さて、ここからは法原則のようなものなので、いちいち条文を挙げずに要点だけをまとめていく。

⑦職務中の警察官は求められたら身分証を提示しなくてはならない
 考えてみれば当たり前のことだが、警察官としての職務を執行する以上、警察バッジの提示にはいつでも応じなければならない。だから、タイミングとしては警察官が切符を作成し始めたあたりで「あなたが本当に警察官なのかどうか確かめたいので、警察バッジを提示し、所属・階級・氏名を明らかにして下さい」と言おう。チラッと見せてしまってしまうような相手だったら、同じような感じで免許証を見せて引っ込めよう。「これで提示したことになるんですよね?」とでも言えば、怒りながら見せてくるだろうから、迷わずメモ帳か携帯にメモを取ること。それ以後の取締りで相手の名前を呼ぶことが肝要なので。

⑧道路交通法で検挙出来るのは故意の違反のみ。過失はケース次第。

 故意とは「わざと」、過失とは「うっかり」とか「知らずに」ということである。さすがに200km/hで走っていて「うっかり」とは言えないだろうし、一時停止の標識があるのに気付かなかったという主張も苦しいが、他に注意を払わなければならないことが多く、標識の確認が困難であった場合などにはこの「過失」が認められる。過失は道路交通法のような刑法ではない法律下では可罰的違法性を持たないので、「私はそんな違反をしたつもりもするつもりもありませんでした。過失があった事は認めますが、断じて故意ではありません」と主張し、切符なり供述調書に必ずそのことを記入させよう。

 もちろん、人身事故で人に怪我をさせてしまったような場合は、「業務上過失傷害」という刑法上の違法行為であるから裁かれるが、道路交通法違反には「過失違反」というものはないのである。取締りを受けているということは、事故もなく安全に停止したのであろうから、過失があったからと言って警察OBの生活を支える為の集金行為に協力する義務はないのである。但し標識の見逃しのような「重大な過失」は故意に近いので注意。

⑨被疑者であるうちは「推定無罪」である。

 これも単なる法原則であるが、たとえ刑事事件で逮捕されたとしても、裁判を経て刑が確定するまでは「容疑者」もしくは「被疑者」に過ぎない。道路交通法違反の取締りは現行犯が原則だが、少なくとも反則告知書に署名して罪を認めない限りはあくまでも「被疑者」に過ぎず、警察官に怒鳴られる筋合いはないのである。その証拠に告知書に対する署名も告知書への署名を拒否した場合に取られる供述調書への署名もあくまでも「任意」であり、従う必要はないのである。なぜならば刑が(罪が)確定するまでは「推定無罪」とされ、無罪の人と同等の扱いを受ける権利があるからである。

 従って、警察官に高圧的な態度を取られた場合はこう言うと態度が軟化することが多い。

「私は確かにあなたの不当な取り締まりによって嫌疑が掛けられた被疑者には違いないが、裁判で罪が確定するまでは「推定無罪」なのだから、あなたに怒鳴られたり威張られたりする筋合いはない。公僕たる公務員が何を理由に納税者に対して一方的かつ高圧的な態度を取るのか?釈明如何では総務省人事監察局と公安委員会に苦情の申立てをするから、警察バッジを提示し所属階級氏名を明らかにした上でもう一度同じこと言ってみろ!」

⑩犯罪とは、その事実のみでは成立しない。

 これが見落としがちな、かつ一般的には知られていない事実である。犯罪というものは、①犯罪の事実があり ②捜査・検挙が合法的に行なわれた時のみ 成立するのである。

 つまり、仮に速度超過したという事実があったとしても、それを追尾した覆面パトカーが赤色灯を点灯させていなかったり、車を体当たりさせて無理やり停めたりしたような場合には、速度超過という不法行為を取締ることは出来ないのである。警察とは法を守る組織なのだから、取締りや逮捕はあくまでも合法的に行なわれなければならないのである。

 実はこれが、切符を取り下げさせたり、少なくとも反則金を納付しなくてよくなる肝心なポイントなのである。細かい対処法は次回以降に解説するが、「この取締りには○○の点で違法性があります。従って私の違反を取締ることは出来ないハズです。」というのが殺し文句なのである。

 とにかく忘れずに覚えておこう。取締りの方法に違法性があれば、その犯罪は成立しないのである。