令和3年度司法試験 刑事系科目第1問 再現答案 | らみの気まぐれ日記

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令和3年司法試験合格

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こんにちは、らみです☺️

気持ちのいい気候になってきましたね。死ぬほど寝られそうな気候です😪笑

少し寒くなってくるとワクワクしませんか。秋はとても好きな季節です🍁

 

最近はガールズプラネットという韓国のオーディション番組にドはまりしています。またブログでも書きたいな。

高校、大学とだらだら続けていた韓国語もちゃんと勉強しようと思っています📚

 

さて、本日は刑事系科目第1問を書きたいと思います。日程的には刑事系が論文最終日で、2科目で帰れるので、これさえ終われば!という気持ちで臨みました。

結果、刑法はA評価をいただきました!

 

 

設問1

設問1では甲、乙、丙、丁の罪責が問われています。

 

丙の罪責について

わたしはまず、ショーケースから時計を本件バッグに入れた丙の罪責から論じました。

丙のBに対する業務上横領罪(刑法253条)が問題になると考えました。ここから要件をひとつひとつ丁寧に確認していきました。

①業務上

「業務上」とは、社会生活上の地位に基づき、反復、継続して行われる事務であって、委託を受けて物を占有、保管することを内容とする事務を言います。

本件で丙はB点の副店長であるため、社会生活上の地位に基づく業務といって問題はないと考えました。

②自己の占有する

時計はB店の物ですが、ショーケース内の陳列方法はすべて丙が決定しており、その鍵はC及びDが所持していたことから丙はショーケース内の時計を保管、管理する権限を有していたと考えます。特に本件犯行当時は丙しか店におらず、この間の占有は丙が有していると考えました。

出題趣旨によるとCも占有を有していると考えると丙は自己の占有とはいえず、窃盗罪の検討になります。Cの占有を否定した場合には業務上横領罪の検討になるそうですが、その場合なぜCの占有を否定するかをしっかり示す必要がありそうですね、、

本番も窃盗にするか迷ったのですが、業務上横領罪で突破してしまいました🤜

 

③他人の物

占有は丙にあったとしても、商品の仕入れ、店外への持ち出し及び価格決定については権限がなく自由に処分する権限はなかったため、時計はB店(A社)の物であるといえます。

④横領

横領とは、不法領得の意思の発現をいいます。この不法領得の意思の内容は、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思です。

本件で丙は持ち出しについて権限がなく、C(B店)でなければ持ち出すことはできないにも関わらず、時計を本件バッグに入れ持ち出していることから横領にあたる。

よって、丙には横領罪が成立する。そして、後述のとおり、甲、乙と共謀共同正犯(60条1項)となると考えました。

 

甲の罪責について

まず、甲はサバイバルナイフを丙に突きつけて時計を奪っているため強盗罪(刑法236条)を一応検討しました。強盗罪の暴力または脅迫は相手の反抗を抑圧するに足りる程度のものが必要なところ、本件では丙は事情を知っていて抑圧されたとはいえないため強盗罪にはあたらないと考えました。

次に、丙同様丙と乙との業務上横領罪の共謀共同正犯を考えました。

①共謀があること

丙と甲は事前に時計店に強盗を装って時計を奪う計画を立てているため、共謀が認められます。

②正犯意思

甲は自ら腕時計を強奪する計画を丙に持ち掛けているので正犯意思も問題なく認められると考えます。

③重要な行為を行ったこと

共謀共同正犯の要件は基本書とかによって若干違うと思いますがわたしはこの三つで書きました。

甲は実際に刃物を突き付けて強盗を装っているので重要な行為も問題なく認められると考えます。

 

問題はここからです。丙と甲が共同正犯になるとしても、甲はB店の業務者でも占有者でもないため、どの罪名の共同正犯となるかが問題となります。65条の身分犯が問題となります。

65条1項は構成的身分犯についての条文であり、2項は加減的身分犯であると考えます。

占有者という身分は構成的身分であるから、刑法65条1項により非占有者は単純横領罪の共犯となります。業務者という身分は加減的身分犯であるから、2項により業務者のみに業務上横領罪が成立し、非占有者は単純横領罪となります。(ここの説明は頭でわかってても文章にするの難しいですよね。)よって、甲は単純横領罪(252条1項)の範囲で丙と共謀共同正犯となる。

 

 

乙の罪責について

乙についても甲と丙との共同正犯について考えました。

①共謀があったこと

乙は甲とは共謀していますが、丙とは直接共謀がありません。しかし、このような順次共謀も共謀として認められると一言書いておきました。

②正犯意思

乙は最初に甲と2人で時計販売店で腕時計を強奪しようと計画していました。そして、その強奪した時計100点の内20点を取り分として受け取っているため、正犯意思が認められると考えました。

