今回以降は、取締り件数の多い違反で検挙された際にどのような対処をすればよいかをケース別にまとめていく。なお、切符取り下げ率を上げる為には、ICレコーダーの携行が肝心であり、現場での「言った言わない」では警察官の証言能力に勝つことは出来ない。僕自身、「提示はするが、提出は任意のはずだから免許証を返してくれ」と言ったら、「提出が義務だ!逮捕するぞ!」と脅されたことがある。後に公安委員会に苦情申立てをしたところ「そのような事実はない」と返答されたため、電話をして「どういうことだ?」と尋ねたら、「逮捕するぞなどと述べた事実はなく、免許証はあくまでも任意であなた自身が提出した」というあり得ない話をされた。従って、ICレコーダーを携行し、警察官の一語一句を逃さず録音しておこう。

 まずは共通の事項について

共通事項(取締り冒頭部)

①はい、免許証出して。

主張:免許証の提示は構いませんが、先に警察バッジを提示して所属階級氏名を明らかにして下さい。また、免許証の提示は道交法67条に規定されていますが、それのどの条項に照らして提示を求めるのか言って下さい。

②何言ってるんだ!早く出しなさい!

主張:制服を着ているからと言って警察官とは限らないでしょう?とにかく職務中のバッジの提示は義務ですから、所属階級氏名をメモさせて下さい。その上で免許証の提示条件を言ってみて下さい。提示要件を言えないなら見せる義務がなくなると思いますが違いますか?あなたは法律上は「司法警察員」ですよね?司法と言っておきながら免許証の提示要件も言えないなんてことはないですよね?

解説:怒られれば許してもらえそうな場合は素直に提示した方がよい。これは全面的に争う場合の意思表示である。いずれにせよ、切符を記入し始めたらとりあえず所属階級氏名はメモさせてもらおう。
さて、ここからは法原則のようなものなので、いちいち条文を挙げずに要点だけをまとめていく。

⑦職務中の警察官は求められたら身分証を提示しなくてはならない
 考えてみれば当たり前のことだが、警察官としての職務を執行する以上、警察バッジの提示にはいつでも応じなければならない。だから、タイミングとしては警察官が切符を作成し始めたあたりで「あなたが本当に警察官なのかどうか確かめたいので、警察バッジを提示し、所属・階級・氏名を明らかにして下さい」と言おう。チラッと見せてしまってしまうような相手だったら、同じような感じで免許証を見せて引っ込めよう。「これで提示したことになるんですよね?」とでも言えば、怒りながら見せてくるだろうから、迷わずメモ帳か携帯にメモを取ること。それ以後の取締りで相手の名前を呼ぶことが肝要なので。

⑧道路交通法で検挙出来るのは故意の違反のみ。過失はケース次第。

 故意とは「わざと」、過失とは「うっかり」とか「知らずに」ということである。さすがに200km/hで走っていて「うっかり」とは言えないだろうし、一時停止の標識があるのに気付かなかったという主張も苦しいが、他に注意を払わなければならないことが多く、標識の確認が困難であった場合などにはこの「過失」が認められる。過失は道路交通法のような刑法ではない法律下では可罰的違法性を持たないので、「私はそんな違反をしたつもりもするつもりもありませんでした。過失があった事は認めますが、断じて故意ではありません」と主張し、切符なり供述調書に必ずそのことを記入させよう。

 もちろん、人身事故で人に怪我をさせてしまったような場合は、「業務上過失傷害」という刑法上の違法行為であるから裁かれるが、道路交通法違反には「過失違反」というものはないのである。取締りを受けているということは、事故もなく安全に停止したのであろうから、過失があったからと言って警察OBの生活を支える為の集金行為に協力する義務はないのである。但し標識の見逃しのような「重大な過失」は故意に近いので注意。

⑨被疑者であるうちは「推定無罪」である。

 これも単なる法原則であるが、たとえ刑事事件で逮捕されたとしても、裁判を経て刑が確定するまでは「容疑者」もしくは「被疑者」に過ぎない。道路交通法違反の取締りは現行犯が原則だが、少なくとも反則告知書に署名して罪を認めない限りはあくまでも「被疑者」に過ぎず、警察官に怒鳴られる筋合いはないのである。その証拠に告知書に対する署名も告知書への署名を拒否した場合に取られる供述調書への署名もあくまでも「任意」であり、従う必要はないのである。なぜならば刑が(罪が)確定するまでは「推定無罪」とされ、無罪の人と同等の扱いを受ける権利があるからである。

 従って、警察官に高圧的な態度を取られた場合はこう言うと態度が軟化することが多い。

「私は確かにあなたの不当な取り締まりによって嫌疑が掛けられた被疑者には違いないが、裁判で罪が確定するまでは「推定無罪」なのだから、あなたに怒鳴られたり威張られたりする筋合いはない。公僕たる公務員が何を理由に納税者に対して一方的かつ高圧的な態度を取るのか?釈明如何では総務省人事監察局と公安委員会に苦情の申立てをするから、警察バッジを提示し所属階級氏名を明らかにした上でもう一度同じこと言ってみろ!」

⑩犯罪とは、その事実のみでは成立しない。

 これが見落としがちな、かつ一般的には知られていない事実である。犯罪というものは、①犯罪の事実があり ②捜査・検挙が合法的に行なわれた時のみ 成立するのである。

 つまり、仮に速度超過したという事実があったとしても、それを追尾した覆面パトカーが赤色灯を点灯させていなかったり、車を体当たりさせて無理やり停めたりしたような場合には、速度超過という不法行為を取締ることは出来ないのである。警察とは法を守る組織なのだから、取締りや逮捕はあくまでも合法的に行なわれなければならないのである。

