「磁気嵐の強さ」と実際のオーロラ規模

さて2026年も10月になろうとしていますが、こちらNZ南島クィーンズタウンは「春なのに」ゲレンデの積雪が最も多いという「おかしな天候」になっています。まあ日本の様な自然災害にまでは至らないのですが、今頃冬型の気圧配置が強くなる日が続いています。
さて、筆者は毎日オーロラと睨めっこをする生活を送っており、太陽風磁場の向きや、その速度等を見ながら出動するのか、様子見なのかを判断してきました。当然、大きなオーロラを期待してタイムラプス撮影を実施しても、思ったよりもオーロラの規模が小さかったり、またその逆で大きなオーロラが出たりと、毎回予想が付きません。
そんな中、宇宙天気ニュースを主催されているS先生との会話の中から、オーロラの出現規模を左右するものとして「Dstという指標」が大きく関わっていると伝授して下さいました。
ググってみると、「Disturbance Storm-Time Index」の省略形で、「太陽風などの変動によって引き起こされる大規模な地磁気嵐(磁気嵐)の強さと発達度合いを量的(数値)に表す指標です」と書いてある。
しかも、中低緯度にある複数の地磁気観測所のデータを元に数値化しているらしい。
上のグラフは今月のものだが、数値がマイナス側に大きく落ちる事もなく、磁気嵐が殆ど発生していない事が分かる。

そして、このグラフは2024年5月のものですが、5月11日に折れ線グラフが大きくマイナス側に落ちており、大きな磁気嵐が発生した事を物語っています。
そう、この夜に北海道で多くの方がオーロラの撮影に成功された日であります。
折れ線グラフがボトムのマイナス500ナノテスラ近くに達したという、第一級の磁気嵐が起こった事を表示しています。
なのに、筆者は呑気にタイ王国はプーケット島で休暇を謳歌しており、この夜の大出現を一切見られませんでした。
休暇旅行から戻り、当時の同僚が撮った写真を見せて貰い、暴れそうになった事を覚えています。

ただ同年10月11日の朝4時前から始まったオーロラには出会えました。
生憎、出現して直ぐに夜明けを迎えてしまい、夕暮れを待ちわびたのですが、見事に大きなオーロラをたなびかせてくれました。
このグラフを見ると、磁気嵐の規模はマイナス300ナノテスラを超えて下がっています。世界時の13~14時頃に頂点を迎えており、NZは13時間先行しているので、午前2~3時頃になります。
オーロラは北の空の低空を除き、それ以外の全天を七色に染めました。
流石にマイナス300ナノテスラを超えるとほぼ全天オーロラとなり、圧倒されるようなオーロラダンスが見られる事が分かります。
その夜に5台のカメラでオーロラを撮りましたが、こちらをご覧下さい。
1台目
2台目
3台目と4台目
5台目

ところが、今年2026年1月20日夜のオーロラ爆発時の磁気嵐数値はマイナス225ナノテスラ程度だったことが上のグラフから見て取れます。
しかし、この日のオーロラは前述の2024年10月11日のオーロラを完全に凌駕しており、オーロラの出現規模と、このDst数値は比例していないことが分かります。
この夜の模様を撮ったカメラ毎の写真はこちら
1台目
2台目
2台目
2台目と3台目

お次はち~と昔に戻ります。まだ生まれていない方もいると思いますが、2001年3月31日にタイムスリップしますね。
ほぼマイナス400ナノテスラまで大きくなった磁気嵐が発生しました。その夜にフィルムカメラで撮った写真の一枚を使いオリジナルの写真集「オーロラと南十字星」を発刊しました。
宣伝を兼ねて、このページをご覧下さい。表紙に選んだ写真こそ、この夜に家の庭先で撮ったものです。
撮影はペンタックスLXというフィルムカメラに、タクマーの28mm F2.8を取り付けました。フィルムは6週間後に生まれて来る初めての子供を撮る為に嫁さんが買っておいた感度ASA200のネガフィルムで24枚撮りでした。
オーロラ爆発が起きているのに、一晩で24枚しか撮れなかったんですよ。今年2026年1月20日の夜は5台のカメラで合計7500枚のオーロラを撮った事を考えると、昔は乱写が出来ませんでしたね。
このページをご覧頂いている方の殆どが60歳代という統計が出ていますので、この気持ちをご理解頂けると思います(笑)。

そして、筆者が初めてニュージーランドに来てから今日までで、最も大きな磁気嵐が起こったのが1989年3月13~14日でした。
前年の1988年7月に初めてニュージーランドに来て、筆者はワーキングホリディを利用して滞在しておりました。この頃はクライストチャーチに住んでおり、ラグビージャージのお店「カンタベリー」に勤務しておりました。
それ故に夜更かしもせず、13日が日曜日だったことから、翌朝からの勤務に向けて静かに寝てしまっておりました。と言うより、まさかニュージーランドでオーロラが出るなんて知りもしなかった頃でした。
そして、14日(月)の夜はクライストチャーチの夜空が真っ赤に染まったと後で聞いたのでした。ただ24歳の若者だったこともあり、当時お付き合いしていた女性とラブラブで「それどころ」ではありませんでしたね(笑)。
しかし、上のグラフを見ると、マイナス600ナノテスラに達する巨大磁気嵐が起こっていた事が分かります。
すんごいオーロラが出たのでしょうね。もしオーロラの事を知っていたら、昼の仕事には従事していなかったでしょうね。
今から考えると、大変惜しい事をしたと思っています。「知らない」って、めっちゃ損をしていると自覚した瞬間でもありました。