③重要な行為

乙は直接B店に押し入ったわけではないが、甲をB店まで送り届け、通行人が甲を警戒したり警察官らが駆け付けたりする様子があれば甲に知らせるために運転席から見張りをしていた。これは甲が時計を奪うために重要な行為といえる。

次に、乙はB店に強盗に入るつもりであって、丙がこの事情を知っていることを知らなかったため、業務上横領罪または単純横領罪の故意がなかったといえないかが問題になると考えました。

ここでは共謀共同正犯になるか幇助犯となるかが問題となるそうです。わたしはそこの議論を詳しく書かずに最初から共謀共同正犯になるかという問いで検討してしまいましたのでもう少し幇助犯になる可能性もあることを意識できればよかったです😔

 

客観的には横領罪ですが、乙の主観では強盗であるため、部分的犯罪共同説により重なる範囲で共犯となると考えました。

横領と強盗は重なるのかが疑問ではありましたが、同じ財産犯であることや、財産を移転させる点において横領罪の範囲で重なりが認められると考えました。この辺は自信ないです。

そもそも甲の犯罪が業務上横領罪ではなく窃盗罪で検討すればよかったなと思ったので出題趣旨に従えばここは窃盗罪と強盗罪の重なる範囲が問題となります。

また、共謀の範囲に含まれるとしても故意が認められるかという観点から法定符合説により重なる範囲で故意が認められるとしました。

共謀の範囲と故意はちゃんと分けて書いたかは覚えてないです。

そして、甲同様に65条1項により単純横領罪が成立するという結論にしました。

 

 

丁の罪責について

丁は丙から預けられた腕時計を保管していたので盗品等保管罪(刑法256条)にあたると考えました。

盗品等保管罪の保護法益は追求権と犯罪助長、促進防止であるとすれば、保管した際には盗品であることを知らなかったとしても、盗品であると気が付いた時点から同罪が成立すると考えます。

ここもしっかり構成要件を示してその中で書ければよかったなという反省です😔

状態犯か継続犯かによって結論が異なるということは全然意識してなかったです。

 

設問2

(1) 甲が刑事責任を負わないとの立場からの見解

まず、出発点として問題となる罪責を書きました。本件で甲及び丙は乙に対し生理的機能を障害する程度の暴行をしているため、傷害罪(刑法204条)が問題となります。行為、結果は問題ありませんが、甲の行為との因果関係が不明のため「疑わしきは被告人のため」の法理によって甲に傷害罪の罪責を負わせることはできない。

しかし、甲と丙に共謀共同正犯が成立する場合には全体として甲も責任を負うことになる。

そして、共同共謀正犯の要件は①共謀があったこと、②正犯意思があること、③重要な行為をしたことである。

本件では甲はすべて満たすと考えられます。しかし、丙が木刀で乙を殴打する前に甲は丙が手拳で殴ったことにより気絶しています。そのため共犯からの離脱が問題になると考えました。

共犯からの離脱といえるためには、離脱によって心理的・物理的に因果関係が解消されたかどうかによります。

甲が刑事責任を負わないという立場からは離脱が認められるという結論にする必要があります。

まず、甲は丙をいさめて暴行を終了させようとしていることから心理的離脱が認められると考えます。また、物理的解消については特に何もしていないが、甲は丙からの暴行により気絶してしまい、物理的解消のための行為ができなかったのはやむをえない。また、木刀については甲が持っていただけであり、気絶後に丙が取り上げたのであるから丙から木刀を取り上げるなどの行為は不可能であった。このことから、甲が気絶した時点でそれ以降の丙の行為については因果関係が遮断され、甲には共犯からの離脱が認められると考えられる。

 

(2) 甲も罪責を負うとする立場からの見解

この見解からは離脱が認められないとすることが考えられる。

心理的解消は、甲は丙をいさめて暴行を終了させようとしているが、実際に終了させてはいない。甲は自ら暴行を提案しているため、心理的因果は強いと考えられるため、より積極的に丙を止める必要がある。

また、物理的解消については木刀を持ったままであり、甲が一回乙を殴っている以上積極的に木刀を丙に持たせないようにする必要があったと考えられる。

ここはどう書けばいいのかよくわからなくて薄っぺらいことしか書けてないと思います。。

仮に共犯関係の離脱が認められたとしても、同時傷害の特例が適用されないかと検討すべきだったみたいです。この部分は書けてないですね…同時傷害については最近新しい最高裁判例が出たそうでヤマ張ってたのにな…笑

 

以上、刑事系科目第1問でした!

あとは刑事系第2問と選択科目ですね!頑張ります!