全てを諦め、両目を閉じるライトを愛花はじっと見つめる。
しかし愛花の身体は何故か震えていた。
二人を見つめる護も愛花が魔弾をライトに目掛け撃ち込めばすぐにでも身体で彼女を庇うだろう。
それくらいの予想は愛花には出来ている。
しかし、愛花が今身体を震わせているのはもっと他の理由からだった。
(何よ……私になら殺されても良いって。何でそんな事で今までの努力を諦められるのよ……)
自身の姉と同じ類の人間、だからこそ愛花はライトが許せない。
身勝手で他人を巻き込む人間を火野川愛花は嫌っている。
ライトもその類の人間、なのだと彼女は思っていた。
しかし――。
(身勝手なクセに、どうしてそんなにあっさり諦められるのよ……)
もっと抵抗してこないと、愛花の行動には何の意味も無いのだ。
もっと自分の身勝手さを棚に上げてもらわないと意味がない。
が、目の前にいるライト・クライスはそのような行動は一切しなかったのだ。
ただ愛花が放つ魔弾を弾くだけで。
反撃らしい事もさっきの一撃だけ、しかしそれも愛花を傷つける為ではなく愛花を止めようとしての一撃だ。
(これじゃ……私の方が……)
ライトに向けていた右手を愛花は静かに降ろす。
(私の方が……身勝手な人間じゃない……)
自分の行動に愛花は激しく後悔する。
ただ自分の一方的な感情に任せていたようなものだと。
と、そんな時……背中の方から何やらオルゴールらしき音楽が聞こえてくる。
駐車場にいる誰もが音のする方へと顔を向けた。
そこには、右腕が切り落とされたトンガリ頭の男が佇んでいた。
男の脳天には一本のナイフが綺麗に刺さっている。
そして左手には何やら小さなオルゴール。
「いい音だろコレ? 人間もたまにゃー良い物作りやがる」
脳天に突き刺さるナイフを引き抜く男。
そして手に持つオルゴールに愛おしそううに頬擦りする。
そんな男を護とライトは睨みつけていた。
/続く