課長が「昼休みにちょっと話があるから」と、申し送りの終了後、珍しいお誘い?が。

(別に怒られるようなことはしてないけど…)

まるで職員室に呼び出された学生並の発想に自分でも笑ってしまった。

午前中の仕事が一段落して、書類を整理しているうちに昼休みになった。

課長が「まあ、昼食を取りながら、ゆっくり話しましょう」

あれあれ、あれ?これってまた…。

嫌な予感、的中。

課長と一緒に施設長室へ。

「お疲れ様。どうだ?副主任。評判、悪くないよ」

「ところで新しい施設のことなんだけど…」

噂は昨年から蔓延していたからもう慣れっこになっていたし、自分には関係のないことと考えていなかった。

「新しい施設のスタッフ、以前も経験があるらしいけど、どう興味ないかなぁ。また、施設の立ち上げに尽力してみないか?」

「異動ということですよね…」

頭が真っ白になった。

確かに新しい施設の立ち上げは経験しているけれど。

大変なんだ。

新しい職員の採用と教育。新しい入居者との一からのコミュニケーションとサービス提供の確立。そして、まだまだ…山積み。

普通、私のような職場は異動ということに縁がないのが一般的。

しかし、今の職場の母体は日本各所に施設を抱えて…。

「まあ、そういうことで職員採用の面接が最初の仕事だな」

1月1日付の異動…

副主任から「主任」へ。

出世欲は人一倍ある。

嬉しい。しかしー

また更に更に忙しい日々がー

相当の覚悟が必要になる。

私の方から施設長へ「今の職場から、何人 連れて行ってよろしいでしょうか?」

「話 速いね。今のところ考えているのは三人だね」
「希望を申し上げてもよろしいですか?」

「具体的に私が選抜してもよろしいですか?」

「なるほど。まあ人によるな。当たり前だけどね。希望は一応 聞くけどね」

…それにしても異動か…

今年はなんちゅう年だ!

どさくさ紛れで様々なことが次ぎから次ぎへと。

いやいや、チャンスだ。

複雑な気持ちは、この際置いといて前に進もう。

新天地へ。

私は思った。


「生まれてきたのは間違いだった。

つくづく。つくづく。」
そう心が呟いた、二度目の夜。

(でも、逝く訳には行かない)

実は「生」の隣に「死」は必ずある。

いちいち人は、意識はしない。

追い詰められてー

「死」という選択肢しか残っていない、と心底思ったなら…。

安心して下さい。遅かれ早かれ、人は死にます。慌てることはありません。「死」を選ぶなら、その前に「逃げる」という手段があります。

「逃げる」ことは、負けでもなくマイナスでもなく恥でもありません。

生きてさえいれば、人生はリセット出来る。

何度でも、何度でも。


「人生。意外と、負けるが勝ち。」

なんだけどなぁ。

とりあえず、今夜は逃げましょう。

明日のことは明日、考えましょう。

仲間だぜ、私も。

今、十代の君へ。

私は君から離れました。

安心したからではありません。

君に問い掛けることの無意味さをつくづく感じたからです。

若いということはそれだけで美しいし尊い。

しかし、未熟だ。

甚だ未熟だ。

私は「死」を口にする君を止めたいと思った。

しかし、しばらくして私は呆然としー

そして激怒した。

私は君に「さよなら」した訳じゃない。

見捨てのだ。

言わせてもらう。

「死」を弄ぶのはよせ。

「死」の意味も「死」の深さも何も理解せず、「死」を口にすれば誰かが助けてくれるー

それも若さか。

だから君は「死」を止めたい私を「口説いている」と感じていた。

ここまでくると正直なところ笑ってしまう。

恋愛についても未熟…。

感受性は無いに等しい。

私は今、本当に「死」と向き合っている大切な人を元気づけたいと思って必死だ。

彼女の苦悩を想えば、君の苦悩なんて…。

もし、本当に死にたいと願うなら本気で「死」と向き合え。

本気ならな。