親父と天使の探し物 5小説 | 「山あり谷あり笑いあり」らんのblog

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「そうへこむな、もしかして栄養が足りてないんじゃないか」


と楽しそうに言われて呆れながら


「あのさぁなんで俺は幽霊になってるんだとか、なんであんたには姿が見えるんだとか、そう言うあんたは誰なんだとか気になるところ色々あるよね」


と言うと感心したように


「ほーなるほどな」

「そこ感心するところじゃないし」

「それであんたは誰なんだ?」


あっけらかんと突っ込まれたので


「じゃあ、なんに見えると思う」

「それは、私って何歳に見えるぅって合コンでやるやつだな」


瞳をキラキラさせて天使を見る康成。


オヤジ、キモいんですけど

ん?


「おっさん合コンに行くのか」

「ここ何年かは行ってないが、いつでも誘われたら行くぞ」

「行くんかい」


康成は天使の突っ込みを放置し


「それはそれとして」


自分のには突っ込み待ちのくせに俺のにはスルーか


「何をやっとんだ?」


いらっとした天使は壁を殴っていた。


「何でもない、それでどうなんだよ」

「やっぱり詐欺師かストーカーだったりしてな」

「そうそう、ちょっとお金に困ってた時にいい金ずるを見つけたわ、こいつを付け狙ってお金をぶんどるぞみたいな分けがあるか!」


これでどうだ


天使は渾身のノリツッコミをしてみた。


「ふっおぬし、まだまだじゃの」


腕組をした康成に言われ


自分の事は棚の上におきまくりやがってよく言うよ


「そんなのどうでもいいからさ」

「つまらんの~」

「それはこっちのセリフだ」


天使は疲れきっていた。


「結局あんたは何なんだ」

「だから天使」

「聞き間違いか、なんだって?」


手を耳に当てて康成が聞いてくる。天使はもう一度


「だから天使」

「え?」


こいつトボケやがって


「だから天使だって言ってんだろ」

「そんな分けがあるかい、そんなに簡単には天使には会えんのだぞ、やっぱりお前は詐欺師だな、そうやって俺を騙そうとしてるんだろうがお見通しだ」


と康成は天使を指差し高笑いをした。天使は呆れながら


進歩がないなこのオヤジ、最初に会った時と同じ事言ってるよ、仕方がない


天使が手の平を湯呑に向けると光が湯呑を包む。


「なっなんだ、まぶしいじゃないか」

「それでさっきまで持てなかった湯呑が持てるようになったから持ってみなよ」

「そんなバカなことがあるかい」


湯呑を持つ康成。


「持てた、じゃああんた本当に」

「初めから何度もそう言ってるよね」


疲れきった天使が言うと感心したように


「ほお」

「ほかに聞くことは?」

「そうだった、なんで俺は幽霊なんだ?」

「やっぱり覚えてないんだ」

「なにを?」

「地上に降りてくる直前に説明したよね」

「だれが?」


こいつまたノリツッコミを求めてやがるな


「もういいからその流れ」


と強く否定すると康成は寂しそうに


「つまらんのぉ、理解がはやいのも考えもんだな」


そんな康成に


「あんたは四十九日までに探し物を見付けて成仏しないといけないんだよ」

「探し物」

「見付けられないと悪霊になって二度と家族に会えないどころか生まれ変われなくなるんだよ」

「それは大変だなぁ」


他人事のように言うので


「あんたの事だよ!」

「俺の事かぁ、であんたは何でいるんだ」

「探し物が見付かって成仏する時に迷わないように連れて行く役目」

「そんな役目があるのか」

「あるんだよ」


本当にこのオヤジ大丈夫か?ちゃんと仕事を終えて帰んないと俺もヤバイんだけど


「それで、どうなの見付かりそうなのか」

「なにが?」

「だから探し物だよ大切な探し物」

「ああそうか、すまない教えてほしいんだが俺はいったい何を探しているんだ」

「はあ?こっちが知ってるわけがないだろ」

「知らないのか?」

「当たり前だ」


なに考えてんだこのオヤジ


「ふっ本当に使えん天使だな」


はあ、何様だ


「悪かったな使えなくて」

「まあそう怒るな」


この糞オヤジが


「そういう不正があるから教えないって来る前に言ったよね」

「そうだったか」

「言った何度も言った、おっさんなんも聞いてなかったんだな」


天使の殺気を感じた康成は急に真面目な顔をして


「とりあえず、その忘れたままの物を見付け出して所定の四十九日までに成仏しろと言う事だな」


仕事ができる感を出す康成に天使は


「なんだよ分かってんじゃん」

「当たり前だ誰だと思っているんだ、さっそく探しに行くぞ」

「どこに?」

「とりあえず書斎だな。俺のお気に入りの場所だったから」

「書斎なんてあるんだ」

「当たり前だ、たくさん本があるんだ行くぞ」


真面目な顔をして書斎に向かう康成を天使は心配そうに見てため息をついた。


薄明りの書斎で康成と天使が探し物をし出した。


「どこだよ?」

「この辺りかも知れんな」

「かも知れんって、足の踏み場もないじゃないか」

「そう言うな、この中にはすごいお宝が眠っているかもしれないんだぞ」

「よく言うよ、これ何なんだ」


古めかしい分厚い本を持ち上げる天使


「それか懐かしいなあ昔買った原文の小説だ。これでも原文で洋書を読んでいたんだぞ」

「そうですか」


康成の自慢が始まると気付いた天使は、そそくさと本をもとの場所に戻した。


「お前は天使なのに洋書も読めんのか?」


あー始まった


「あのさ天使にだって受け持ちの国があるんだよ」

「受け持ちの国、じゃあ何かお前は日本が受け持ちなのか」

「そういう事、よその国に行くときは試験があってってなんでそこまで説明しなきゃなんないんだよ」

「ほー試験があるのか天使も結構大変なんだな」

「当たり前だろ、それに試験って言っても普通の生きている人間の試験とは違うし」

「どんな内容なんだ」

「それは」


危ない危ない、危うく内情をバラすところだった。始末書もんだぞ


「ちっ気付きやがったか」

「あんた結構あくどいな」

「おぬしもなかなかだぞ」

「どこがだよ、それよりどうなんだ見つかりそうなのか」

「全く見当がつかん」

「やる気あるのか」

「あるにはあるんだが、おっと」


本の山にぶつかる康成だがすり抜け倒れる。


「天使これじゃあ探せんぞ触れるようには出来んのか」

「仕方がないな、本を動かしたいってイメージして意識を集中しとけよ」


天使が康成に手のひらを向けると光が康成に降り注いだ。


「さっきの湯飲みもだけど、補助の効果は半日しかもたないから自分でこの感覚を覚えて練習しろよ」

「その練習が面倒くさいんだ毎回頼むぞ」


さっき少し見直したのに、やっぱりこのオヤジ糞だな


「どれどれ触れるようになったか確認しないとな」


本の山をバサバサと落とす康成。しかし落ちた本の下敷きになってしまった。


「助けてくれ~」

「バチが当たったな、おい一人で出られるだろ」

「そんな訳があるか」

「あんた死んでるんだからスルッと抜けられるだろ」

「そうか、そうだったこうか?」


本の山からスルッと出て来る康成


「ほおおおお、これは面白いじゃないか」

「それはよかったな」


もう一回、山を崩そうとする康成


「そんな事で遊ぶな」

「あ、ばれた」


嬉しそうな康成を見て天使はこれから先の苦労を思い浮かべひきつるしかなかった。