令和3年度司法試験 刑事系科目第2問 再現答案 | らみの気まぐれ日記

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令和3年司法試験合格

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お待たせしました。

わたしが合格した年の令和3年度の司法試験の再現答案を投稿していたのですが、刑事系第2問だけずっと書いていなかったので今更ですが書きたいと思います。

1年も経ってしまったことをお詫び申し上げます。

 

刑事系第2問の成績はBでした🙁

 

 

設問1

①と②の各差押えの適法性が問われています。

 

①は丙組若頭丁の名刺です。

まずは、条文から。刑事訴訟法の218条1項、219条1項を示した上、捜索差押令状は令状に記載され、被疑事実と関連する範囲でのみ捜索差押が許されるということを書きました。

理由としては、令状は事前に令状審査が行われるので、被疑事実と関連した範囲で令状審査が行われている以上その範囲を逸脱することは令状主義の趣旨に反するというようなことを書いたと思います。

 

そして、あてはめについては最判昭51.11.18を参考にしました。

本件の被疑事実は住居侵入強盗であり、一見丁の名刺は関連性がなさそうにも思えます。しかし、甲の供述から、本件の被害品が丙組の幹部に貢がれている可能性が示唆されていることや、丙組自体が関与している可能性があり、関連性があると考えました。

 

迷ったのは差押えるべきものの中に「名刺」が含まれているのでそこの部分にも言及すべきかどうか悩みましたが、書かなかったと思います。

 

 

②はUSBメモリ合計2本についていずれもその内容をその場で確認することなく差押えたことの適法性です。

まずは原則を示します。

上述①のように、差押える物件は被疑事実との関連性が必要となります。そのため、包括的な差押えは許されません。

 

しかし、これには例外があります。これは最決平10.5.1が参考となります。

 

①電磁的記録物に被疑事実に関連する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、②そのような情報が実際に記録されているかをその場で確認していたのでは記録された情報を損壊される危険があるときは、内容を確認することなしに差し押さえることが許される。とされています。

 

出題趣旨によれば占有取得の趣旨は「必要な処分」(刑訴222条1項、111条1項)であることに注意が必要とされていると書かれています。わたしはこの部分あまり意識できていなかったです(趣旨規範とかにも「差押えが許されるって書いてある」)😢

 

電磁的記録物には㋐可視性・可読性がないこと、㋑記録される情報が膨大なものとなりうること、㋒ソフトの利用により一瞬で内容情報が消去される危険もあるという特殊性があるため、このような例外が認められるとされています。

わたしはこの㋐㋑㋒の電磁的記録物の特徴をうまく書けなかったと思います😢

 

そして、なぜこのように関連性が緩やかに認められるのか?という理由を書きました。

これは判例にはないのですが、学説では議論されているようです。わたしは関連性変動説に立って書いたと思います。

捜索差押の「正当な理由」(憲法35条)の存在の判断は、被処分者の利益と捜査の必要性との比較考量に基づく規範的なものであるから、それに必要とされる被疑事実と差押え対象物との関連性も一義的に決まるのではなく、逐一の確認を事実上不可能とする特別な事情があれば、被疑事実との関連性の程度が通常よりも緩和され、いずれかの媒体に関連情報があるとの蓋然性で足りるとされています。

 

ここまでしっかり書けてないけいどね、、

 

この辺はあまり基本書とかに詳しく載っていないのではないかなと思います(ちゃんと見たわけではない)。少なくとも趣旨規範ハンドブックとかにはちゃんとした理由付けはされてなかったです。

いろんな説があった気がしますので気になった方は調べてみてください。

 

では、あてはめです。

①甲の供述によれば、USBメモリには強盗のターゲットとなる人の情報が含まれているという。甲にとっては不利益供述となることを具体的に話しているため信用性も高い。

USBは2本あり、白と黒のうちいずれかには情報が含まれている蓋然性が高いといえる。

②甲に確認してくださいと言われている。しかし、甲によるとパスワードを一度でも間違えると初期化されてしまう。乙はパスワードを教えているが、甲はパスワードを8桁と言っていたため、本当のパスワードを教えているかはわからない。乙しか知らないパスワードを捜査機関にすぐに教えるのかも疑問が残る。

このことから、一度でもパスワードを間違えることは許されず、その場で確認していたのでは情報が損壊される恐れが高い。

 

以上により、包括的差押えは認められるとしました。

 

 

設問2

設問2は、来ましたね、伝聞です。

 

1について

伝聞が来たらもう最初に書くことはお決まりです。

まず、

条文→異議→趣旨→要証事実との関係で相対的に決せられること

は必ず記載すべきだと思います。

 

