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 2025年大阪・関西万博で、大気中の二酸化炭素(CO2)を大量に回収する実証実験が行われる。

 地球温暖化を防ぐため、注目が集まる「DAC」と呼ばれる技術で、集めたCO2でメタンを生成し、万博会場での調理に活用するという。

Co2回収技術

 二酸化炭素(CO2)の回収と分離技術は、気候変動対策の一環として注目されています。

 これらの技術は、大気中のCO2濃度を低減させるだけでなく、産業プロセスにおける排出ガスの浄化や再利用にも寄与します。

1. 物理吸収法 (PSA: Pressure Swing Adsorption)

  • 原理: PSAシステムは、吸着剤を使用してCO2を選択的に吸着し、その後圧力を変化させてCO2を解放する方法です。
  • 利点: 高効率で、エネルギー消費が少ない。
  • 応用分野: 天然ガス処理プラント、工業排気ガスの処理、バイオマス燃焼施設など。

2. 化学吸収法 (Selexol, MEA: Monoethanolamine)

  • 原理: CO2を吸収液に溶解させ、その後再生してCO2を分離する方法。
  • 利点: 高い選択性と容量を持つ。
  • 応用分野: 火力発電所の排出ガス処理、石油精製所の排出ガス処理など。

3. 膜分離法 (Membrane Separation)

  • 原理: 特定の膜を用いてガス成分を分離する方法。主に半透膜や多孔性膜が使用される。
  • 利点: 低圧で動作するためエネルギー効率が高い。
  • 応用分野: 空気からの直接CO2回収、工業排出ガスの処理。

4. 液体-液相抽出 (Solvent Extraction)

  • 原理: 有機溶媒を使用してCO2を抽出し、その後再生してCO2を取り出す方法。
  • 利点: 高い分離効率を持ち、大規模なシステムに適用可能。
  • 応用分野: 化学工場、セメント製造、製鉄所など。

5. 物理吸着法 (PSA: Pressure Swing Adsorption)

  • 原理: 固体吸着材を利用してCO2を吸着し、圧力の変化によりCO2を放出させる方法。
  • 利点: コンパクトなデザインが可能で、操作が簡単。
  • 応用分野: 小型設備や分散型システムに適している。

6. 生物吸収法 (Bio-Capture)

  • 原理: 藻類や植物を利用した自然界のメカニズムを模倣した方法。
  • 利点: 再生可能資源を使用し、持続可能な方法である。
  • 応用分野: 小規模なCO2回収プロジェクト、都市部の緑地化プロジェクト。

7. 電気化学的手法 (Electrochemical Methods)

  • 原理: 電極を用いてCO2を還元または酸化反応により変換する方法。
  • 利点: 非常に高い選択性を持つ。
  • 応用分野: 研究段階が多いが、将来的には大規模なCO2回収システムに応用可能。

8. ハイブリッドシステム

  • 原理: 複数の技術を組み合わせて、より効率的かつ経済的なCO2回収システムを構築する方法。
  • 利点: 各技術の利点を最大限に活用でき、総合的な性能向上が期待できる。
  • 応用分野: 大規模な産業施設やクリーンエネルギープロジェクト。

まとめ

CO2回収と分離技術は、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。それぞれの技術には特有の利点と適用範囲があり、具体的なニーズや環境に応じて適切な技術が選ばれます。今後の研究と技術開発により、さらに効率的でコスト効果の高いCO2回収システムが普及することを期待しています。