Laowa 10mm F2.8 Zero-D で天の川
極一部の皆様、お待たせしました。2024年6月7日の深夜、太陽風磁場の向きが突然大きく南向きに落ちたので出撃してみました。
お陰様で撮影地までは車で15分程度。そんな近い場所に「これだけの星空」があるクィーンズタウンに住んで31年になろうとしていますが、大学生時代は高野山の南にある護摩壇山まで下道を使って往復8時間も掛かっていた事を考えるとメッチャ楽で仕方がありません。
護摩壇と言っても北の空を振り返ると大阪市の殺人的光害が見えており、撮影が可能なのは南側の空だけでした。当時撮影の写真が突然整理中に出て来ましたが、当然フィルムカメラでの撮影でソフトフィルターも使っていないので、一体何の天体を撮ったものか分るまで時間がかかりました。
また、貧弱な写りに落胆しまくりでした。
フィルムは露出時間が長ければ長い程感度が落ちていくという特性があったので、今なら10秒の露出で撮れる写真を、当時は20分程度も赤道儀で追尾して撮らなければなりませんでした。
どんだけ楽になったんでしょうね。
さて今日は休暇旅行の出発時に免税価格で買えた Laowa 10mm F2.8 FF Zero-D レンズで初めて天の川を撮ってみました。
そしてかなりの意地悪をしてみましたで。
それは写真の左端に1等星2つを配置してみた事です。どれだけ引き伸ばされるかを確認するのに最適な画角と思います。
左端上部にエリダヌス座のアケルナル、そして下部に竜骨座のカノープスがそれになります。
やはりメッチャ引き伸ばされてしもうてます(涙)。一絞りしてますが。
こちらは「時を戻そう」で、オーロラが最も大きな瞬間を捉えたものです。
しかし、残念ながら「違うレンズ」と「天体改造カメラ」で撮ったものです。
一枚目の写真は天体用に改造していない Sony α7RIII で撮ったモノで、やはり高解像度故のノイズが多く出ており、天体を撮るにはリスクがあります。
まあ撮像を何枚も重ねて、ダークフレームにフラットフレームをそれぞれ数十枚重ねてやれば問題ないのでしょうが、時間がない場合は無理なお話です。
上の写真でも両端の明るい星が若干引き伸ばされていますが、Laowa 10mm レンズに比べれば大したことはありません。
それより湖底の石が星明りで浮かび上がっているのを見逃さないで下さいまし。氷河の解けた水は綺麗ですよ。
背景が緑色なのは「Air Glow』そう、大気光です。
最後の写真も2枚目の写真とほぼ同時刻に撮ったものですが、カメラが11年前発売のものに変わっています。
未だにこの Canon EOS 6D は天体向きと言われる所以ですが、それにソフトフィルターを噛ましています。
2つのマゼラン雲に南十字座、それにカノープスも写っています。
女性向きに「若干青みがかった写真」に仕上げてみました。
しかし、3枚全ての写真の様に露出時間が10~20秒でこれだけの星が写るのですから楽になりました。
まあモデルさんが良いのでこの結果なのですが、この星空を見てしまうと日本には2度と戻れないのをご理解頂けると思います。
事実、今回の日本帰省で実家の大阪府北部に立ち寄ったのですが、快晴の天気なのに、肉眼で見えたのは牛飼座のアークトゥールスだけでした。
アークトゥールスと言えばほぼ0等級の星。これ以外の星が全く見えなかったという事実。
ここクィーンズタウンだと郊外では星明りで全てのものに影が出来、星空は銀色に染まっており、肉眼では見えない7等星や8等星が寄せ集まって増光し、肉眼で空全体が黒ではなく色が付いているのが判るほど。
この現実を考えると、対角で130度も撮れる Laowa 10mm F2.8 FF Zero-D レンズを買う方は、不動産屋さんで賃貸部屋を撮影するとか、建設業の方で建物を一発撮りする目的など、昼間の撮影には重宝するも、星空の撮影での購入は???なのでしょうね。
しかも四隅の明るい星は「やはり」引き伸ばされてしまいますし。
まあ筆者もこのレンズを星空撮影で使うというよりも、「オモロイ写真」を撮れるかいな・・・程度で手元に置いておこうかなというのが本音。
「出番は多くないだろう」というのが結論。
星空を撮るなら TTArtisan 11mm F2.8 Fisheye の方が優秀です。しかし、Fisheyeレンズなので地平線は曲がりますが、天体の高度は正確に表現されるので宜しいかと思います。