「ここかな」
康成の声がして天使が振り返るとそこには又本の山が
「おっさん、それやめろ」
天使の制止を聞かずニヤリと笑い
「なにがじゃ」
康成が本の山にさわると案の定バサバサバサと落ちてきて、また康成は下敷になった。
わざとだ完全にわざとだ
「遊んでる場合じゃないって言ったよな」
「おっ今度はさっきより苦しいぞ」
「あのなあ」
嬉しそうに抜け出してくる康成。
「これはこれでなかなか面白いぞ」
「探す気ないの決定だな」
「まあそう言うな」
「本気で怒るからな」
「もう怒っとるじゃないか」
こいつマジで殺す!あっもう死んでるし
天使が拳を握りしめている頃、隣の部屋の徹は
「あーうるさい眠れねー書斎になんか入り込んだな」
起き出した徹は書斎に向かった。近付いて来る徹の足音に気が付かない二人は
「真面目に探しやがれ」
「年上に向かってその言い方はなんだ」
「そんなの見かけだけだろ」
「まさかお前はジジイなのか」
「うるさい黙って探せ」
漫才のような喧嘩をしていた。その時突然戸が開き徹が入って来た。
「誰かいるのか」
ゆっくり振り返る康成と天使、バチッと康成と目が合った徹は腰を抜かした。
「え?えー」
「おい徹」
ブンブンと腕をふり祓おうとする徹
「何なんだよお前、父さんにそっくりじゃないか」
「父さんだぞ」
しばし見つめあい沈黙のあと
うっぎゃ~
と大声で叫び這いずり回る徹
これ何なんだよ、父さんの…まさかまさかだよな
とパニクる徹に
「そんなに嫌がるな結構傷つくぞ」
いや有り得ない、絶対有り得ない
「お前なんなんだよ」
そばにあった物差しで応戦してきた。そんな徹を見て天使は
「戦う気だぞ流石はおっさんの子だな」
「だろう!」
「ハイハイ、そうだ探すの手伝ってもらえば」
「ん?」
「見えてるみたいだから丁度良いだろ」
「そうだな、おい徹お前に手伝ってほしい事があるんだ、実はなぁ父さん探し物をしててな」
呆然としている徹
「徹?」
「本当に本物の父さん?」
「本物に決まっとる、なんだと思ってたんだ。それより探してほしいものというのはだな徹?」
「はいっお疲れさまでした。悪霊は退散してください」
スクッと立ち上がり歩きだしたが、腰は抜けたままなのでヘナヘナと座り込む徹。それでもズルズルと出て行こうとするので
「大丈夫か?でもなぁ悪霊はないぞ、まあこのままだとなり兼ねんが」
と言い肩に手をおこうとすると
「くっ来るな、俺の血はおいしくないぞ悪霊退散」
「吸血鬼じゃないから血はいらん落ち着け徹」
「助けてくれ~」
やっとの思いで入り口についた徹はジタバタしながら逃げていった。
「徹、父さんは悲しいぞ」
落ち込む康成に天使が
「これくらい良くあることだから、しっかりしろ」
「でも寂しい」
天使に抱きつこうとするので天使はスルリとよけ
「とっとと探し物の続きやるぞ」
康成のお尻にケリを入れた。その時、隣の部屋からドタバタバターンと大きな音がした。
「あのバカが」
その音に驚いた記理子が
「ちょっとなんなの、徹の部屋だわ」
と言いながら徹の部屋に行くと、部屋の入口でスッ転んでいる徹がいた。
「徹、大丈夫」
「でっ出た」
口をアワアワする徹。美砂子もやって来た。
「出たって何が」
「やっぱり徹か、あんた夜中に何やってんのよ」
「だから出たんだよ」
「出たって何が」
「そうよ何なの」
意味がわからない2人に徹は
「だから父さんだよ、父さんの幽霊が出たんだよ!」
しばらく沈黙のあと吐き捨てるように美砂子が
「くだらないさっさと寝るわよ」
「本当なんだよ、こう恨めしそうにこっちを見て血をくれ~って怖かったんだからな」
徹のやつまだ言っとる
「だから血は要らんと言うとるだろ」
「うわっ」
驚く徹の声に驚く2人
「ちょっとビックリするでしょ」
「いま父さんの声が」
と言うと感慨深そうに紀理子が
「徹がこんなに父さんを好きだったなんて父さん喜ぶわね」
「いや違うんだって」
「父さんの夢を見たのよね。徹ったらかわいいわ」
「だから話を聞けよ」
「みなまで言うな、あんた相当ストレスが溜まってるみたいねヤバイわ」
畳み掛けるように美砂子に言われ涙目になり
「本当なんだって信じてくれよ」
「はいはい分かった分かった」
と言い去って行く美砂子と頭をなでなでした紀理子が
「朝になったら聞いてあげますからね」
と言い部屋に戻っていった。取り残された徹。
あいつら絶対信じてないし一人にすんなよ怖いだろ
へっぴり腰で部屋に入った。