 実はこれが、切符を取り下げさせたり、少なくとも反則金を納付しなくてよくなる肝心なポイントなのである。細かい対処法は次回以降に解説するが、「この取締りには○○の点で違法性があります。従って私の違反を取締ることは出来ないハズです。」というのが殺し文句なのである。

 とにかく忘れずに覚えておこう。取締りの方法に違法性があれば、その犯罪は成立しないのである。
 どれだけ法的根拠を尋ねても、「これが警察官の仕事だ。ちゃんと許可を得ている」と言い張る嘘つき警官が後を絶たない。だから、こちらも強気に応じなければならない。今回では、不当な扱いを受けた時の対処法について考えてみよう。

 まず、取締りが待機中のPCもしくは、ネズミ捕りのようなものだった場合、警察側の車両の駐車禁止について尋ねてみよう。その根拠は以下の通りである。

⑥第45条(駐車を禁止する場所)
車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるそ の他の道路の部分においては、駐車してはならない。ただし、公安委員会の定 めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。

第41条(緊急自動車等の特例)
緊急自動車については、第八条第一項、第十七条第六項、第十八条、第二十条第一項及び第二項、第二十条の二、第二十五条第一項及び第二項、第二十五条の二第二項、第二十六条の二第三項、第二十九条、第三十条、第三十四条第一項、第二項及び第四項、第三十五条第一項並びに第三十八条第一項前段及び第三項の規定は、適用しない。
2 前項に規定するもののほか、第二十二条の規定に違反する車両等を取り締まる場合における緊急自動車については、同条の規定は、適用しない。
3 もつぱら交通の取締りに従事する自動車で総理府令で定めるものについて は、第十八条第一項、第二十条第一項及び第二項、第二十条の二並びに第二十五条の二第二項の規定は、適用しない。
4 政令で定めるところにより道路の維持、修繕等のための作業に従事している場合における道路維持作業用自動車(専ら道路の維持、修繕等のために使用する自動車で政令で定めるものをいう。以下第七十五条の九において同じ。)については、第十七条第四項及び第六項、第十八条第一項、第二十条第一項及び第二項、第二十条の二、第二十三条並びに第二十五条の二第二項の規定は、適用しない。

 要約しよう。「警察署長の許可を受けていない限り、駐車禁止区域に駐車してはならない。」「緊急車両の除外事項の中に、第45条が含まれていない以上、緊急車両であっても駐車禁止区域に駐車してはならない。」

 とはいえ、赤色灯を点滅中の緊急車両については、道交法全てが適用されないと言っても過言ではないので、赤色灯が回っていたら、この点に関しては諦めよう。だが、赤色灯が回っていなかったら要チェックだ。

 まずはこう切り出す。「あそこに停まっているパトカーは、赤色灯を点滅させていませんから、一般車両と同じ扱いですよね?あそこは駐車(駐停車)禁止区域だと思いますが、どうして停めてもいいんですか?」

 おそらく、警官はこう言うだろう。「取締り中(仕事中)だからだ。」

 そしたらこう言おう。「私が道路交通法を読んだ限りでは、赤色灯を点滅させて緊急車両扱いにしなければ、第41条は適用されないと思いますし、そもそも第41条にも駐車禁止区域内に停めてもいいとは書かれていません。何故なら、駐車禁止区域というのは、「そこに停めたら危険、もしくは円滑な交通の阻害になる。」から指定されているモノだからです。パトカーといえど、赤色灯を点滅させていなければ一般車両と同じく道交法を守らなくてはいけませんし、取締り中ならばなおさら赤色灯を点けなくてはいけなくないですか?」

 なおも警官は粘るハズだ。「交通取締りに従事する車はいいんだ。それより君がした反則行為について言っているんだ!」

 そこでこれを聞いてみる。「駐車禁止は第45条ですよね?例外事項は警察署長の許可を受けた時のみのハズです。口頭での許可など信憑性がありませんから、書面で交付されているハズの許可証を見せて下さい。」

 この論理は、ネズミ捕りでテントが立てられていた時も同じである。聞いてみた事がないのでわからないが、ネズミ捕りで道路上・歩道上にテントを立てる行為は、道路法によって規定があり、管轄警察署長の許可がなければならず、許可した場合は許可証を発給することになっている。したがって、勝手に公道上にテントを立ててはいけないのだから、許可証を持っていなければ、その取締り自体に法的不備がある事になる。だから、相手が見せてくれるまで許可証の提示を求めよう。「関係ない」とか言われたら、「法を犯しているかもしれない人に、反則行為の取締りを受けたくありませんから、あのパトカー(テント)は合法である事を先に証明して下さい。それとも、警察は何をやっても許されるんですか?仕事だからなんて理由になりませんよね?営業車で仕事中の人が交差点の近くに駐車しても、仕事中だからって許してくれるんですか?」

 ここまで主張すれば、大抵の警官は引いてくるものだし、引いてこなくてもこちらの法的知識量を推し量り、切符へのサインは求めてこなくなる。サインがなければ青切符に対する刑事処分はまず間違いなく不起訴になるし、行政訴訟で争いたい場合も、「私は当初から認めていなかった」と主張する方が面白い裁判が出来るだろう。