それでも「こういうタイプが好きな人絶対いるよね」と思って貰える雰囲気にしたつもりです。
二人とも主人公より断然描きやすかった…。
ちなみに、主人公達の元上司の立場にあたる「琴澄」というキャラは、全然キャラデザが決まらなくて、本当にネームを切るギリギリまでのっぺらぼうでした。
あと、最初に考えたデザインはサークルメンバーにダメ出しをくらったので、そのデザインは髪色だけ変えて1話に出てくるザコ班長くん(酷い)に使いまわしました。
(琴澄ボツデザイン)
(琴澄決定デザイン)
キャラといえば、正直この作品の主人公は非常に扱いづらかったです。
そもそも私が「キャラ萌え」より「展開萌え」の人間であることが少年漫画を描くうえでかなり大きな問題だったわけですが(少年漫画は基本的にキャラありきだと思っている)、その上今回の作品は、主人公の価値観に深く共感しないまま物語を組んでしまったので、いまいち彼が物語の中で地に足ついて生きている感じが表現できなかった気がします。
価値観に対する共感と言う点では、ヒロインに一番できたのではないかと…同性であるためかはわかりませんが、彼女は動かしやすかった。
性別と言えば、一括りにしてしまうことに疑問を感じないわけではないですが、今回の漫画制作で、少年漫画を女性が描くことがいかに難しいか身を持って体験しました。
前記事にも書いた通り、今回は媒体を考慮してかなりサークル男性陣の意見を作品に取り入れましたが、端々に「男はそんなふうにしない・考えない・共感しないetc」という意見が出ました。こちらからすると、もちろんわかる部分もあるのですが、指摘されて初めて「マジか」となる所も少なくなかったと思います。
青年誌ならまだしも、特に思春期男子をメインターゲットとしたジャンプ作品を、女性が描くのは果てしなく難しい印象…。
あと演出の話ですが、どうも私は「技名を叫びながら技を決める」という演出が駄目なようです。嫌いとかではなく、私がつくる物語にはうまく当てはまらないと言いますか。
今回の作品でも、プロットの段階ではしっかり「技名を叫ぶ」という演出が入っていたのですが、いざ設定を詰めたり、物語を組み立てると「…ここで技名叫ぶのか?いやいやおかしいだろ」という感じになり、結局全部カットしました。
今回の作品で、どうやったらその演出ができたのだろうか…的なことを聞いたのですが、「それは技名を叫ぶシーンから逆算して物語を作らなきゃ」と言われて、なるほどな、と。でもそうすると物語運びもガラッと変わるだろうから、「あの物語」を作りたいなら無理だろうと…ギャフン!!
そもそも既定の「180p描き続けると想定して冒頭3話100p以内」というのもネックで、「180pぐらいで一応の完結を見せられる作品」の冒頭3話なのか、「最低でも180pは描き続けられる作品」の冒頭3話にすれば良いのか迷いました。
これについては、普段から連載向け作品を考えている人は前者で受け取り、短編しか描いて来なかった人は後者として受け取ったのではないかと。
まぁぶっちゃけ両方の意味があったんじゃないかと思っています。
何にせよ私の作品の場合、100pだろうと180pだろうと、中身ギチギチ感は拭えなかったでしょう…何故だ、今回はすごくシンプルに話を組んでいた筈なのに…どうしてぎゅうぎゅうになってしまったんだ…。
そんなこんなで、今回の制作はトータルいろんな面で苦しみました…(白目)
しかし、レベルはどうあれ55p(しかもうち3pはカラー)の作画を、約20日で出来たのは驚くべき快挙です。自分でいうのも変な話ですが。
ぶっちゃけ今までのスピードなら40日はかかってました。もうこの成果だけでこの作品を創った意味があったなぁと…(遠い目)
あとはあれですね、pixivの投稿機能に「見開き右ページ開始」の機能がなかった事件ですね。
3話(23p)が、どうしても最終ページを右で終わらせたかったので、スタートも右ページからでネームを組んでいたのですが…まさか投稿先でそれが出来ないとは。
もう仕方ないので頭に説明を付けた空白のページを置きましたが、そうすると実は私の漫画、ページ数が規定違反になるんです。
1話55p、2話22p、3話23pのジャスト100pで物語を組んでいたので、仮に3話冒頭の空白ページをカウントされると101pになってしまうという…。
一応キャプションに本文は23pだ、と明記しましたが…どうなることやら。神のみぞ知る。
いや、もうすぐ一次審査の結果が出るのでそのときわかると思いますが。
多分年末ぐらいにはこのグランプリ全体の結果が出ると思いますが、個人的にpixivからの募集はもう少しいろいろ考えた方が良かったんじゃないのかなぁと思った次第です。ねぇジャンプさん。
ぶっちゃけ規定違反が多すぎるだろ…!
まぁ、もう終わったことですので、次回のミーティングで反省会だけして今後は次作の漫画について考えます。
春以降、なんだか規定が多い作品制作が続いていたので、ここいらで何も気にしないで好き勝手表現した漫画を作りたい…じゃないと私のアイデンティティが崩壊する←
終わりと言えば、ようやっと毎年恒例のビアガーデン行きましたよ。
本当は7月の予定でしたが、天気に阻まれてついにはこんな時期に…打ち上げとしては丁度良かったんですけどね。
今年はサークルの行事がことごとく天気に阻まれているので、当日もビクビクでしたが、なんとか雨には降られないで終えることが出来ました。
打ち上げ大切ですね!
やっぱり人間もご褒美は必要ですよ!
そんなこんなで、また新たな戦い(?)に向けて準備を進める次第です。
aki








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