令和3年度司法試験 民事系第2問 再現答案 | らみの気まぐれ日記

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令和3年司法試験合格

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お待たせしました。今週はバタバタしておりまして、民事系第2問が遅くなってしまいました😭

民事系第2問は会社法ですね。

わたしはロー3年次にファイナンスの法と倫理という授業を取っていまして、その授業のおかげで会社法には少し強くなったのではないかなと思います🤔司法試験の論文はA評価をいただきました!

その授業の先生によれば会社法はイメージが掴みづらく、受験生で苦手な人が多いそうです。わたしも会社法は苦手意識があったのでそれを聞いて少し安心しました。逆に会社法を制する者は司法試験を制するそうです。会社法で高得点取れれば他の科目で失敗しても合格点に届くとおっしゃっていました。

 

 

民事系第2問

設問1

問題は乙社からの本件連帯保証契約に基づく保証債務の履行の請求を拒むために甲社の立場において考えられる主張とその当否について論ぜよというものです。

これは練習問題でもよく解いたことがある問題だと思いました。

まず、本件保証契約は取締役会の承認を得ていないため無効であると主張することが考えられます。

ここで、会社が保証契約を結ぶためには取締役会の承認が必要となるかが問題となります。

考えられるのは会社法362条4項2号の「多額の借財」にあたるということです。Aが返済をすれば債務を免れるため多額の借財といえるかが問題となりますが、Aが支払うことができない危険を負担することになり、債務を負うという点では借財と一致すると考えられるため、「借財」にあたると考えます。また、5000万円は甲社の資本金の半分を占める額であり、「多額」であるといえます。よって、「多額の借財」にあたると考えます。

とすれば、362条4項2号違反があるということになります。しかし、それだけで直ちに保証契約が無効になると考えるのではなく、効力については別途検討が必要であると考えました。

代表取締役が取締役会の承認なく行った行為については最判昭40.9.22の判例があります。ここでは、取締役会決議を欠く代表取締役の行為の効力は原則として有効であり、相手が決議を経ていないことを知りまたは知り得べかりしときに限って無効にするとしています。これは民法93条を明確に掲げているわけではありませんが心裡留保と同様に考えることができます。

新民法では107条に代理権濫用についての規定が新設されました。本番前直前の自主ゼミで新法では107条を使い93条は使わないようになるのではないかという議論がありましたが、調べたところまだはっきりとしたものはないようです。そのため、107条があることも知ってるよーってアピールする程度に触れておきました。

出題趣旨によると、乙社は間接取引にあたることは悪意であり、株主総会がないことについては過失または重過失があると書かれているためここは分けて丁寧に書けたらよかったなと思います。

 

次に当てはめです。問題文5、6の事情から、Bは取締役会の議事録を請求したところ確認書のみを交付されたという事情をどうみるかは迷いました。個人の債務を会社が簡単に承認するということは通常考えにくいということ、額も多額であること、取締役会の議事録を見せないという規定があるかどうか(普通は議事録を公開しないということがあるのかはよくわからないなって思った)をもう少し確認すべきだったのではないかと思いました。A以外の取締役に聞けばすぐに確認できるという点も考慮しました。

以上のことから、Bは取締役会決議があることを知らなかったが知ることはできたのではないかと考えます。

 

次に、Aの行為は間接取引(356条1項3号、365条)にあたり、重要な事実の開示及び取締役会の承認が必要であると主張することが考えられます。

間接取引は自己または第三者の計算においてという意味と考え、Aは代表取締役(会社)で、A個人を甲社が保証していることから間接取引にあたると考えます。

間接取引にあたるにもかかわらず、取締役会の承認も重要な事実の開示も行われていないため法令違反があるということになります。

効力については多額の借財と同様です。

 

 

設問2

AとCのどちらに株主の地位が帰属するかという問題です。

これはよくわからなかった。

同様に株主名簿と名義書き換えが問題になる場面を考えました。

株主名簿の名義は会社法130条により対抗問題とされていて、その趣旨は会社事務処理上の便宜に過ぎないとされています。

また、他人名義で株式を引き受けた冒認のような場合は株主となるのは名義借用者になります。これは一般私法上の法律行為の原則から行為者が当事者になるということです。

ここで失念株のほうも考えました。失念株の場合には譲受人(名義がない者)は会社に対して株主であることを主張できません。

本件では新株発行の話で譲渡したわけではないので株主名簿の書換と同様に考え、問題文10の実質的に株主のような行動をしているCが株主であると考えました。

ここは説の対立があるそうですがわたしは説の対立については知らなかったので現場思考で書きました。

 

 

設問3

株主総会の取消の訴え(会社法831条1項)が問題となっています。ここでは方法の法令違反または定款違反(1号)が問題になると考えます。出訴期間などにも触れておきました。

A以外の株主の違法について主張できるかどうかについて触れたかは覚えてないです。裁量棄却についてはいつも過去問で忘れていたので絶対本番で書き落とさないようにしようと思っていましたが多分書き落としています。。

まず、甲社の定款が会社法310条に反しないかが問題となります。310条は代理人によって株主権を行使することができるとしていますが、本件定款では代理人を他の株主に絞っています。

これについては合理的な理由による相当程度の制限であれば代理人を株主に限る定款は有効とされています(最判昭43.11.1)。

代理人を株主に限ることは株主総会のかく乱防止のため合理的な範囲の制限といえると考えました。このような定款がある場合でも、判例は定款の趣旨に反しない場合には個別例外的に非株主による議決権代理行使を認めています。

Fについてみてみると、FはCの大学の同窓生であり、会社の利益を害する恐れがあり、Fを代理人とすることは認められないと考えました。

多分ここはFが丙社の代表取締役副社長であることを見落としてたかもしれないです。Fは丙社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有しており(349条4項)、上記内規は善意の第三者に対抗することができないことを指摘する必要があります。

事実20でAもCも内規の存在を知らなかったとされているのでこの事情はどこで使うんだろうって思ってました。

 

次に、Gは弁護士です。弁護士については神戸地尼崎支判平12.3.28により代理行使を認めています。しかし、弁護士は法人と使用人のような指揮命令関係にはないことや基準が不明確であることを考えれば代理人として認められないと考えました。

ここでは公開会社でないことにも触れられればよかったです。

 

以上から、Fの投票は無効であり、丙社の議決権はAが行使したものが有効となると考えられます。

また、Gの議決権行使を認めた点は問題がないと考えます。

とすれば、投票の結果、出席した株主の議決権は30万票であり、Aが20万票、Cが10万票を獲得したことになります。

取締役の選任決議は会社法309条1項の通常決議になるため、過半数の議決で足ります。にもかかわらず、Fによる投票を有効とし、Cが選任されたとすることは法令(309条1項)、定款違反があると考えます。

 

ちなみにAが議決権行使したことについても特別利害関係人(369条2項)にあたらないことも書いておきました。

 

 

以上、設問3はあまり出来がよくないですね😢問題文見落としてたのは危ないです。反省はありますがAとれてよかったです☺️

次は民訴頑張ります💪