条文は320条1項です。

伝聞証拠の意義は、公判廷以外の供述を内容とする公判廷における供述又は書面で、供述内容の真実性を立証するために証拠として提出されるものです。

趣旨は、伝聞証拠は知覚、記憶、表現、叙述という過程を経て公判廷に検出されるところ、その各過程には誤りが混入しやすいため、公判廷において信用性を吟味する必要がある。というようなことが書けていれば大丈夫だと思います。

そして、伝聞証拠となるかどうかは、要証事実(立証趣旨)との関係で相対的に決せられるということを一言書いておきましょう。

 

本件での要証事実(立証趣旨)は、共謀の存在であると考えられます。

 

そして、本件の資料1のメモは本件の被害者であるVの情報のようなものが書き込まれています。

立証趣旨が「共謀の成立あるいは内容の証明」だとすれば、ここから共謀の存在を推認するとすれば本当に乙が作成したものを甲に見せたかどうがが問題となり、真実性が問題となると書きました。

 

この点出題趣旨によればメモ1には共謀を推認させるような記載はなく、この記載の真実性を立証したとしても意味を持たないとされています。たしかに要証事実との関係ではこの内容立証しても意味ないですね。最初に要証事実との関係で決せられると書いておきながらただ書いただけになってしまいました😂

 

 

 

では、立証趣旨が「メモの存在とその内容」とした場合はどうでしょうか。

この場合、2つのアプローチがあると考えられます。

(a)謀議形成手段アプローチ

メモが共犯者全員に回覧される等して確認された場合、メモの回覧等による共通の犯罪意思の形成が立証されれば、理論的に他の者も作成者と同様の犯罪を構成したと推認できるところ、上述のように作成者自身の意思の立証のためにはメモは非伝聞となる。

また、要証事実が「メモの存在と内容」であるときは精神状態の供述であるとして非伝聞とするものがあるようです。

出題趣旨は(a)のアプローチとして精神状態の供述が説明されていました。

 

(b)メモの記載と現実に起こった犯行との態様が一致し、偶然の事情による一致とは考え難いときは、当該犯行が当該メモ記載の計画に則ってされたことが推認されるため、非伝聞となる。

 

本件では、乙が所持していたことから甲がアジトを知っていて、そこで見つかったことから謀議形成手段アプローチもとれるかなと思ったんですが、ちょっと弱そうなので(b)のような書き方をしました。

本件ではメモ1にVの情報と犯行に使用した物や態様のようなものが記載されています。このことと実際に本件でこの記載通りの犯行が行われていることからすると、甲は乙の作成したメモ1の記載通りに犯行を行った(=甲は乙と意思連絡していた)と推認でき、真実性が問題とならないので非伝聞となります。

 

よって、要証事実を「メモの存在とその内容」とした場合にはメモ1は非伝聞証拠となり証拠能力は認められると考えられます。

 

 

2について

2についても要証事実は共謀の存在となると考えられます。

立証趣旨が「共謀の成立あるいは内容の証明」であるとすれば、甲がメモ2を本当に乙から指示されて書いたかどうかは真実性が問題となるので伝聞になると考えます。

 

では、「メモの存在及びその内容」とした場合にはどうでしょうか。

メモ2は乙から指示されたこととして本件犯行と同一の内容が記載されています。しかし、このメモ2の存在が認められたとしても、これは甲の家で発見されたものであり、甲が勝手に作成した可能性も考えられることから、存在だけを立証しても直ちに共謀を推認することはできないと考えられます。

そのため、立証趣旨をメモの存在及びその内容としてもあまり意味を持たず、立証趣旨は「共謀の成立あるいは内容の証明」となり、伝聞証拠にあたると考えられます。

わたしはメモの存在及びその内容とした場合には意味を持たないということを記載したのですが、出題趣旨をみるといらなかったようにも思います。

 

とすれば、伝聞例外の要件を満たす必要があります。本件は乙の公判による甲の供述の立証であるため、321条1項3号の要件が問題となります。

そして、①供述することができないという要件に甲が拒絶していることが含まれるかどうかについて書きましたが、時間もあまりなかったこととあまり理解できていなかったことからうまく書けていないと思います。

出題趣旨によれば昭44.12.4を参照するとのことでしたがそこまではできていません。

 

そして、②欠くことができないとは、当該供述を証拠とするか否かにより事実認定に著しい差異、影響を生じる場合をいうところ、本件では共謀の有無の結論を左右する重要な供述といえるということを書いたと思います。③特信情況については、絶対的特信情況が必要なところ、なにを書いたか覚えていないんですが、下書きには「なし?」とだけ書かれています。笑

 

こんな感じです。

一年以上前の記憶なので覚えていない部分もあることはご容赦ください🙇‍♀️

 

今年の問題も気になるのでさらっと目を通してまたこのブログに載せたいと思っています。

よろしくお願いいたします😊

 

 

では。