いつかの君へ3 | 「山あり谷あり笑いあり」らんのblog

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インドアなのに司会やイベントに参加する方向音痴不思議さんの日々を綴ったり、小説や詞を書いたりする迷走系ブログ❗️時折、失踪してblog更新怠ります
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新開家の居間(昼過ぎ)壮一と陽太が玄関にやって来る。


壮一「こんにちは」

(ひな)()「こんにちは」


希美が出て来る。


希美「は~い」


と言いながら、玄関へ向かう。 


希美「あら中矢君に小宮君、さあどうぞ上がって」

壮一「お邪魔します」


3人が入って来る。紙袋を持っている陽太。


希美「よく来てくれたわね」

壮一「ご無沙汰してすみません」

希美「いいのよ、こうやって今年も来てくれたんだし。やだ、お父さん散歩に行っちゃったのよ」

陽太「お構いなく、焼香に来ただけなので。あ、これ」


紙袋を渡す陽太。


希美「いつもありがとう」 


希美、紙袋からお供えを出し仏壇に置く。


希美「隼人、今年も二人が来てくれたわよ。良かったわね」


壮一と陽太が仏壇に行き、手を合わせる。


希美「お茶でも入れるわね、そこに座ってて」


お茶を入れに去って行く希美。二人戻って来る。


壮一「あの、本当にお構いなく」

陽太「お構いなく」


お茶とお菓子を持って来る希美。


希美「遠慮しなくていいのよ」


壮一と陽太が座布団からおり、土下座をする。


壮一「おばさん、本当に本当にすみませんでした」

陽太「本当にすみませんでした」

希美「やだわ、二人とも頭を上げて」

壮一「俺たちのせいで隼人は、何度謝っても謝り切れません」

陽太「本当に、本当にすみませんでした」

希美「もう、いいのよ」

壮一「おばさん」

希美「だって、知らない振りも出来たはずのに、あなた達は正直に話してくれたわ。それに、今年もこうやって来てくれたじゃない」

陽太「でも」

希美「どうしたって、あの子はもう帰って来ないんだもの」


押し黙る壮一と陽太。


壮一「そうですよね、本当にすみません」

希美「さあさあ、お茶をどうぞ」

壮一「はい、ありがとうございます。でも、良かったです」

希美「え?」

壮一「桜ちゃん、帰って来れたから」

希美「なんでその事を?」

陽太「駅前で桜ちゃんを見かけた人がいて、面影が残ってたからそうだろうって」

希美「そうなのね」

壮一「長かったですね、もう大丈夫なんですか?桜ちゃん」

希美「ええ、なんとかね。それに、少しずつでいいと思っているの」

壮一「そうですか」

希美「ほらお茶をどうぞ、このお菓子もおいしいのよ」

陽太「いただきます」

壮一「いただきます」


奥から桜が出て来る。


桜「お母さん明日って何時ごろ、あ」

陽太「やあ、久しぶり覚えてるかな?」

桜「どちら様ですか?」

希美「あ、あのねこの子たちはね」

壮一「いいんです、おばさん。ごめんね桜ちゃん。陽太、もう帰ろう」

陽太「そうだな」


帰りだす壮一と陽太。


希美「もっとゆっくりして行けばいいのに」

壮一「いえ、明日また隼人に会いに行きます。おじさんに、よろしくお伝えください」

陽太「じゃあ、失礼します」


二人去る。


桜「お母さん今の人達って」

希美「隼人の友達。毎年命日に来てくれるの」

桜「兄さんの友達」

希美「そうよ同級生。隼人も生きていたらあんな感じだったのかしら」

桜「……」

希美「やだ、外が暗くなって来ちゃったわね。お父さんたら、どこまで散歩に行ったのかしら」

桜「私、探しに行ってくる」


少し感情的になっている希美。


希美「馬鹿言わないの!二十五年ぶりに帰って来たのよ、桜のほうが迷子になるでしょ!」

桜「お母さん?」

希美「やだ私ったら。お母さんが行ってくるから桜は留守番をお願いね」


去る希美。


桜「行ってらっしゃい。そうだよね町も変わって行くんだ」